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ビジネス特集
新春特集:私はこう見る2008年"中国商流"
【物流】国内物流網の整備に焦点 今年は3PL業者が台頭
日本通運 中国総代表 吉松昭治 氏

日本通運 中国総代表 吉松昭治 氏
ここに注目!
高速道路から鉄道輸送、内航輸送まで進むインフラ整備
内販企業の物流部門の外注化などで3PL 業者が台頭

内需拡大を目指す中国では、国内物流網の整備が急速に進んでいる。高速道路の整備に留まらず、鉄道輸送や内航輸送のインフラも整ってきた。一方輸出入分野の伸張も著しい。2007年、上海港のコンテナ取扱量は世界第2位になる見込みである。労働契約法の影響もあり、物流の外注化の動きが顕著になり、3PL業者の台頭が予測される。

「物流」を重視する政府 内外資入り乱れての競争
中国はこれまでの輸出一辺倒から、内需拡大重視の政策に舵を切っている。商務部が07年6月に発表したところによると、国内消費総額のGDPに占める比率は36.5%に達し、価格要因を除いた実質伸び率は12.6%と、GDPの伸び率を1.9ポイント上回った。しかし、この36.5%は日本の6割に比べるまでもなく、まだまだ小さいと言え、今後、ますます内需拡大を目指す政策を強化していくものと思われる。
輸出から国内消費拡大へ――この潮流の中で、中国政府は物流業を「基幹産業」として重視、外資系物流企業の誘致にも力を入れている。07年10月末に公布された「外商投資産業指導目録(2007年改定)」では、「近代的物流」を奨励類に追加している。
05年12月、国際フォワーダー(国際貨運代理企業)の外資100%によるライセンス取得が認められたことで参入が加速し、現在、外資系企業から中国系企業まで入り乱れての激しい競争が繰り広げられている。
欧米系インテグレーターのDHL、フェデックス、UPS が、フォワーダービジネスから国内物流まで活発な動きを見せるほか、中国系企業の中からも高品質のサービスを提供する大手企業が育っている。
中国政府は、持続的経済発展を遂げるための「サプライチェーン構築」を急いでいる。政府がインフラ整備などハードを担当する一方われわれ物流業者は国内物流網の構築からエキスプレス、チルド物流の体制作り等ソフト面を担っている。
国内物流網にとって要諦となる高速道路の整備が急速に進められている。中国交通部によれば、2007年末に高速道路は全長5万キロを超え、同時に「五縦七横」と呼ばれ、縦5本、横7本で構成される約3.5万キロに及ぶ主要国道 12本が年末までに貫通した模様だ。
上海港のコンテナ貨物 取扱量が世界第2位に
国内物流が注目される一方で、輸出入貨物も破竹の勢いで伸張している。
上海港のコンテナ貨物取扱量は 2007年、香港地区を追い越し、シンガポールに次ぐ世界第2位となる見込み。上海港の伸長要因となったのが、上海洋山国際深水港の整備だ。
洋山深水港は2005年12月に第一期工事が完成、その後、06年に第二期、07年に第三期が相継いでオープンし、欧州、南米航路を中心に遠洋航路の大型コンテナ船が寄航を開始した。岸壁の水深は16.5メートル以上で、大型コンテナ船の接岸が可能、国際航路の中継地として位置づけられる。
完成前は濃霧の問題が指摘されていた洋山深水港だが、最新鋭の設備を備え、外高橋港よりもクローズは少なく、定時性が守られている。
今年は、杭州湾大橋が開通予定で、洋山深水港、寧波港との相乗効果による「グレーター上海港」としての更なる発展が期待されている。
06年世界主要港10位ランキング
順位港名取扱高
(万 TEU)
対前年比
増減
(%)
1
シンガポール2480.06.9
2
香港2323.42.8
3
上海2171.020.1
4
深圳1846.814.0
5
釡山1203.01.6
6
高雄977.43.2
7
ロッテルダム960.03.4
8
ハンブルグ890.09.5
9
ドウバイ878.215.3
10
ロスアンゼルス846.913.2
06年中国コンテナ港トップ10
順位港名2005年
(万 TEU)
2006年
(万 TEU)
伸び率
(%)
1
上海1808.402171.0020.10
2
深圳1619.701846.8914.03
3
青島630.70770.2022.11
4
寧波
−舟山
520.80706.8035.70
5
