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業界インタビュー
しんせん館グループ 代表 石橋修 氏
小売り、飲食店ビジネスともに事業拡大へ注力

しんせん館各店舗や寿司王などを手掛ける新鮮館グループ(上海石橋水産品、TEL=021-3431-6873)が事業の拡大を進めている。生鮮三品小売りのテナント事業においては昨年までに9店舗をオープン、年内にも7店舗をオープンする。また、飲食店展開などの外食事業では、昨年オープンした寿司専門店の寿司王に続き、テーマパーク型の日本食MA・TSU・RI 123をオープンする。事業拡大の狙いや背景について、新鮮館グループ代表の石橋修氏に話を聞いた。
――昨年より今年にかけて事業の拡大成長に注力している。グループの上海石橋水産品が手掛ける小売り事業では、スーパーの「しんせん館」11店舗、「フレッシュネス」4店舗、テナントの「魚屋しんせん館」は9店舗を上海、北京、広東各地で展開。年内には蘇州などへ7店舗をオープンする。
「当グループは現在、全国の様々な百貨店から出店の打診を受けている。その中で、沿岸部の発展著しい地域では店舗を選びながら出店攻勢をかけていく。『しんせん館』事業の次のステップとして、中国大陸のニューリッチ層も取り込んでいくのが狙いだ。刺し身、寿司は既に中国で広く受け入れられている。ただし、店舗展開はどこでもいいというわけではなく、物流体制が組める地域、所得の高い層の多い地域からの着手となる」

――一方で、グループの上海福本商務諮詢を通じて、昨年2月には寿司王をオープン、今年3月にはMA・TSU・RI 123をオープンする。新規事業である外食事業も同様に拡大していくがその背景と狙いは。
「生鮮三品を手掛けていることからも、寿司や刺し身の外食は長らくやりたかった事業の1つだった。外食事業は実はこれまでにもいくつか手掛け頓挫したこともあるが、タイミングを見計らってきた。MA・TSU・RI 123は責任者の月野博文と知り合えたことが大きい。こういった貴重な人材を得て、同時期に好物件が来たこと、そして上海の市場の変化に“波” を感じている。寿司王やMA・TSU・RI 123は日本食レストランとしては規格外だと思われ、違和感をもたれる方もいるだろうが、我々の最終的なターゲットは中国のマーケット。“見せる演出”や様々な仕組みはコンセプトがしっかり整っているからこそはじめてできることだ。上海の飲食市場では既に日本食そのものは浸透しており、日本人による日本人向けのものではもう通用しない時代になりつつある。結果的に成功するかどうかは分からないが、上海は味のこだわりだけでなく、そこに何かプラスαが必要な世界になっていることに確信を持っている。グループの持つ生鮮三品やノウハウを基軸に、刺し身、寿司ベースで事業を拡大していきたい」
――上海石橋水産品を99年に会社設立し起業、01年に古北にしんせん館1号店をオープンした。グループとしては04年を事業のターニングポイントとして位置付けている。
「当初は10平米の小さな店舗で、顧客開拓のために日本人の住むマンションへ“魚商”も行っていた。最初の1年間はこれまでのグループを展開する上で全てを集約したような時期で、山あり谷ありとすごく長く感じたものだった。その後、日本人の増加とともに出店を続けたが、04年にはサーズが勃発した。その時を境に、日本人だけではなく、韓国人、そして、香港地区、台湾地区、大陸のニューリッチ層をターゲットに加えたことが大きな転換期になった。同年に百貨店やスーパーに展開する『魚屋しんせん館』もオープンした。05年には北京、06年には広東と、相次いで各地にも出店を加速し、中国のマーケットにも照準を合わせることができた」

――今後も小売りと外食を両輪に事業の拡大を図っていく。中国でのビジネス展開をどのように進めていくのか。
「小売りにおいては引き続き百貨店への出店攻勢を続けていく。その中で、先々には日本の食の小売り出店のプロデュース的なことも手掛けていければと思う。例えば、香港地区を拠点に展開、中高所得者層をターゲットとしているシティースーパーのようなもので、富裕者層をターゲットに日本の食を切り口にした展開を図っていきたい。また、外食においてはまずは、寿司王、MA・TSU・RI 123のブランド化を進めていく。小売りも外食もそうだが最終的には“痒いところに手が届く”サービスが全ての要になる。現状ではまだまだ満足していないが、ある程度の土台はできてきた。今後も事業拡大を進める一方で、努力追及していきたいと考えている」


経営者の視点
“波を感じられるかどうか”が必要不可欠
「伸びる時期に“波を感じられるかどうか”が経営者としての必要不可欠な要素。波が来てからだと飲み込まれてしまう。波が来る前に準備して、その波にうまく乗らなければならない」――。しんせん館グループ代表の石橋修氏は常に波がどうしたら呼び寄せられるか、いつその波が来るかを考えるという。
上海に住む日本人にとって、「しんせん館」の名前を知らない人間はそう多くはないだろう。90年代末に起業し、いまや小売り、外食で一定の成果を挙げている石橋氏だが、不動産がらみの訴訟や喫茶店展開の撤退など、その道は決して平坦なものではなかった。日本人では踏み込めない領域があることも痛感しながら、市場の流れを目測することを培ってきたという。
富裕者層をターゲットとしてきたことは、当然、背景に上海に住む日本人を相手にしてきたことによる。しかし一方で、「中国人の利益に対する考え方と大きな格差を感じ、中国人の経営者相手に“薄利多売”では勝てないことも学び取ってきた」。大事なのはそれが“適正価格”かどうかを見定めることだと続ける。
上海の飲食店業界で今、話題になっているMA・ TSU・RI 123にしても、寿司王にしても、客単価は200元を超え、中国人をターゲットに含めるとするには高い価格帯。しかし、そこには「所得者層の拡大」とその先にあるものを狙った独自の考えがある。石橋氏は語る。「1回の食事で200元を消費できるのは、月収8,000元の所得者層。上海にはそういった層が4、500万人は存在する。その層が東京の人口と匹敵する1,000万人になるまでに何年かかるか。それは3年か5年か、もしかしたら1-2年先の話なのかもしれない」。
200元の価格帯で中国人のマーケットを攻めるのは正直難しい話だ。しかし、 200元でもなんとか維持できる体制、コンセプトを作り上げれば、数年後にどう日の目を見るか。「ただひとつ言えるのは、5年後、10年後、そういう考えで勝負しても遅すぎるということ。もちろん数年後にどうなるのか、いずれにせよ結論が出ているだろう」とどっちにもつかない笑みをこぼす。
寝ても覚めてもビジネスのことを考えるという多忙な日々にもこだわりがある。「上海には職業としての経営者は多いが、経営者としての生き方ができている人は必ずしも多くはない」。
経営者は職業として割り切ったらそれまで。何かをやる際に犠牲を厭わないのが経営者。労働や時間、報酬など“何か”と犠牲を天秤にかけたらその時点で終わりだと考える。経営者は常に勝つことを考えるべきで、負けることを考えてはいけない。その意識があるかないか、そこがサラリーマンとは違う、経営者としての生き方だと語る。
情報提供: BiZpresso Vol.40 3月11日発行
2008/03/13 更新
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