中国業界人記事
私は統計を見るのがあまり得意ではない。そう言ってしまうと、その時点で不動産市場調査に従事する人間として、すでに失格の烙印を押されているような気がする。しかし、事実は事実である。こんな私が、どうして統計資料が重要となる不動産市場調査に従事できるのか、不思議に思われるかもしれない。もちろん、統計の重要性は認識している。実際に、不動産市場を分析するにあたり、数字とにらめっこしながら文章を書くことも多い。機関投資家、デベロッパーなどが必要とする数字を的確に提供することは、不動産市場調査における重要な仕事のひとつである。
私は大学院で文化人類学を専攻した。文化人類学において、学問的アイデンティティのひとつとなっているのがフィールドワークである。フィールドワークをおこなわなければ、文化人類学的な研究にはならないといわれ、文化人類学にとっては「通過儀礼」である。「長期間」「社会にどっぷり浸かり」「現地の人びととの信頼関係」を基礎に、フィールドワークを進めることが必要とされた。私の場合、研究対象がインドネシアであったことから、長期間にわたってスラバヤで暮らし、フィールドワークをおこなってきた。
私は大学院で文化人類学を専攻した。文化人類学において、学問的アイデンティティのひとつとなっているのがフィールドワークである。フィールドワークをおこなわなければ、文化人類学的な研究にはならないといわれ、文化人類学にとっては「通過儀礼」である。「長期間」「社会にどっぷり浸かり」「現地の人びととの信頼関係」を基礎に、フィールドワークを進めることが必要とされた。私の場合、研究対象がインドネシアであったことから、長期間にわたってスラバヤで暮らし、フィールドワークをおこなってきた。
フィールドワークでは、ある社会の中に身を置き、調査対象を中心に自分の足でデータを収集する。その資料を用いて、論文を書いたり、学会で発表したりする。もちろん、統計や先行研究がある場合は、自分の集めたデータと照らし合わせながら研究を進める。しかし私の場合、統計的な資料がほとんどなかったため、実際に自分でデータを集めるしかなかった。統計的な数字はないものだから自分で調べるしかない、調べるには、長期間その社会と緊密な関係をつくらなければならないという考えが、どうもフィールドワーク中に身について離れなくなってしまったようである。調査はフィールドワークありき、という考えは、私の中で至極自然なことである。
結局、現在、不動産ビジネスの世界に身を置いている以上、文化人類学で経験した「特濃とんこつスープ」的なフィールドワークはほぼ不可能になってしまった(私が暮らしている上海ならば可能かもしれない)。「出張」という短期集中的調査に姿をかえ、また対象がある社会の一事象という小さな範囲ではなくなった。中国不動産という巨大市場が対象となり、等身大でおこなうフィールドワークで抱え込めるような代物ではなくなってしまった。
しかし、フィールドワークは不可能となったとしても、フィールドワーク的な手法や考えは十分に使える。たとえば、統計資料が乏しい地域の調査だと、自分の足でデータを稼ぐしかない。不動産価格や賃料の相場、開発の進捗状況、物件のクオリティなどを調べることは、短期でも十分に可能である。また、政府関係者やその地域に進出した企業担当者へのインタビューを通じて重要な情報を引き出すことも可能だろう。なにより、自分の足で収集したデータは、統計よりも説得力がある。
結局、現在、不動産ビジネスの世界に身を置いている以上、文化人類学で経験した「特濃とんこつスープ」的なフィールドワークはほぼ不可能になってしまった(私が暮らしている上海ならば可能かもしれない)。「出張」という短期集中的調査に姿をかえ、また対象がある社会の一事象という小さな範囲ではなくなった。中国不動産という巨大市場が対象となり、等身大でおこなうフィールドワークで抱え込めるような代物ではなくなってしまった。
しかし、フィールドワークは不可能となったとしても、フィールドワーク的な手法や考えは十分に使える。たとえば、統計資料が乏しい地域の調査だと、自分の足でデータを稼ぐしかない。不動産価格や賃料の相場、開発の進捗状況、物件のクオリティなどを調べることは、短期でも十分に可能である。また、政府関係者やその地域に進出した企業担当者へのインタビューを通じて重要な情報を引き出すことも可能だろう。なにより、自分の足で収集したデータは、統計よりも説得力がある。
おそらく私のスタイルは、一般のエコノミストとは違うのである。彼らが数字を冷徹に分析することに専念するスタイルであるとするならば、私はもっと人間くさい、主観混じりのスタイルといえる。どちらが優れているとかという問題ではなく、好みや出すべき結果に向かうための手法の問題であるかもしれない。
統計嫌いでも、フィールドワークという経験を生かした手法を用いれば、十分に通用する。私は時間との勝負の中で、できるだけ「特濃とんこつスープ」を出せる市場調査を実践したいと考えている。
本コラムでは、私のフィールドワーク経験をもとに、中国不動産市場を見ていく。中国不動産について、数字だけではわからない感覚を伝えるつもりである。
統計嫌いでも、フィールドワークという経験を生かした手法を用いれば、十分に通用する。私は時間との勝負の中で、できるだけ「特濃とんこつスープ」を出せる市場調査を実践したいと考えている。
本コラムでは、私のフィールドワーク経験をもとに、中国不動産市場を見ていく。中国不動産について、数字だけではわからない感覚を伝えるつもりである。
情報提供:
Stasia Capital Holding Limited
Stasia Capital Holding Limited2008/02/01 更新
筆者:安田明宏氏
Stasia Capital調査部主任研究員
Stasia Capital Holding Limited (ステイジア・キャピタル)
[住所] 上海市長楽路801号華爾登広場203室
[電話] 021-5404-6486 / [FAX] 021-5404-5368
[E-mail] yasuda@stasiacapital.com
[URL] http://www.stasiacapital.com
Stasia Capital調査部主任研究員
プロフィール…名古屋大学大学院文学研究科博士課程単位取得満期退学。インドネシア・スラバヤ国立大学大学院国家教育研究科博士課程留学。専攻は文化人類学。
Stasia Capital Holding Limited (ステイジア・キャピタル)
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