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鳥本健太の中国美術市場コラム 第2回:金融危機以降のアートマーケット
第1回目からずいぶん時間が空いてしまいましたが、今月からは月1でコラムを書かせていただきたいと思います。どうぞよろしく願いします。

金融危機以降、世界中で不況のニュースが飛び交っていますが、アートマーケットも例に漏れず、ここ半年で状況が様変わりしました。

こちらのグラフをご覧ください。

金融危機以降のアートマーケット

クリスティーズというオークション会社が中国香港地区で催した、「アジア現代美術」のセールの落札総額の推移をグラフで表したものです。ご覧のように、2005年11月から2008年5月まで、毎回売上記録を更新し好調ぶりを見せていたものの、2008年11月にはおよそ1/4にダウンしています。

9月のリーマン・ブラザーズ破綻に端を発する金融危機の影響をモロに受けた形となっています。

クリスティーズ香港のセールは、中国の現代アートの盛り上がりとともに、アジアのマーケット状況を図る指標的な役割をしてきました。

それにあわせたように、クリスティーズ香港と同じように好成績を続けてきた国内外のオークションハウスも売り上げが急降下し、これまで90%以上を維持してきた落札率も、どこのオークション会社も50%台前後となっています。

筆者は昨年12月に北京で行われた国内大手のオークション会社、保利国際オークションのオークション会場に足を運びました。

実際みたのは、「アジアコンテンポラリー」というジャンルのセクションですが、会場内の半分も席が埋まっておらず、寂しいセールとなっていました。実際、落札率も46%にとどまり、非常に厳しい様子を露呈していました。

世界のアートマーケットの情報を提供しているARTPRICE.COMの2月の記事に、金融危機と新興市場ということで、中国とインドの市場についてのレポート(※文末に転載)がありましたので、ここで少しご紹介します。

記事では、中国は2004年1月から2004年1月で価格指数が583%の上昇、インドは2004年1月から2009年1月の間で価格指数が957%の上昇と、インドも中国と同じく、近年マーケットが急成長してきた新興市場です。

金融危機以降どちらの新興市場も、景気の影響をうけ厳しい状況とありますが、筆者は今後の両国の市場の状況に差がでてくるのではないかと見ています。

筆者は07年、08年とリサーチにインドを訪れ、現地の現代アートの状況を見てきました。

インドのマーケットの特徴としては、イギリス統治時代の影響もあってか、国内のギャラリーやオークションのシステムが機能していて、マーケットのインフラがしっかりと整備されている印象を受けました。

その反面、中国はもともと現代アートのマーケットがなかった状態で、国内というよりも欧米諸国に引っ張られるかたちで、巨大なマーケットが一瞬で生まれたため、規模は大きいものの、マーケットのインフラがまだまだ未熟です。

金融危機以降、バブルのはじけたマーケットでは、今後数年はもともとあったインフラの強さの差が出てくるではないかと感じています。

大量生産される製品やコモディティとは違い、一点ものが多いく高額なアートの取引には、作品自体の良し悪しだけでなく、販売店の役割を果たすギャラリーや、マーケット自体を形成するオークション会社の信用が重要な要素となってきます。安心して購入したり、販売できるインフラがなければ、作品は流通しません。

筆者の周りでも、ギャラリーやオークション会社の人員削減や、閉鎖の話が相次いで聞こえており、これまで好調をキープしてきた中国市場の力が本当に試される時期になってきたと感じています。

しかし逆にいうと、しっかりと信用を獲得しブランド化していくことができれば、チャンスがあるのも事実。

また、市場として悲観的な見方が多いですが、アーティストにとっては、売り上げや価格に踊らされることなく、好きな作品をつくりやすい環境になったともいえます。そしてコレクターの方にとっては、良い作品を安く買えるチャンスでもあり、今の状況をどうとらえて活動していくかがポイントになってくると思われます。

マーケット主導であったアートシーンがこれから変化していくのか。非常にチャレンジングな時代に突入しました。

以下「Art Market Insight New markets and the crisis」より転載

The first consequences of the global financial crisis on the art market were felt in Hong Kong in 2008 at the Christie’s and Sotheby’s October sales.

Indeed, China's art market has proved to be particularly sensitive and thousands of art market professionals are keenly watching developments in that country where the price index of contemporary art rose 583% between January 2004 and January 2009.

The stars of contemporary Indian art are in more or less the same boat. Despite a 957% increase in the price index between January 2004 and January 2009.

Art Market Insight New markets and the crisis
情報提供: Office339 -Contemporary Art-
2009/04/24 更新
筆者:鳥本健太
1980年北海道生まれ
ギャラリー、版画工房勤務を経て、2006年にアートマネージメント事務所Office339を設立。
上海を拠点に現代美術作家のマネージメントを軸とし、展覧会の企画やメディア・美術関係者のコーディネートを行っている。現代アートが内包する力を、いかに社会で活用できるかを模索し奮闘中。



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