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ビジネス特集
新春特集:私はこう見る2008年"中国商流"
【繊維・アパレル】ドル安、労務コスト増で輸出圧力増す 内需が喚起、機能素材への需要高まる
東麗(中国)投資有限公司 董事・副総経理 八木田素行 氏

東麗(中国)投資有限公司 董事・副総経理 八木田素行 氏
ここに注目!
全面ドル安で内需シフト喚起のプレッシャー
五輪効果でスポーツがレジャー化、機能素材製品の需要高まる

昨年は原油高、全面ドル安、労働コストの上昇、外資優遇策の撤廃等々、業界各社にとって大きなプレッシャーを課せられる一年となった。しかし輸出環境は厳しいものの、五輪を契機としたスポーツのレジャー化、第3次産業成長によるユニフォーム需要などで内需は拡大、業界は新たな成長のフェーズを迎える。

かつてない経済成長のパターン 労務コスト圧力が顕在化
昨年07年は外資企業を取り巻く情勢には厳しいものがあった。土地関連コストは上昇、原油高、全面ドル安(人民元高ではない)、2免3減といった外資優遇策の撤廃等々、生産の中国一極集中化に対する見直し機運も高まってきている。
そして中国自体もこれまでとは異なった経済成長のパターンを示した。とりわけ注目したいのは、CPIの上昇である。7月には6.5%を記録、物価上昇、労務費の引き上げというスパイラル現象に入っていけば、労働集約型事業である繊維業界は厳しい局面に立たされることになる。
とくに単品大量生産でコスト競争力を確保するワイシャツやジャージ、トレーナーなどの衣料は大変厳しい。高機能・高付加価値製品を生産するなら別として、人材の流動性は高く、上海市内はおろか周辺域でも存在を維持するのは難しい。
しかし、コスト削減を求めて、他の製造業のようにベトナム、ミャンマーなどのアセアン(ASEAN)地域、さらにはインド、バングラデシュなどに工場をシフトさせていく動き、すなわち「チャイナプラスワン」という情勢が繊維業界に普遍化するかというと決してそうではない。
中国製品の物流ルートは全世界に及んでいる。最貧国と呼ばれる国々、さらには新興国とみなされるインドにとってさえ中国は重要な繊維・アパレルの供給国である。世界の繊維需要7,500万トンのうち3,500万トンが中国で生産される。中国が所有するミシン台数は2,000万台、じつに500億着の服が一国で生産されているのである。これだけの生産インフラを備える国が今後、中国以外に現れることはまずないだろう。07年の貿易収支額では、電機関係に首位の座を譲るであろうが、依然繊維産業が中国の基幹産業のひとつであることには変わらない。
もっとも、従来方式での取り組みに終始していてはならない。輸出一辺倒では遅かれ早かれ壁にぶち当たる、このことを中国自身も意識しており、国内の市場多様化が業界の成長にとって大きな課題のひとつとなってくる。
高機能スポーツウェアとユニフォーム需要に期待
テキスタイル産業で言えば、中国のモータリゼーションの進行により、産業用繊維のニーズも高まってきた。自動車関連産業向けのタイヤ、シートベルト、カーシート、エアバックに使われる素材がそうだ。
これまで素材調達においては、海外から部分的に切り貼りしてくるのが普通だったが、需要量が大きくなれば、今度は中国国内で自己完結するようになっていく。他に炭素繊維は軽くて強い性質を活かし、橋げたやコンクリートの補強材として使われるほか、耐熱不繊布、水処理膜などは環境保護への有効性が認められており、高級な繊維製品への需要が高まるだろう。
さて、今年08年は北京オリンピック開催の年である。この大型イベントは、繊維業界にとって直接的な商機をもたらすものではない。むしろ、この大型イベントを契機とした内需開拓が今後の大きなテーマとなってくる。
すなわち、オリンピックが転換期となって、スポーツのレジャー化、ニーズの高度化、大衆化という現象が顕在化していくことに期待したい。防寒具、生活必需品として衣料を見るのではなく、レジャー、スポーツという観点から、さまざまな種類のスポーツカジュアル製品がミズノ社などの日系ほか、さまざまなグローバル企業によって市場投入されると見られる。
天然素材の使用が優先される一般のファッションと異なり、スポーツカジュアル製品は高機能の合繊でリードできる分野だ。一昨年はデサント社と共同でアリーナ水着プロモーションを行ったが、今後も、日系にこだわらず合弁・合作の機会が出てくるだろう。
さらに注目したいのは第3次産業の台頭である。北京五輪の次に待っているのは上海万博だ。展示会場のコンパニオンが着るコスチュームのみならず、既存・新興サービス業におけるユニフォームの需要が、高度で洗練されたものへと向かうのではないか。
