中国業界人記事
今年9月15日の米証券大手リーマンブラザーズが経営破綻したニュースは、世界経済を大きく揺るがした。グローバル化した国際経済の低迷は、いよいよ本格的に中国不動産市場に対するボディブローを加速させるはずだ――リーマン破綻のニュースを知ったとき、私はこのように思った。
現在、中国の不動産市場は低迷路線のまっただ中を突き進んでいることは周知の通りである。最近の住宅市場といえば、どこそこで取引量が何十パーセント下落した、売るに売れない状況が発生している、サブプライムローン問題の深化、銀行の不良債権に対する警戒、デベロッパーの資金繰りの悪化などのニュースがほとんどである。昨年前半の絶好調期と比べると、手のひらをひっくり返したような論調の転換である。市場全体が沈んでいる中で、さらにリーマン破綻である。ニュースを見聞きするだけで、絶望的な気分になってくる。好調だったオフィス市場や商業店舗市場も、好調色が薄れてきているように感じる。
さて、リーマン破綻による中国不動産市場に対する影響である。保有している物件として有名なのは、上海の永業公寓二期(盧湾)と福海商業中心(北外灘)である。前者は、04年7月に、米モルガンスタンレーとの共同で2億元を投資した住宅プロジェクトである。投資時期が04年なので、ある程度のキャピタルゲインが出ていると考えられる。後者は、不良債権となっていたオフィスビルで、4億5000万元で購入した。不良債権案件ということもあり、かなり格安で購入したものとみられる。
永業公寓二期に関しては、今後、売却が進む可能性があると報じられている(9月18日、『毎日財経新聞』)。福海商業中心に関しても、売却の方向で検討が進むものとみられる。前者は購入時期が早く、後者は不良債権プロジェクトで格安で購入している。現在、不動産市場の調整が続いているものの、売却できた場合、購入価格割れするほど買い叩叩かれる可能性は低いだろう。また、売却行為そのものが市場相場を大きく崩すような現象は起きず、数的な市場価格や取引量に影響を与える余地は少ないとみてよいだろう。リーマンは経営破綻したわけだから物件の売却があるに違いないという予測は、調整下の市場においてすでに認知済みであろう。上海の不動産取引規模からすれば、リーマンのみならず、外国投資家による保有物件の売却、購入は「雀の涙」である。
現在、注視すべきなのは、冒頭で述べた「ボディブロー」である。これは、「外から多様性をもって」中国不動産市場に影響を与えるだろう。まず、最近まで続いた金融引き締め政策により、相当数の国内デベロッパーの資金繰りが悪化しているといわれている。
外国投資家からの資金調達を期待していたが、リーマンの破綻を受けて、外国からの支援をくじかれた格好になりうる。リーマンは、富力地産や首創置業、北京北辰などの不動産関連株を保有しており、国内デベロッパーへ影響が出る可能性が高い。大手は、中国各地で不動産開発を進めており、全国に飛び火する懸念もでてくる。不動産市場への間接投資は、広範囲にわたって、開発スピードの鈍化、物件の不良債券化、価格の下落などの悪影響をおよぼす可能性がある。
次に、リーマンの保有物件の売却に感化されて、外国投資家が一斉に売却する可能性がある。しかし、先に述べたように、外国投資家は、市場でごく一部を占めているにすぎない。注目すべきは、一斉に売却することから発生する心理的影響である。外国からの投資が一気に引く可能性が高まった状況は、中国不動産市場の低迷の深化に大きく影響を与えるだろう。連鎖反応による保有物件の売却そのものより、連鎖反応的心理不安の増長のほうがボディブローとして効果が高い。閉塞感が市場にどのような形で近づき、覆っていくのか注視すべきだろう。
今後、米国政府は、リーマン破綻の影響を最小限に食い止めようとするだろう。しかし、すでにグローバル化した状況下では、破綻の数的、心理的、物理的影響は拡散する方向に働くだろう。たとえ、リーマンとの関係を清算したとしても、その背後に広がる連鎖的国際経済の低迷を拭いきることはできない。
現在、中国の不動産市場は低迷路線のまっただ中を突き進んでいることは周知の通りである。最近の住宅市場といえば、どこそこで取引量が何十パーセント下落した、売るに売れない状況が発生している、サブプライムローン問題の深化、銀行の不良債権に対する警戒、デベロッパーの資金繰りの悪化などのニュースがほとんどである。昨年前半の絶好調期と比べると、手のひらをひっくり返したような論調の転換である。市場全体が沈んでいる中で、さらにリーマン破綻である。ニュースを見聞きするだけで、絶望的な気分になってくる。好調だったオフィス市場や商業店舗市場も、好調色が薄れてきているように感じる。
