中国業界人記事
日本人や日系企業向けにレポートを執筆する際、細心の注意を払うのが数字である。機関投資家やデベロッパーが投資や開発の判断を下す根拠のひとつ(あるいはそれ以上)にする可能性があるからだ。不動産価格や賃料、面積、それらの前年比同期、前月比、伸び率、稼働率(空室率)、需給バランス、成約量など、いろいろと数字を組み合わせて首尾一貫したレポートを執筆する。この数字は事業収支や中国不動産の将来性などを考えるうえで、どうしても必要なものなのだ。
数字が重要なのはもっともなことである。中国不動産に関する事業に携わる人は、つまるところ、事業の推進を会社の意志決定機関で諮らなければ、先に進まないからだ。ここでは直感やナイーブな推察は通用せず、それなりの「根拠」を示さなければならない。そこで誰が見てもわかるような数字が登場することになる。
実はその数字が問題なのだ。統計の数字が明らかに間違っているケースが多々見受けられるのである。月ベースの数字の合計が年間の数字と一致しない、伸び率が前年同期、前月と明らかに違うというのは日常茶飯事である。もっとも、統計なので「出所」ははっきりしており、社内での検討初期段階では問題にならないかもしれない。
数字が重要なのはもっともなことである。中国不動産に関する事業に携わる人は、つまるところ、事業の推進を会社の意志決定機関で諮らなければ、先に進まないからだ。ここでは直感やナイーブな推察は通用せず、それなりの「根拠」を示さなければならない。そこで誰が見てもわかるような数字が登場することになる。
実はその数字が問題なのだ。統計の数字が明らかに間違っているケースが多々見受けられるのである。月ベースの数字の合計が年間の数字と一致しない、伸び率が前年同期、前月と明らかに違うというのは日常茶飯事である。もっとも、統計なので「出所」ははっきりしており、社内での検討初期段階では問題にならないかもしれない。
では、どうすればよいのか。統計には伝わる相手を妙に納得させる力がある。とくに、中国に来たことがない者が日本側で実務に携わっている場合、合っているのか間違っているのかすらわからない。間違った数字のまま事業収支の根拠として使われていたとしたら大ごとである。というわけで、私の場合、怪しい数字は最初から使用しないようにしている。これは市場調査に携わるものとしてふさわしくない態度であるかもしれないが、間違った数字を使わせたくないという態度なのである。
逆に自分が自信をもって出せる数字というものが、自分の足で稼いだ一次資料である。物件ひとつひとつ回って調べたデータや、街を歩き回って得られたデータ、すなわち、「自分自身が根拠」となるようなデータである。
私が専攻してきた文化人類学では、一次資料の収集を重要視する。統計や文献から得られる情報はあくまで二次資料であり、それは一次資料を検討、批判するためのものにすぎない。もっといえば、事業の検討余地は一次資料の中に眠っている。市場調査は眠ったものを紡ぎ出すものである。
私の調査および執筆する報告書は、一次資料が中心となる場合が多い。中には、統計を中心にするものもあるが、それは目的が統計の分析だからである。一次資料の収集にはそれなりの時間がかかるが、結果的に事業の方向性を検討するのにいちばん的確な結果を導き出すことができるように思う(実際のところ、長時間かけて報告書を執筆するのは難しいのが現状であることは秘密である)。
以前のコラム
フィールドワークとしての中国不動産市場 第1回:統計嫌いの不動産市場調査
私が専攻してきた文化人類学では、一次資料の収集を重要視する。統計や文献から得られる情報はあくまで二次資料であり、それは一次資料を検討、批判するためのものにすぎない。もっといえば、事業の検討余地は一次資料の中に眠っている。市場調査は眠ったものを紡ぎ出すものである。
私の調査および執筆する報告書は、一次資料が中心となる場合が多い。中には、統計を中心にするものもあるが、それは目的が統計の分析だからである。一次資料の収集にはそれなりの時間がかかるが、結果的に事業の方向性を検討するのにいちばん的確な結果を導き出すことができるように思う(実際のところ、長時間かけて報告書を執筆するのは難しいのが現状であることは秘密である)。
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フィールドワークとしての中国不動産市場 第1回:統計嫌いの不動産市場調査
情報提供:
Stasia Capital Holding Limited
Stasia Capital Holding Limited2008/11/26 更新
筆者:安田明宏氏
Stasia Capital調査部主任研究員
Stasia Capital Holding Limited (ステイジア・キャピタル)
[住所] 上海市北京西路1701号静安中華大厦703室
[電話] 021-6288-3917 / [FAX] 021-6288-3991
[E-mail] yasuda@stasiacapital.com
[URL] http://www.stasiacapital.com
Stasia Capital調査部主任研究員
プロフィール…名古屋大学大学院文学研究科博士課程単位取得満期退学。インドネシア・スラバヤ国立大学大学院国家教育研究科博士課程留学。専攻は文化人類学。
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