中国業界人記事
2月25日パリで、故イヴ・サンローラン氏の所蔵品のオークションがありました。クリスティーズによって競売にかけられた、ピカソやマチスなどの作品が出展され、総額落札額が約460億円にも上り、個人所蔵品のオークションとしては最高の売上を記録しました。
前回のコラムで金融危機以降の市場の低迷について触れましたが、良い作品は景気に左右されず支持されるということが証明され、業界にとっては非常に明るいニュースでしたが、その時に落札された清朝時代のブロンズ像を巡って、ひと悶着が起きています。
問題となっているのは、清朝時代のネズミとウサギの頭部ブロンズ像。約150年前のアヘン戦争時に英仏連合軍によって略奪されたものとされていた、いわくつきの作品でした。オークションでは2体で計2800万ユーロ(約34億円)で中国人のコレクターによって落札されましたが、オークションが終了後の3月2日、「中国からの略奪品にカネを払うつもりはない」という声明を発表したのです。
落札したコレクター、蔡銘超(Cai Mingchao)は2006年、香港サザビーズのオークションにて、明の時代の仏像を1.1億香港ドルで落札して以来、中国の民間組織「海外流出文化財救出基金(National Treasures Fund)」となり、海外に流出した歴史的遺物を回収・保護する活動をしている人物です。
戦争によって失われた国宝を取り戻したい、という気持ちは理解できますが、だからと言ってルールを侵して良いということにはなりません。ここまでの高値で落札されるまでには当然競りがあったわけで、彼が入札しなければ違う人間がもっと安く手に入れられた可能性もあるのです。決められたルールの上で競売に参加した以上、それに従うのはマナー以前の問題であり、同業者の人間からすると決して許される行為ではありません。ましてや、蔡銘超はアモイで自身のオークション会社を経営しているのです。
このケースに限らず、中国ではオークションで落札したにもかかわらず、支払いがなされない例が少なくありません。オークションの最中は盛り上がって高値で競り落としたにも関わらず、気が変わったなどの理由で支払いを拒否するのです。 そういうケースが多いので、中国のオークション会社では、参加する際に保証金として数十万円から数百万円をオークション会社が預かることが多いのです。
今回は国際的なオークション会社が主催した、著名コレクターの遺品という大きなオークションだったため大きな話題を呼びましたが、このような問題は再発する可能性があります。実際国内の意見としては賛否両論のようで、「あなたが蔡銘超だったらどうするか」というような話題が盛り上がったりしています。
戦争や略奪など歴史に関する問題はセンシティブですし、複数の国が関係する問題は一概に是非を問うことは出来ません。しかし前回のコラムでも述べましたが、美術品のように高額で、価格と価値のバランスが相対的なものが取り引きされる際の一番の拠り所は「信用」です。今回のような事があると、いくら資産を持っていようと、今後中国人コレクターの参加に規制がかかってしまう可能性も出てきます。
金融危機以降、バブルで高値になりすぎた中国の美術品(特にコンテンポラリーアート)は低迷を続けていいて、苦戦を強いられています。「中国のアートは、美術品じゃなくただの金融商品だった」といわれないよう、コレクター、ギャラリー、オークション、美術館、アーティスト、とアートに関わるすべてのプレイヤーが、国際社会での信用を築き上げていくことが一番の課題となりそうです。
前回のコラムで金融危機以降の市場の低迷について触れましたが、良い作品は景気に左右されず支持されるということが証明され、業界にとっては非常に明るいニュースでしたが、その時に落札された清朝時代のブロンズ像を巡って、ひと悶着が起きています。
問題となっているのは、清朝時代のネズミとウサギの頭部ブロンズ像。約150年前のアヘン戦争時に英仏連合軍によって略奪されたものとされていた、いわくつきの作品でした。オークションでは2体で計2800万ユーロ(約34億円)で中国人のコレクターによって落札されましたが、オークションが終了後の3月2日、「中国からの略奪品にカネを払うつもりはない」という声明を発表したのです。
落札したコレクター、蔡銘超(Cai Mingchao)は2006年、香港サザビーズのオークションにて、明の時代の仏像を1.1億香港ドルで落札して以来、中国の民間組織「海外流出文化財救出基金(National Treasures Fund)」となり、海外に流出した歴史的遺物を回収・保護する活動をしている人物です。
戦争によって失われた国宝を取り戻したい、という気持ちは理解できますが、だからと言ってルールを侵して良いということにはなりません。ここまでの高値で落札されるまでには当然競りがあったわけで、彼が入札しなければ違う人間がもっと安く手に入れられた可能性もあるのです。決められたルールの上で競売に参加した以上、それに従うのはマナー以前の問題であり、同業者の人間からすると決して許される行為ではありません。ましてや、蔡銘超はアモイで自身のオークション会社を経営しているのです。
このケースに限らず、中国ではオークションで落札したにもかかわらず、支払いがなされない例が少なくありません。オークションの最中は盛り上がって高値で競り落としたにも関わらず、気が変わったなどの理由で支払いを拒否するのです。 そういうケースが多いので、中国のオークション会社では、参加する際に保証金として数十万円から数百万円をオークション会社が預かることが多いのです。
今回は国際的なオークション会社が主催した、著名コレクターの遺品という大きなオークションだったため大きな話題を呼びましたが、このような問題は再発する可能性があります。実際国内の意見としては賛否両論のようで、「あなたが蔡銘超だったらどうするか」というような話題が盛り上がったりしています。
戦争や略奪など歴史に関する問題はセンシティブですし、複数の国が関係する問題は一概に是非を問うことは出来ません。しかし前回のコラムでも述べましたが、美術品のように高額で、価格と価値のバランスが相対的なものが取り引きされる際の一番の拠り所は「信用」です。今回のような事があると、いくら資産を持っていようと、今後中国人コレクターの参加に規制がかかってしまう可能性も出てきます。
金融危機以降、バブルで高値になりすぎた中国の美術品(特にコンテンポラリーアート)は低迷を続けていいて、苦戦を強いられています。「中国のアートは、美術品じゃなくただの金融商品だった」といわれないよう、コレクター、ギャラリー、オークション、美術館、アーティスト、とアートに関わるすべてのプレイヤーが、国際社会での信用を築き上げていくことが一番の課題となりそうです。
情報提供: Office339 -Contemporary Art-
2009/04/24 更新
筆者:鳥本健太
Office339 -Contemporary Art-
住所:上海市威海路696号1号楼106室(近陕西北路) 郵便番号200041
TEL:021 6267 0176
FAX:021 6267 0176
E-mail:info@office339.com
HP:http://www.office339.com
1980年北海道生まれ
ギャラリー、版画工房勤務を経て、2006年にアートマネージメント事務所Office339を設立。
上海を拠点に現代美術作家のマネージメントを軸とし、展覧会の企画やメディア・美術関係者のコーディネートを行っている。現代アートが内包する力を、いかに社会で活用できるかを模索し奮闘中。
ギャラリー、版画工房勤務を経て、2006年にアートマネージメント事務所Office339を設立。
上海を拠点に現代美術作家のマネージメントを軸とし、展覧会の企画やメディア・美術関係者のコーディネートを行っている。現代アートが内包する力を、いかに社会で活用できるかを模索し奮闘中。
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