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ビジネス特集
「労働契約法」徹底攻略 〜リスク回避策を探る〜
労働契約法には「王道」で今取り組むべき課題とは
企業利益のためにも「労働者保護」の労働契約法を受け入れるべき。しかし、その対応は、社員毎に分けて取り組む必要がある。
日本との相違点・類似点の整理
今回の労働契約法については、「労働者保護」が制定の大きな目的だと言われていますが、より日本の労働基準法に近くなったと見ることができます。
一部に日本以上に厳しい条項がありますが、総じて見れば「近づいた」と思います。ただし、実際面での日本との違いに、人材の意識レベルの差が大きく、全社員を一括して管理することに無理が生じやすいということが挙げられます。従って、今回の労働契約法に準拠することを前提にした場合、日本と同じ人事・労務制度のもとでは管理しにくい状況が生まれます。
また主義・主張の強い中国人社員から、この法律を盾にいろいろな要求が出てくる可能性があります。さらに雇用側と社員との間のトラブル発生頻度が日本よりも多くなり、その対応に時間とコストを費やすことが見込まれます。自己都合による退職の場合の経済補償金支払等、今まで支払う必要のなかった費用が発生するという点で、コストアップになります。
しかし、日本ではもともとこの考え方で退職金を支払ってきました。上海の日系企業でも、以前から自己都合で退職する社員に経済補償金を支払っている会社もあります。
労働契約法への対応は「王道」が原則
今回の労働契約法制定に関して、法の解釈から抜け道を模索する動きもあるようですが、あまり賛成しません。日系企業は「王道」を進むべきでしょう。「企業は人」という視点から、社員を大切にする企業姿勢が、社員と良好な関係を生み、モチベーションを高め、結果として業績と生産性を高めるのだと思います。
ただし、「社員を大切にする」という姿勢については、全社員への対応と一部分の社員への対応に分けて考える必要があります。まず全社員に対しては、就業規則や労働契約を法律に基づきしっかり作成し、運用することが求められます。一方、一部分の社員に対しては対応を分けて取組む必要があります。

グレイ部分の社員の見極めが急がれる
無固定期限契約の是非の対象は"2割"
企業の人材においても、一般に「2対6対2の原則」が成り立ちます。上層の2割は言わなくても自ら的確に判断し行動できる「人財」、中層の6割は言われた業務は平均的に処理することのできる「人材」、下層の2割は言われたことをしない、できない、間違えが多い、違ったことをするという「人災」に分類することができます。
今回の法律のポイントの一つでもある、「3回目からの契約更新時に本人が申し出れば無固定期限契約を結ばなければならない」という条項については、最後の2割の社員が是非の対象になります。8割の社員については、極論を言えば今すぐ無固定期限契約を結んでも問題はないはずです。 現時点で下層の二割の社員の中から、さらに会社にとって望ましくない人材を見極め、速やかに契約を終了しなければなりません。また中国においては、仕事はできるが、方針やルールに従わず、自己主張の強い社員を見受けます。今後こうした社員に対しても、ケジメのある対応を取らなければなりません。このためには日頃の評価をきっちり行い、社員の問題行動があった時には、日時とともに書面に残しておくことが必要です。また、評価制度や賃金体系も階層や職種によって分ける必要性があります。
日系企業の間では、次代の幹部づくりをテーマに、社内で教育体系を整備する会社が増えています。これは、労働契約法への対応ということではなく、会社自らが「魅力ある企業づくり」の一環として社員への成長機会を提供し、より高いレベルでのマネジメントを期待している表れだと思います。今後、中国における勝ち組と負け組の分岐点は、人材教育への取組みの度合であり、これにより大きく企業業績に差がついてきます。
小池恭平(こいけ きょうへい)
タナベ企業管理諮詢(上海)有限公司 董事総経理
プロフィール…1959年東京生まれ。同志社大学経済学部卒業。繊維商社勤務の後、タナベ経営に入社。一時退社し米国在住を経て、2004年より上海勤務。

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情報提供: Whenever CHINA 07年9月号
2007/09/17 更新
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