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ビジネス特集
新春特集:私はこう見る2008年"中国商流"
【飲料(ビール)】2ケタ成長続く世界一位市場 ブランディングでの競争激化
キリン(中国)投資有限公司 董事長兼総経理 西村慶介 氏

キリン(中国)投資有限公司 董事長兼総経理 西村慶介 氏
ここに注目!
「ライフスタイルの多様化で「売れ筋」に変化
好調な販売の一方で、価格を巡る消耗戦が続く

中国のビール生産量、消費量は世界一の規模で、毎年2ケタ成長が続く。世界のビールメーカーがグローバル戦略を賭し、熾烈な競争を繰り広げる。今後は販売量の追求だけでなく、ブランディングを巡る戦いも激しくなってくる。ライフスタイルの多様化によって、さまざまな切り口のビジネスチャンスが広がっていくことが予測される。

07年販売量は10.3%増か 「世界平均」超えた消費量
国家統計局の発表によれば、2006年の中国国内ビール販売量の成長率は+14.7 % (3515.15万KL)で、前年比で453.59万KL増加した。2007年は+10.3%で、285.89万KL増で着地したものと思われる。
中国は既にビール生産量、消費量ともに世界一の規模で、毎年2ケタの増率で成長している。世界中の大手ビールメーカーがこの残された数少ない有力市場を重視、他国では見られないダイナミックな競争を繰り広げている。
ビールメーカーにとり、中国市場で勝ち抜くことは大きな意義がある。ブランディングの観点から中国市場での優劣が、企業のグローバルなポジションに影響を与えるからだ。それゆえに世界のビールメーカーにとってグローバル戦略を考える上で、外せない位置づけの市場なのである。
2008年以降は、単に短期的な販売数量を競うだけでなく、ブランディング面でこれまで以上に熾烈な戦いが繰り広げられるであろう。
市場の伸びに伴って、消費者一人当たりのビール消費量も伸びている。 2007年、中国国内の一人当たりビール消費量が27.6L/年間と世界平均の27Lを超えた。しかし、この数字は他の先進国に比べると少なく、まだまだ発展空間があると言える。
ただ、この国土が広大で地域性豊かな中国を、単純に1人当たりのビール消費量という切り口で語るには無理があるだろう。ビールに限らず酒は文化で、地域によって"温度差"が大きい。
例えば、ハルピンにはビールが文化として根付いている。仕事が終わった後の晩酌ビールを楽しみにしている人が多く、ハルピンの一人当たり消費量は世界トップクラス。一方、上海などのビール文化は発展途上と言える。
中国のビール生産量の推移

