中国業界人記事
今回の政府活動報告では、「生活基盤」としての不動産という位置づけが、以前に比べてより明確になった。すなわち、今後、投機目的での不動産市場への参入は歓迎されなくなる可能性が高くなるということである。すでに、外国の機関投資家やデベロッパーのあいだでは、中国が外資を締め出すのではないかという憶測が流れはじめている。
2008年3月12日付の『人民網』の報道によると、商務部部長の陳徳銘らが出席した記者会見において、商務部外国投資管理司司長の李志群は、記者の質問に対して、外国からの不動産投資に対する管理を強化する考えがあることを示した。香港の記者が「外国人による住宅購入の制限は、投機目的での購入を制限した。しかし、聞くところ、外国人の住宅購入の動きさえ封じ込んだとしても、このような画一的な方法では住宅価格の上昇問題を解決し、投機の動きを防ぐことができていないのではないか。開発にあたっては、透明度の高い外資がおこなうということについてどう考えるか? 商務部は、今後、何かしらの措置をとることはあるか?」と質問したのに対し、李志群は「商務部は、国家のマクロコントロールに対して協力するため、外国人による投資において、不動産部門で管理を強化した。2006年以来、国務院および関連部門は、不動産における外国からの投資に関する問題に対して、一連の政策を発表してきた。主な目的は外国からの投資に対する不動産部門における審査方法、原則などを設けて規範化し、投機目的の資金が国内不動産に流入することを防止することである。この問題については、国家の関連部門や委員会と合同で対処しており、商務部としては、それらと共同で外国からの不動産投資に対して規範化を進めるつもりである」と答えている。
2006年7月に発表されたオフショアからの直接投資の禁止、2007年5月および7月の外商投資企業(WFOE)に関する認可の厳格化、同年11月の外商投資産業指導目録の改正など、近年、外国からの投資に関して、制限圧力が高まっている。今回の温家宝首相による政府活動報告と商務部の見解では、今後、外国投資家に対するさらなる規制が発表される可能性は否定できない。
しかし、人民元の切り上げ期待から、中国不動産市場に参入しようとする外国投資家は後を絶たないのも現状である。米国サブプライム問題の影響から米国市場に見切りをつけて、アジア不動産へ目を向ける機関投資家の数も多くなってきている。たとえば、2008年2月25日付のロイター通信の報道によると、スイスの金融大手UBSが、中国不動産市場に投資するファンド立ち上げを計画している。投資予定額は約10億ドルで、サブプライム問題を中心とする懸念材料から、投資家が欧米の不動産投資に対して慎重態度を見せており、アジア不動産市場への投資に対する前向きな姿勢を示しているものと見られる。また、2008年3月13日付の『上海日報』によると、2007年の中国の外貨準備高は4,600億米ドルで、そのうち2,500億米ドルが貿易黒字である。残りの約2,000億米ドルのうち、40%程度が人民元切り上げ期待から不動産市場に流入したホットマネーであるという。
近年、外貨準備高が高すぎるとの問題が指摘されているものの、債券などの売りオペなどによってマネーサプライ(M2)を抑制する動きは活発であるとはいえない。マネーサプライの堅調な上昇傾向が続く結果、市中に資金がたまりこみ、行き場を失った資金が不動産市場に行き着かざるを得ない状況が生まれている。この構造上の問題を解決しなければ、外国からのホットマネーが中国不動産市場で活躍し続けることになるのである。外貨準備高を下げるには人民元の切り上げが効果的だが、切り上げ期待が高まるほど、外国から不動産市場にホットマネーが流入する仕組みになってしまっている 。政府活動報告は、この構造的解決をはかれるほどの具体的対策が打ち出されているとはいえないだろう。
2006年7月に発表されたオフショアからの直接投資の禁止、2007年5月および7月の外商投資企業(WFOE)に関する認可の厳格化、同年11月の外商投資産業指導目録の改正など、近年、外国からの投資に関して、制限圧力が高まっている。今回の温家宝首相による政府活動報告と商務部の見解では、今後、外国投資家に対するさらなる規制が発表される可能性は否定できない。
しかし、人民元の切り上げ期待から、中国不動産市場に参入しようとする外国投資家は後を絶たないのも現状である。米国サブプライム問題の影響から米国市場に見切りをつけて、アジア不動産へ目を向ける機関投資家の数も多くなってきている。たとえば、2008年2月25日付のロイター通信の報道によると、スイスの金融大手UBSが、中国不動産市場に投資するファンド立ち上げを計画している。投資予定額は約10億ドルで、サブプライム問題を中心とする懸念材料から、投資家が欧米の不動産投資に対して慎重態度を見せており、アジア不動産市場への投資に対する前向きな姿勢を示しているものと見られる。また、2008年3月13日付の『上海日報』によると、2007年の中国の外貨準備高は4,600億米ドルで、そのうち2,500億米ドルが貿易黒字である。残りの約2,000億米ドルのうち、40%程度が人民元切り上げ期待から不動産市場に流入したホットマネーであるという。
近年、外貨準備高が高すぎるとの問題が指摘されているものの、債券などの売りオペなどによってマネーサプライ(M2)を抑制する動きは活発であるとはいえない。マネーサプライの堅調な上昇傾向が続く結果、市中に資金がたまりこみ、行き場を失った資金が不動産市場に行き着かざるを得ない状況が生まれている。この構造上の問題を解決しなければ、外国からのホットマネーが中国不動産市場で活躍し続けることになるのである。外貨準備高を下げるには人民元の切り上げが効果的だが、切り上げ期待が高まるほど、外国から不動産市場にホットマネーが流入する仕組みになってしまっている 。政府活動報告は、この構造的解決をはかれるほどの具体的対策が打ち出されているとはいえないだろう。
情報提供:
Stasia Capital Holding Limited
Stasia Capital Holding Limited2008/04/21 更新
筆者:安田明宏氏
Stasia Capital調査部主任研究員
Stasia Capital Holding Limited (ステイジア・キャピタル)
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Stasia Capital調査部主任研究員
プロフィール…名古屋大学大学院文学研究科博士課程単位取得満期退学。インドネシア・スラバヤ国立大学大学院国家教育研究科博士課程留学。専攻は文化人類学。
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