また、ワーカーレベルでも、安全・環境対策という視点に立ちつつ、メディカル、半導体等の工場では防塵機能、制電性などに優れた多様な消費が現れてくることも考えられる。こうした分野にコストをかけていく消費多様性がでてくると、衣服の高度化がもたらされ、これまで中国外への輸出に回されていた商品が今度は中国内需に投入されていくことになる。
なお、内需に対応するうえで課題を挙げれば、中国市場はコストオリエンテッドな世界であることだ。一つや二つ程度の機能強化で価格アップをするようでは消費者からそっぽを向かれる。理屈ではなく、高機能であることが見て分かる、着て分かるといったように「際立った違い」がアピールできなければ価格を抑える必要もでてくる。
東レでは南通に研究所を置き、環境や省資源につながる製品開発の研究を進めている。より高度な質、製品を生むためには、原糸、織編、染色後加工が「垂直連携」して製品開発を行っていくことがポイントになってこよう。それぞれのラインアSップをそろえ中身を拡充するとともに、最終製品である縫製と連携したりすることで、点の事業ではなく面の事業を運営する体制を固めていく意向だ。
[中国経済指標] (*)増減:2005/6 対比2007/6 + は切り上げ、▲は切り下げ
項目単位2002年2003年2004年2005年2006年07/1 〜 9
GDP前年比(%)8.310.010.110.411.111.5
CPI前年比(%)▲0.81.23.91.81.54.2
貿易収支億US$304255319101917741857
内、繊維億US$7522718184212901115
外貨準備億US$2.8644.0336.0998.18910.66314.336
為替(期末)元/US$8.27728.27678.27658.0707.82207.5225
[最近の各国為替推移] 中国の切り上げ(2005/7) 後の対ドル為替相場
通貨05年6月05年12月06年6月06年12月05年9月(*)増減
中国人民元8.278.078.007.827.52+9.1%
日本110.57118.07115.24119.11115.80▲4.7%
欧州ユーロ0.8260.8470.7870.7630.704+14.8%
韓国ウォン1025.701004.00952.40929.10912.53+11.0%
タイバーツ41.4141.1438.1634.9334.26+17.3%
日本の技術は健在、中国の生産力と補完関係を
中国ではファッションにおいてデザイナーを育成する、ブランドを育てるにあたって繊維メーカーが大きなバックアップ役を担うことがある。東レでは毎年11月、チャイナファッションウィークで優秀デザイナーに対する表彰などにも協賛させてもらっている。
一方、地域貢献という発想から上海でスタートした東レマラソンも10周年を迎え、さらに引き続き 10年の継続が決まった。これらは営利目的ではないが、自社のブランド構築にはじっくりと着実に取り組んできた経緯がある。
07年に見られた経済ファンダメンタルズの変化は、中国における事業環境にハンディキャップを与えるけれども、われわれ東レの繊維事業はこれをプラスサイドにとらえている。製品の付加価値や研究開発への取り組み、生産技術に対するノウハウ、環境に対する配慮などを勘案したときに相対的に有利なポジションが築けるのではないか。
すなわち日本の技術と中国の生産力を使えれば非常に強い競争力を作れる。たとえ為替圧力が高まっても、輸出を継続できるためのノウハウを日本は持っているからだ。日本の経験をベースに中国の事情を加味し、アプリケートしてやっていきたい。
八木田素行 氏(やぎた・もとゆき)
1975年東レ株式会社に入社。企画管理、人事などの職を経て86年Luckytex(Thailand)Company Limited 海外繊維事業部主任部員、電子情報機材事業企画管理室長に就任。2000年繊維事業企画管理部長、01年繊維事業管理室長兼東レシステムセンター(繊維業務サポート&サービス部長)、05年7月東麗(中国)投資有限公司 董事・副総経理。

東麗(中国)投資有限公司
上海市浦東新区陸家嘴環路1000号HSBCタワー10F
[電話] 021-6841-1560×533
[FAX] 021-6841-3220
[URL] http://www.toray.cn
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2008/2/25 更新
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