中国業界人記事
内装工事の際には内装業者に適宜に指示をする必要がある。指示をしないと内装業者が勝手な判断で工事をおこなうことになり、完了後に文句をいっても修正できない場合が多い。今回は内装業者から2階の住人について文句がでてきた。「彼らはいつまでたっても材料が決まらないし、決まったあとも意見がよくかわる。彼らとはやりにくい」とのことだ。内装業者に嫌われてしまうと、施工の精度が落ちる可能性があり逆に、彼らが嫌われてくれれば、私にとってはいい方向に働くかもしれないのだが・・・。
私と妻は、建築のプロではないため、コンクリートや接着剤の種類など見せられてもよく分からないので、私と妻が全部できる仕事ではないので、ここは彼らを信用していちばんいいと思う材料を購入してくれと頼んだ(彼らもそれのほうが施工しやすいだろうという考えもあった)。何を購入したのか領収書を見せてもらい、ごまかしがないかチェックする。(実際には、領収書の改ざんもあると聞いているので、見てもよく分からないということも考えられるが、判断基準は、渡された領収書のみである)。我々は、実際に目に見えるもや(タイルや塗装など)使用するもの(電気スイッチや洗面台など)に関しては購入することにした。
工事は、一進一退が続いた。ウィークデイは仕事があるので、施工の様子を見ることができない。施工の順番、手順もはっきりとせずひとつの工事が終了したあとも次に何の資材を買えばいいのかよく分からない。購入した資材は、どのような形で、どのような効果があって利用されるものなのかもはっきりしない。彼らに進捗の説明を求めても、次の日には予定がかわっている。彼らが我々の目の前で施している工事には、いったい何の意味があるのだろうか。よく分からないまま進む工事は、完成イメージとどのような接点があるというのだろうか、ちゃんと完成できるのだろうか。
結局よくわからないまま「たぶん工事は何となく終わるのだろう」という意識しかもてなかったし、そう考えるほかなかった。工事のことについて知識ももちあわせていないし、正しいか正しくないか判断できないからである。そもそも、材料購入も含め、彼らに仕事を任せたわけである。信じるほかない。
判断基準のなさと完成イメージの間で生まれるギャップに加え、中国における施工技術の低さがさらに不安を掻きたてる。内装を完璧にやってもらいたい、安心して暮らせる空間をつくってもらいたいという気持ちがあるが、施工技術の低い彼らに何をいっても、何もせずできないのである。いろいろと折衝を重ねるうち、我々は、どんどんと気力と体力を奪われていってしまった。「とりあえず、完成すればいい」という、投げやりな気持ちにさせられた。いちいち彼らに叱咤する気力もなくなった。
すばらしい実績や、外国人の住宅の内装を手がけたことがある内装業者に依頼すれば、枕を高くして寝ることができたかもしれない。そういった業者は確かに存在する。しかし、概して内装費用が相当高くなってしまう。そもそも、この住宅は、「高級住宅」といえるようなものではなく、ミドルクラスの人びとが暮らす、ごくごく一般的なものである。このような住宅は、そのものの施工技術が高いとはいえない。2002年に竣工したのだが、外観はすでに10年以上経過しているような風貌である。このような住宅に、高い施工費用を払う価値があるようには思えない。結局のところ、「それ相応」の内装を施すのがもっとも落ち着く考え方であるように思う。人が足りない、材料が届かない、注文したものとは違うものが届く、取り付けも甘い、工事箇所とは関係ないところに傷がついている、しかしごくたまにできないと思ったことをうまくやってのけたりする・・・・など文句や妥協、希望と苛立ちが渦巻きながら内装は「何となく」終了した。
さて次に、実際に使用してみなければならないわけだが、やはり問題が生じた。キッチンの流し台の排水から水が漏れていた。さらにシャワールームの排水が詰まり気味で、水のでが不安定だったり、電器が突然途切れたりと一回ですべての内装工事が終わるわけではない。結局のところ、対処療法的に問題を解決するしかない。内装業者は、「内装工事を終わらせる」のが目的であり、そのあとに引き起こる可能性がある問題については、極端に消極的になる。アフターサービスというような概念は存在しない。アフター「セルフ」サービスである。
これまで、我々の内装工事について報告してきた。内装工事を依頼して率直に感じたのは、「二度とやりたくない」ということである。苛立ちが募る状況が2カ月以上続き、体力と気力を奪われ続ける。