出所:国家統計局統計数
「プレミアム」の伸びに期待 ビールの好みは多様化へ
地域別に見ると、経済発展が著しい上海近郊の長江三角州エリア、東北3省、広州市を中心とした珠江3角洲エリアに加え、西部開発で脚光を浴びる内陸都市もポテンシャルが大きい。
プレミアムタイプのビールについて言えば、お客様のライフスタイルの多様化、食文化の多様化にともない、食中酒としてどんな料理とも相性がいいビールとして、消費がまだまだ伸びると考えている。
地域差はあるが味覚でいうと、現在大部分のビールはライトテイストが主流だ。その中で、今後緩やかにビール本来の味を楽しむビールが伸びてくると考えている。長期的に見れば、お客様の好みは確実に多様化する。この多様化した一つ一つのセグメントのマーケットボリュームが非常に大きいところが、中国市場の魅力である。
また嗜好品ならではの傾向として、「本格感」を求めるお客様が増えてきた。例えば『純生』の急激な伸びは興味深い事例である。約10年前に広州のビール会社が導入したのを皮切りに、それまで価格競争だけに終始してきたビールメーカーが続々と参入、現在は10社を超えるメーカーが純生を謳った商品を発売している。キリングループでも麒麟(珠海)ビール有限公司にて製造し、広東省のお客様を中心に複数のブランドを提供している。
この純生人気は、これまでのビールと違う「のどごし」や風味が魅力になっている。今後ライフスタイルの多様化で、いろいろな切り口のビジネスチャンスが広がるだろう。
外資系の「資本参加」は一段落 価格面では厳しい環境が続く
これまで政府の外貨獲得方針による外資優遇制度を背景に、国内のビールメーカーは経営資金の獲得と外資系メーカーの製造・マーケティング技術の習得の2つの目的から、積極的に外資系企業の資本参加を受け入れてきた。
しかしここに来て一段落した感だ。理由は大きく2つ。第一に、製造能力 20万KL以上の大手ビールメーカーの大部分が外資の資本を受け入れ終わったこと。第二に政府より外資優遇税制撤廃の発表があったことだ。
今後、国内で既存メーカーへの出資を検討する外資系メーカーは、相手先からも資金調達以外のメリットをこれまで以上に厳しく見られることになり、あらゆる面で本腰を入れた取り組みが求められる。投資リターンのみを期待するような企業にはチャンスがなく、パートナーと一体になってお客様に支持されるブランドをつくってゆく覚悟が必要だ。
現在、原料資材の高騰が深刻な問題となっている。07年11月に広州有数のビールメーカーであるキングウェイビール(金威)が、大幅な利益減を発表した。原料資材価格の高騰が大きな原因になっていることは間違いない。問題はこの原料資材価格の高騰を、価格に転嫁できるかどうかということだ。
中国の食品全般に言えるが、ビールも末端価格は非常に安い。さらに市場競争は激化の一途。そんな中で、殆どのビールメーカーはコストオン方式の価格設定ができず、競合他社との相対的競争関係や自社商品の市場ポジショニングによって、価格設定をせざるをえない状況にある。
キリンは長江デルタで体制固め 『沁麒麟』が予想上回る売上げ
当社は07年、杭州千島湖ビール社に資本参加した。これにより、長江デルタ地帯で最高と言われる千島湖秀水を使用してビールを製造できるようになり、長江デルタ地帯のお客様にも新鮮で高品質のキリンブランド商品をお届けできる体制が整った。
また、東北3省では大連市の大連大雪ビール社に 25 %出資し、キリンブランド商品『最麒麟』を07年にリニューアル発売、お客様より高い評価をいただいている。
珠江デルタ地帯では麒麟(珠海)ビール社を100%子会社化し、07年事業拡大にともない最新鋭工場が稼動した。現在珠江エリアに展開するローカルブランド商品、キリンブランド商品のほか、中国全土に『一番搾り』を供給するとともに、一部台湾地区向け商品も製造している。
中国のビールは価格帯別に、スーパープレミアム、プレミアム、スタンダード、エコノミーなどに分かれているが、当社ではキリンブランドにプラスして各地のローカルブランド(キリンファミリーブランド)で商品ポートフォリオを構築、幅広いニーズのお客様に商品を提供しようと考えている。具体的には、プレミアムカテゴリーはキリンブランドで、その他のカテゴリーはローカルブランドで展開している。
07年は、ローカルブランドが引き続き堅調に推移したとともに、上海で新発売した『沁麒麟』が高い評価をいただき、好調な売り上げを記録した。上海の嗜好・気候風土にあったキリンブランドの提供のため、千島湖の水とキリンの技術を融合させた商品だが、消費者はもとより流通各方面からも大きな反響をいただき、2008年以降の展開に自信を深めている。
西村慶介 氏(にしむら・けいすけ)
1956年福岡県生まれ。80年キリンビール入社し、キリンビール取手工場に配属。85年米国ワシントン大学経営大学院修士課程留学。87年関連企業部事業開発部。92年人事部。97年秘書室。2002年経営企画部。05年より麒麟(中国)投資有限公司。

キリン(中国)投資有限公司
上海市長寧区長寧路1018号龍之夢大厦19F
[電話] 021-3372-7070
[FAX] 021-3372-8070
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2008/2/25 更新
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