広州468.30660.0040.94
6
天津480.10595.0023.93
7
アモイ334.23401.8720.22
8
大連265.50321.2021.20
9
連雲港100.53130.2330.00
10
中山107.59117.349.06
環境問題への対応も必要 鉄道・内航輸送を積極利用
中国が課題として抱える環境問題だが、物流業界でも無視できない問題になっている。トラックの排ガスを無尽蔵に撒き散らすような業者は、今後淘汰されていくだろう。
当社では国内輸送において、トラック輸送だけでなく、鉄道や長江を利用した「内航輸送」を積極的に活用している。これらモーダルシフト(Modalshift)の動きは、環境問題に対応するだけでなく、国土の広大な中国で効率的な運送を行うために不可欠な輸送方法だと考えている。
鉄道輸送に旧態依然としたイメージを抱くひとは多いだろうが、ここ5年で大きな進歩を遂げている。「行包列車」と呼ばれるエキスプレス貨物列車が北京―上海、上海―成都、北京― 広州などを走っており、従来3、4日を費やした北京―上海は、12時間に短縮されている。
当社ではこの鉄道を利用し、上海から内陸部のウルムチやハルピンなどへの国内輸送も行っている。小口を安価に輸送できるサービスとして、お客様から好評を得ている。
内航輸送もインフラ整備が進んでいる。三峡ダムが完成間近で長江水運の航路整備が進み、以前一方通行だった航路が双方向になるなど、リードタイム短縮が実現しつつある。長江水運は内陸部と沿岸地区を結ぶ重要な物流インフラとして、今後ますますプレゼンスを高めていくであろう。
自動車関連物流の増加顕著 今年は3PL業者が台頭
当社は総合物流業者として、フォワーデイングビジネスをコアにしながら、国内物流にも注力している。現状、取扱貨物の半分以上を輸出・輸入が占めるが、国内物流の貨物も急激に増加してきている。
フォワーデイングビジネスでは、航空貨物の取扱量が前年比20%増の勢いで伸張しているが、海運貨物はそれを上回る勢いで成長している。背景には、原油高騰の影響による航空貨物のサービス価格上昇がある。
国内物流に目を転じると、自動車関連物流のニーズが高まっている。中国全土に点在する自動車部品サプライヤーと、内陸部にある自動車メーカーの生産ライン間の調達物流を担い、ミルクランによる部品集荷から幹線輸送、組立工場へのJIT納入等の取り扱いを行っている。今後、中国自動車物流のニーズは更に高まることが予想されている。
国内の物流網整備に力を入れており、日通エム・シー中国投資を05年に設立した。これにより、三菱商事が持つ内陸部のトラック輸送ネットワークと、当社グループの沿岸部を中心とした保税倉庫などの海外ネットワークの連結を実現している。
現在、国内拠点は30都市 17 現地法人78拠点にまで拡大している。三菱商事との合作による上海発トラック混載サービスは、80都市向けのサービスを提供しているが、08年中に100都市に拡大するべく準備を進めている。
今年は各企業の国内販売強化の動きが加速し、更に労働契約法の施行により、倉庫、工場内等のコスト削減のため、物流を外注するケースが増えることが予測される。このため、3PL (3rd party logistics‥企業の流通機能全般を一括して請け負うアウトソーシングサービス)業者が台頭してくるものと思われる。
国土の広大な中国では、自社の車両だけの運行は無理があり、品質の高いパートナーとタイアップする事が重要と考えている。当社でもパートナーとの協業を進めつつ、トラック、鉄道、内航を組み合わせた環境にやさしい物流を実現し、お客様のニーズに対応していきたい。
吉松昭治 氏(よしまつ・しょうじ)
1949年生まれ。73年日本通運入社。77年から78年イラン勤務。84年から90年米国日通に勤務し、ワシントンDCに駐在。95から 2002年まで米国日通に勤務し、ニューヨーク、ロスアンジェルスに駐在。07年6月に中国総代表に就任。

日本通運
上海市浦東新区福山路500号城建国際中心12F03-04室
[電話] 021-5081-2580
[FAX] 021-5081-2930
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2008/2/25 更新
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