さて、リーマン破綻による中国不動産市場に対する影響である。保有している物件として有名なのは、上海の永業公寓二期(盧湾)と福海商業中心(北外灘)である。前者は、04年7月に、米モルガンスタンレーとの共同で2億元を投資した住宅プロジェクトである。投資時期が04年なので、ある程度のキャピタルゲインが出ていると考えられる。後者は、不良債権となっていたオフィスビルで、4億5000万元で購入した。不良債権案件ということもあり、かなり格安で購入したものとみられる。
永業公寓二期に関しては、今後、売却が進む可能性があると報じられている(9月18日、『毎日財経新聞』)。福海商業中心に関しても、売却の方向で検討が進むものとみられる。前者は購入時期が早く、後者は不良債権プロジェクトで格安で購入している。現在、不動産市場の調整が続いているものの、売却できた場合、購入価格割れするほど買い叩叩かれる可能性は低いだろう。また、売却行為そのものが市場相場を大きく崩すような現象は起きず、数的な市場価格や取引量に影響を与える余地は少ないとみてよいだろう。リーマンは経営破綻したわけだから物件の売却があるに違いないという予測は、調整下の市場においてすでに認知済みであろう。上海の不動産取引規模からすれば、リーマンのみならず、外国投資家による保有物件の売却、購入は「雀の涙」である。
現在、注視すべきなのは、冒頭で述べた「ボディブロー」である。これは、「外から多様性をもって」中国不動産市場に影響を与えるだろう。まず、最近まで続いた金融引き締め政策により、相当数の国内デベロッパーの資金繰りが悪化しているといわれている。
外国投資家からの資金調達を期待していたが、リーマンの破綻を受けて、外国からの支援をくじかれた格好になりうる。リーマンは、富力地産や首創置業、北京北辰などの不動産関連株を保有しており、国内デベロッパーへ影響が出る可能性が高い。大手は、中国各地で不動産開発を進めており、全国に飛び火する懸念もでてくる。不動産市場への間接投資は、広範囲にわたって、開発スピードの鈍化、物件の不良債券化、価格の下落などの悪影響をおよぼす可能性がある。
次に、リーマンの保有物件の売却に感化されて、外国投資家が一斉に売却する可能性がある。しかし、先に述べたように、外国投資家は、市場でごく一部を占めているにすぎない。注目すべきは、一斉に売却することから発生する心理的影響である。外国からの投資が一気に引く可能性が高まった状況は、中国不動産市場の低迷の深化に大きく影響を与えるだろう。連鎖反応による保有物件の売却そのものより、連鎖反応的心理不安の増長のほうがボディブローとして効果が高い。閉塞感が市場にどのような形で近づき、覆っていくのか注視すべきだろう。
今後、米国政府は、リーマン破綻の影響を最小限に食い止めようとするだろう。しかし、すでにグローバル化した状況下では、破綻の数的、心理的、物理的影響は拡散する方向に働くだろう。たとえ、リーマンとの関係を清算したとしても、その背後に広がる連鎖的国際経済の低迷を拭いきることはできない。
一方で、注目しておきたい動きがある今年7月、シンガポールのキャピタランドが、中国に於いて10億ドル規模のプライベート・エクイティ・ファンドを立ち上げたほか、9月、モルガンスタンレーも世界の不動産を対象にした投資ファンドを設立し、中国への投資額は14億6000万ドルに達する見込みとなっている。中国不動産に向かう外資の動きは依然として活発である。リーマン破綻の影響を受けて、外国投資家による中国不動産市場の見方がどのように変化していくのか、注目が集まるだろう。
中国不動産市場の調整がはじまって、1年が経過した。リーマンの破綻からどのような波及効果が生まれ、悪影響がどのような形で中国不動産市場をさらに低迷に追い込むのだろうか。リーマン破綻によって生まれた亡霊は、中国不動産市場の足下を確実に削る力を十分にもっている。
中国不動産市場の調整がはじまって、1年が経過した。リーマンの破綻からどのような波及効果が生まれ、悪影響がどのような形で中国不動産市場をさらに低迷に追い込むのだろうか。リーマン破綻によって生まれた亡霊は、中国不動産市場の足下を確実に削る力を十分にもっている。
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情報提供:
Stasia Capital Holding Limited
Stasia Capital Holding Limited2008/11/26 更新
筆者:安田明宏氏
Stasia Capital調査部主任研究員
Stasia Capital Holding Limited (ステイジア・キャピタル)
[住所] 上海市北京西路1701号静安中華大厦703室
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Stasia Capital調査部主任研究員
プロフィール…名古屋大学大学院文学研究科博士課程単位取得満期退学。インドネシア・スラバヤ国立大学大学院国家教育研究科博士課程留学。専攻は文化人類学。
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