しかし、ここにはニーズがあると理解することもできる。日本には、高水準の施工技術とサービスがある。内装全体をトータルで面倒を見るようなビジネスを、膨大なニーズが眠る住宅市場に押し拡げるのである。確かに、内装費用の水準は、われわれが施した内装より高くなるだろう。しかし、「だまされない」、「安心できる」、「高い技術」、「充実のアフターサービス」といった日本人にとっては当たり前の概念は、現在、消費者意識が高まっている中国市場において歓迎されるはずだ。しかし、このような共有スペースの私有化を日系企業が担えるかどうかは、別の話になるだろうが・・・。
私と妻は、建築のプロではないため、コンクリートや接着剤の種類など見せられてもよく分からないので、私と妻が全部できる仕事ではないので、ここは彼らを信用していちばんいいと思う材料を購入してくれと頼んだ(彼らもそれのほうが施工しやすいだろうという考えもあった)。何を購入したのか領収書を見せてもらい、ごまかしがないかチェックする。(実際には、領収書の改ざんもあると聞いているので、見てもよく分からないということも考えられるが、判断基準は、渡された領収書のみである)。我々は、実際に目に見えるもや(タイルや塗装など)使用するもの(電気スイッチや洗面台など)に関しては購入することにした。
工事は、一進一退が続いた。ウィークデイは仕事があるので、施工の様子を見ることができない。施工の順番、手順もはっきりとせずひとつの工事が終了したあとも次に何の資材を買えばいいのかよく分からない。購入した資材は、どのような形で、どのような効果があって利用されるものなのかもはっきりしない。彼らに進捗の説明を求めても、次の日には予定がかわっている。彼らが我々の目の前で施している工事には、いったい何の意味があるのだろうか。よく分からないまま進む工事は、完成イメージとどのような接点があるというのだろうか、ちゃんと完成できるのだろうか。
結局よくわからないまま「たぶん工事は何となく終わるのだろう」という意識しかもてなかったし、そう考えるほかなかった。工事のことについて知識ももちあわせていないし、正しいか正しくないか判断できないからである。そもそも、材料購入も含め、彼らに仕事を任せたわけである。信じるほかない。
判断基準のなさと完成イメージの間で生まれるギャップに加え、中国における施工技術の低さがさらに不安を掻きたてる。内装を完璧にやってもらいたい、安心して暮らせる空間をつくってもらいたいという気持ちがあるが、施工技術の低い彼らに何をいっても、何もせずできないのである。いろいろと折衝を重ねるうち、我々は、どんどんと気力と体力を奪われていってしまった。「とりあえず、完成すればいい」という、投げやりな気持ちにさせられた。いちいち彼らに叱咤する気力もなくなった。
すばらしい実績や、外国人の住宅の内装を手がけたことがある内装業者に依頼すれば、枕を高くして寝ることができたかもしれない。そういった業者は確かに存在する。しかし、概して内装費用が相当高くなってしまう。そもそも、この住宅は、「高級住宅」といえるようなものではなく、ミドルクラスの人びとが暮らす、ごくごく一般的なものである。このような住宅は、そのものの施工技術が高いとはいえない。2002年に竣工したのだが、外観はすでに10年以上経過しているような風貌である。このような住宅に、高い施工費用を払う価値があるようには思えない。結局のところ、「それ相応」の内装を施すのがもっとも落ち着く考え方であるように思う。人が足りない、材料が届かない、注文したものとは違うものが届く、取り付けも甘い、工事箇所とは関係ないところに傷がついている、しかしごくたまにできないと思ったことをうまくやってのけたりする・・・・など文句や妥協、希望と苛立ちが渦巻きながら内装は「何となく」終了した。
さて次に、実際に使用してみなければならないわけだが、やはり問題が生じた。キッチンの流し台の排水から水が漏れていた。さらにシャワールームの排水が詰まり気味で、水のでが不安定だったり、電器が突然途切れたりと一回ですべての内装工事が終わるわけではない。結局のところ、対処療法的に問題を解決するしかない。内装業者は、「内装工事を終わらせる」のが目的であり、そのあとに引き起こる可能性がある問題については、極端に消極的になる。アフターサービスというような概念は存在しない。アフター「セルフ」サービスである。
これまで、我々の内装工事について報告してきた。内装工事を依頼して率直に感じたのは、「二度とやりたくない」ということである。苛立ちが募る状況が2カ月以上続き、体力と気力を奪われ続ける。
