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中国における人材とそのかかわり方 第十二回:これからの人事部を考える
今まで人材採用、人事組織形成、人材トレーニングの3つの分野にわたりお話しましたが、いかがでしたでしょうか?これらの3分野について、気になる点と気にされている点をそれぞれ挙げてみました。

採用や給与について
(1)今回採用したいポジションの人材のイメージは具体化されていますか?
(2)きちんとしたジョブディスクリプションが設定されていますか?
(3)できるだけ安い給料で勤務させようとしてはいませんか?
(4)能力の有無ではなく、会社の滞在暦で給与設定していませんか?
(5)仕事内容ではなく、年功序列で給与体系を設定していませんか?

人事組織について
(1)自分(経営者)だけ、または日本人だけで組織を作ろうと考えていませんか?
(2)人事組織の基礎を形成した後、その組織に基づいて行動していますか?また継続していますか?
(3)業務が忙しいのを理由に、部下をそのままにしていませんか?
(4)具体的な指示をせず(例を示さず)、部下に仕事を任せっきりにしていませんか?

人材トレーニングについて
(1)費用対効果といいつつ、トレーニングの効果より、安価な費用を重視していませんか?
(2)トレーニングをやればそれで満足と思っていませんか?
(3)経験者を採用しているので、トレーニングは必要ないと考えていませんか?
(4)給与の安い社員にトレーニングは必要ないと考えていませんか?
(5)先輩社員が新入社員に仕事のやり方を教えていますか?
(6)前年度との比較し、景気が悪い、業績が悪いというだけでトレーニングをやめていませんか?
転職することは社員(個人)の問題と捉えがちですが、会社に(もしくは管理者)に問題はないでしょうか?
良い人材を能力に見合った待遇で採用。
人事組織の仕組みを形成し、しっかりと継続、フォローする。
社員の適正に合った質の高いトレーニングを継続する。

上記のことを実践することで、会社の目標に達成します。どれかひとつでも欠けてしまうとバランスが保てなくなります。たとえ売り上げが上がったとしても、一時的なものや人数が増えたに過ぎず、個人の売り上げは上がってはいないのです。生産設備に投資することももちろん必要ですが、今後は人材に投資することで、大きなリターンが返ってきます。人材採用、人事組織形成、人材トレーニングをして成果をすぐに期待する方も少なくありません。ただ、短期的にはそれを達成することは難しく、これはまさに日本人が得意とする『継続』によって、業績が上向いてきます。

会社に貢献する人材には、給与にしかり、保障にしかり、トレーニングにしかり、会社としてしっかり提供してあげなければなりません。そのことによって、企業がさらなる成長をします。社員が短期的、長期的で勤務できるかどうかは、経営者(管理者)の考えによります。反対に、会社にとって貢献しないと思われる人材なら、それなりの給与ということになってしまいます。今後はますます人材の二極化が進むことになるしょう。一人ひとりの売上単価が上がれば、給与を増やせばいいですし、下がれば、それなりの対応をしなければなりません。もちろん長期的に見た上でのことなので、毎月の給与ではなく、ボーナスとして上乗せすることも可能です。

給与についてさらにお話しすると、中国では前職の給与を参考にして現職の給与を決めるケースが多いです。私がポイントとして考えていることは、この人材の市場価値はいくらぐらいで、なおかつ、会社で採用する場合はこれぐらいが妥当であるか考えなければなりません。社内のバランスもありますが、どれぐらい稼いでくれるかで給与が決まるわけですから、きちんとした理由があれば、給与を上げる、もしくはボーナスを別で支給することは当然です。ですが、日本人の管理者の方は一律ということを常に焦点においているように感じます。
実話ですが、A社は中国人を採用。前職は3,000元の給与で、面接時に希望の給料を6,000元と告げられ、その給与で採用しました。しかしその求職者は3,000元の給与に値する能力がありませんでした。この場合、求職者の意見を鵜呑みにしてだまされたと錯覚する方がいますが、採用する側がその人にそれだけの価値があると考えたに過ぎません。
反対に、B社は日本人を10,000元で採用しました。経験上15,000元の給料でもおかしくなかったのですが、そのまま1年が過ぎ、給与は1,000元程度しか上がらず(社内のバランスもあるのであげられず)、その方は退職し、さらに高い給与(20,000元)の会社へ転職されました。
ここからも分かるように、前職の給与や他の会社の給与をあまり参考にしないほうがいいと思います。

現在中国の日系企業でトップに立たれている方は、管理だけではなく、実務業務(営業や製造などにかかわる仕事)も見られているので、かなり忙しいはずです。だからこそ、権限を割り振り、ポイントに絞った管理することが重要です。人事についてはこれからますます重要性が増します。経費をかけても、ノウハウをもった外部の人事コンサルティング会社を利用することにより、よりよい人事部を作り上げていくことができるのではないでしょうか?

最後に今まで『中国における人材とのかかわり方』を読んでいただきまして、ありがとうございました。今回で最後とさせていただきます。このコラムを通じて少しでも皆様のお役に立てればと思います。


以前のコラム
中国における人材とそのかかわり方 第十一回:中国における日本人現地採用の行方
中国における人材とそのかかわり方 第十回:人材トレーニングの重要性
中国における人材とそのかかわり方 第九回:日本企業と欧米企業の管理手法の違い
中国における人材とそのかかわり方 第八回:企業が求職者を面接するにあたり
中国における人材とそのかかわり方 第七回:人材紹介会社を選ぶポイント
中国における人材とそのかかわり方 第六回:要求人材に対する位置づけ
中国における人材とそのかかわり方 第五回:履歴書の書き方
中国における人材とそのかかわり方 第四回:採用される人、採用されない人
中国における人材とそのかかわり方 第三回:面接時のコミュニケーションのとり方
中国における人材とそのかかわり方 第二回:日本人と中国人の仕事に対する考えの違い
中国における人材とそのかかわり方 第一回:現在の中国現地採用の給与相場
情報提供: 上海一吉商貿有限公司
2008/04/03 更新
筆者:橋本哲哉(はしもと てつや)
ICHIコーポレーション 副総経理
1998年立命館大学卒業し、日本で就職。その後、中国にて留学。電子関連、人材関連(人材紹介・人材トレーニング)を経験後、現職はICHIコーポレーション 副総経理。HSK9級、上海市人材仲介員の資格をもち、海外職業訓練協会(OVTA)の国際アドバイザーとしても登録。中国にて8年目で、特に人材・人事方面に対し、自身のこだわりあり。

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