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ビジネス特集
新春特集:私はこう見る2008年"中国商流"
【自動車】モータリゼーション本格化 1,000万台市場が目前に
トヨタ自動車上海代表処 首席代表 東 和男 氏

トヨタ自動車上海代表処 首席代表 東 和男 氏
ここに注目!
沿岸部でモータリゼーションが本格化
今年は販売台数1,000万台の大台を超えるか

自動車販売台数は、沿岸部でモータリゼーションが本格化したことで大く伸び、2007年は900万台に迫ることが予測される。外資系メーカーが生産能力増強など、世界1位を目前にする中国市場での体制固めに取り組む一方、民族系メーカーはエコノミー車に注力、輸出を大きく伸ばしている。今年は販売台数が1,000万台を超えることが予測される。

07年は販売数900万台超? 沿岸部ではすでに「必需品」に
2007年1月から10月の中国の自動車販売台数は、737万台で前年同月比124%となった。このうち、国産乗用車は422万台(同127%)、国産商用車は293万台(同119%)、輸入車は22万台(同135%)である。この勢いで行けば、07年は900万台の大台を超えるかもしれない。
当社の販売も非常に好調で、1〜10月で38.6万台だった。07年の目標は43万台だが、このままだと5万台ほどオーバーし、48万台になるのではないか。これは前年比150%の高い伸びである。この勢いを維持し、今年は70万台を目標にしたい。
販売好調の背景には、生活レベルの向上で沿岸部が本格的なモータリゼーションに突入したことが挙げられる。従来贅沢品だった自動車が、沿岸部の市民にとって必需品になりつつあると言えるだろう。モータリゼーション加速の流れは、内陸部にも徐々に浸透しつつある。
ただ、本格的モータリゼーションとは言っても、国民1,000人当たりの自動車の保有率はまだ40台程度(日本は約600台)であることから、まだまだ大きく伸びる余地がある。
高速道路網などのインフラが発達してきたことも販売好調を引っ張っている。2007年、中国の高速道路は延べ5万キロと、日本の7倍の長さとなった。

進む自動車・自動車部品の輸出 グラフ(1):中国自動車の輸出金額の推移


世界の自動車市場の将来 グラフ(2):中国民族資本自動車メーカーが狙う新興市場
(1)(2)出所:トヨタ自動車上海代表処
輸出を成長エンジンにする民族系メーカー
輸出車に目を転じると、こちらも国内販売を超える成長率で伸びている。07年1〜9月で41.4万台(同164%)となったことから、07年は55万台、金額45億ドル程度に上ったものと思われる。(グラフ(1)を参照)
内訳を見ると、乗用車は35万台、商用車は20万台となった模様で、乗用車の輸出台数が急激に伸長してきている。
乗用車の輸出がなぜこれほど伸びているのか?その理由は、世界の自動車市場の動向を見れば分かる。(グラフ(2)を参照)
全世界で販売される自動車の半分以上が、わずか4カ国で販売されている。05年の実績では、米国、中国、日本、ドイツの4カ国が52%を占めており、残りの先進10カ国で29%、その他の180カ国・地域の割合は2割にも届いていない。
注目したいのが「180カ国・地域」の市場だ。01年から05年にかけ、「4カ国」と「10カ国」の市場は割合を下げる中、「180カ国・地域」の割合が高まっている。この傾向は継続し、25年には「180カ国・地域」が40%を占めると予測している。
この市場で求められているのが、中国の民族系メーカーが得意とする台当たり平均100万円以下のエコノミー車である。成長著しい世界のエコノミー車市場に向け、民族系メーカーは販売を好調に伸ばしている。09年から10年にかけ、1年間の輸出台数が100万台を突破するものと見ている。
奇瑞や吉林、長豊、長城などのメーカーは、輸出を成長エンジンとして重視、全体の販売台数の半分を輸出にしようと取り組んでいる。国内のエコノミー車市場が未成熟で、外資系メーカーとの熾烈な競争を強いられる民族系メーカーの海外志向は、今後しばらく続くものと思われる。
「世界第1位市場」目前 外資系は生産能力増強に注力
07年は、中国自動車市場が近い将来米国を追い抜き、世界第1位になる可能性があることを世界の人々に印象付けた年となった。
モータリゼーションの本格化で、すでに高級車とエコノミー車の二極化が進んでいる。また、セダン型だけでなく、SUV(スポーツ多目的車)や MPV(多目的車)などが人気となり、好みの多様化も加速している。これらは、成熟したモータリゼーションの市場で見られる現象である。日本では10年から20年かかったことが、中国では数年で実現している。
こうした中で、07年外資系自動車メーカーは、能力増強に取り組み、技術センターや物流センターを設置、世界3大市場である中国での体制固めに動き出した。例えば、当社は05年24万台だった生産能力を、07年一挙に40万台増やし、64万台にまで拡充している。
一方、民族系メーカーは自主ブランドの取り組みを開始した。一汽、上海、東風などが、続々と乗用車メーカーに参入している。
08年は1,000万台に到達か 懸念材料はオイルショック
中国は小型車主体のマーケットだ。05年の統計で、すでに4分の3が小型車で占められている。06年まで民族系メーカーが小型車、外資系メーカーが高級車に注力するという構図が顕著だったが、07年より外資系メーカーも積極的に小型車を市場投入するようになった。
小型車市場はまだ成熟段階だが、市場が拡大すればスケールメリットから重要な商材となる。外資系メーカーも民族系メーカーに遅れまいと、本腰を入れ始めたといえる。小型車市場の活況は、環境問題の観点からも歓迎すべき動きである。
08年だが、自動車販売台数がいよいよ1,000万台を超えるだろう。私は03年に「中国では2010年に1,000万台を超える」と予測したが、多くのひとが半信半疑だった。それが2年前倒しで実現しそうだ。
この成長のスピードにはまったく驚かされる。過去に遡ってデータを追うと、75年がわずか10万台、80年は20万台、90年が51万台で、00年にやっと200万台を超えた。08年に1,000万台が実現すれば、75年の100倍の台数となる。こうした市場は歴史上前例がない。
1,000万台の実現を阻む悲観要因として、ガソリン不足から発生するオイルショックを懸念している。しかし、仮にオイルショックになれば、中高級車の販売が鈍化するが、一方で小型車の普及に弾みが付くであろう。
東 和男 氏(あずま・かずお)
1947年生まれ。70年トヨタ自動車入社。90年まで主に自動車ボディーの生産技術開発に従事。90〜93年イギリス工場立ち上げ。94年から01年まで中国自動車プロジェクト推進のため、北京、天津、成都に駐在。01年上海事務所の首席代表に就任。

トヨタ自動車 上海代表処
上海市浦東新区陸家嘴環路1000号匯豊大厦32F
[電話] 021-6841-4111
[FAX] 021-6841-1456
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2008/2/25 更新
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