しかし、ここにはニーズがあると理解することもできる。日本には、高水準の施工技術とサービスがある。内装全体をトータルで面倒を見るようなビジネスを、膨大なニーズが眠る住宅市場に押し拡げるのである。確かに、内装費用の水準は、われわれが施した内装より高くなるだろう。しかし、「だまされない」、「安心できる」、「高い技術」、「充実のアフターサービス」といった日本人にとっては当たり前の概念は、現在、消費者意識が高まっている中国市場において歓迎されるはずだ。しかし、このような共有スペースの私有化を日系企業が担えるかどうかは、別の話になるだろうが・・・。
内装工事が終了した共有スペース

追伸:
2008年6月20日付の『上海日報』や『東方早報』などによると、人民代表大会常務委員会において、「上海市房地産登記条例(修訂草案)」について議論が交わされた模様である。内容には、「家の構造に対して損害を与えたオーナーの物件に関して、取引を停止する」というものがあった。損害を与えたオーナーは、構造上の問題を解決しなければ、取引を再開できないとしている。
実際に、どのような構造変化に対して取引停止が下るのか不明だが、われわれの家は、今後、売却できなくなる可能性が出てきたといえる。万が一、原状回復を求められた場合、どうしようかと模索中である。上海全体で原状回復の傾向が生まれるならば、新たな内装狂想曲が響き渡ることになるだろう。

追伸:
2008年6月20日付の『上海日報』や『東方早報』などによると、人民代表大会常務委員会において、「上海市房地産登記条例(修訂草案)」について議論が交わされた模様である。内容には、「家の構造に対して損害を与えたオーナーの物件に関して、取引を停止する」というものがあった。損害を与えたオーナーは、構造上の問題を解決しなければ、取引を再開できないとしている。
実際に、どのような構造変化に対して取引停止が下るのか不明だが、われわれの家は、今後、売却できなくなる可能性が出てきたといえる。万が一、原状回復を求められた場合、どうしようかと模索中である。上海全体で原状回復の傾向が生まれるならば、新たな内装狂想曲が響き渡ることになるだろう。
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フィールドワークとしての中国不動産市場 第9回:内装狂想曲―共有スペースの私有化―(中編)
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フィールドワークとしての中国不動産市場 第6回:第11期全人代第1回会議からみる不動産市場(中編)
フィールドワークとしての中国不動産市場 第5回:第11期全人代第1回会議からみる不動産市場(前編)
フィールドワークとしての中国不動産市場 第4回:静安寺の風景(後編)
フィールドワークとしての中国不動産市場 第3回:静安寺の風景(前編)
フィールドワークとしての中国不動産市場 第2回:統計の数字と一次資料
フィールドワークとしての中国不動産市場 第1回:統計嫌いの不動産市場調査
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フィールドワークとしての中国不動産市場 第3回:静安寺の風景(前編)
フィールドワークとしての中国不動産市場 第2回:統計の数字と一次資料
フィールドワークとしての中国不動産市場 第1回:統計嫌いの不動産市場調査
情報提供:
Stasia Capital Holding Limited
Stasia Capital Holding Limited2008/07/11 更新
筆者:安田明宏氏
Stasia Capital調査部主任研究員
Stasia Capital Holding Limited (ステイジア・キャピタル)
[住所] 上海市長楽路801号華爾登広場203室
[電話] 021-5404-6486 / [FAX] 021-5404-5368
[E-mail] yasuda@stasiacapital.com
[URL] http://www.stasiacapital.com
Stasia Capital調査部主任研究員
プロフィール…名古屋大学大学院文学研究科博士課程単位取得満期退学。インドネシア・スラバヤ国立大学大学院国家教育研究科博士課程留学。専攻は文化人類学。
Stasia Capital Holding Limited (ステイジア・キャピタル)
[住所] 上海市長楽路801号華爾登広場203室
[電話] 021-5404-6486 / [FAX] 021-5404-5368
[E-mail] yasuda@stasiacapital.com
[URL] http://www.stasiacapital.com
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