巻頭インタビュー

富士通グループの中国ビジネス統括を担う五十嵐隆氏。1969年の入社以来、汎用機の隆盛、ダウンサイジングなどの潮流のなかで、一貫して日本国内の営業畑を歩んできた。90年代半ばからは製造業や流通業の大手クライアントの中国進出サポートに従事、2006年の中国総代表就任を機に中国駐在となる。
「富士通は中国ではチャレンジャー」「思い切った改革を断行する」――熱のこもった五十嵐氏の一言一句からは、中国ビジネスへ賭ける強い意志と、富士通グループの"本気度"が伝わってくる。中国ビジネスの現状や中長期計画について聞いた。
「富士通は中国ではチャレンジャー」「思い切った改革を断行する」――熱のこもった五十嵐氏の一言一句からは、中国ビジネスへ賭ける強い意志と、富士通グループの"本気度"が伝わってくる。中国ビジネスの現状や中長期計画について聞いた。

昨年9月に北京で開催された富士通フォーラムで講演した五十嵐隆・富士通 中国総代表。「テクノロジーソリューションを拡大する」と力を込めた
中国から歓迎される富士通に思い切った改革を断行する
――2006年から中国総代表に就任し、富士通グループ全体の中国ビジネスを任されています。
私は日本で、国内営業一筋で来ました。90年代半ばからは製造業と流通業の大手クライアントを担当し、中国進出のお手伝いをしてまいりました。そのご縁で、中国総代表として白羽の矢が立ったのだと思います。
中国には豊富で優秀な人材が揃っています。これと当社の持つ技術力を融合、一体化させていかねばなりません。「以人為本」(人を以って本と為す)という言葉があるように、人を大事にしながら中国の発展に貢献し、中国から歓迎される富士通になることを目標としています。中国の方々と共に手を取りビジネスを推進し、お客様、そして私たちの夢をかたちにしていきます。
昨年8月、中国赴任の挨拶をかねて王毅・党中央委員(前駐日本大使)を訪問した際、環境問題や省エネといった分野での中国が抱える課題等が話題に上りました。
調達部分でのグリーン調達や、循環素材を採用したパソコンの筐体製造などのノウハウ、技術など、当社がリードしている分野で貢献できるところは多く、期待に応えていきたいと思います。
――富士通の中国ビジネスの歴史は中日国交正常化まで遡ります。
1970年代初頭から中国で通信分野、汎用機の導入を始めました。 80 年代には固定電話の電子交換機を300万回線納めています。交換機の受注累積は2,700万回線で、現在も多くが稼動中です。また、全国 24 大学に100台の中・大型汎用機を導入。 90年代に入ると、プリンタや電子部品の生産工場の設置に留まらず、北京富士通などオフショアのソフトウェア開発や研究開発会社などグループ会社を含め 34社を設立しています。
2003年には、中国でソリューションビジネスを行うため上海に富士通(中国)信息系統有限公司を設立。さらに 06 年に、現地でお客様のニーズに密着したサポートを行うことを目的に、お客様のシステムを当社のプラットフォームで検証できるプラットフォームソリューションセンターを上海と香港の両都市に設けています。
――富士通グループにとっての中国ビジネスの重要性が増しています。
我々にとって中国は、まず成長著しい大変魅力ある市場であると同時に、非常に優秀な人的リソースの宝庫であるといえます。人件費の安さというよりも、優秀な人材が集まっていることが中国の最大の魅力です。当社が外資系企業として初めて中国に研究所を設置したのも、中国の優秀な叡知に期待してのことです。
現在、富士通グループの連結売上のなかで中国は、残念ながら他の地域に比べて比率が非常に低いのが実情です。具体的には、日本が 67 %、欧州とアジアパシフィックは各 12 %、米国が 7%で、中国は僅か2%に留まっています。
IT市場の伸びが著しい中国は、米国とともに富士通の成長エンジンに位置づけられます。開拓が遅れているこの中国で、思い切った改革を断行していくつもりであり、これが私の最大のミッションだと思っています。近いうちに、富士通グループ全体に占める売り上げ比率を二桁台に引き上げることを目標にしています。
――2006年から中国総代表に就任し、富士通グループ全体の中国ビジネスを任されています。
私は日本で、国内営業一筋で来ました。90年代半ばからは製造業と流通業の大手クライアントを担当し、中国進出のお手伝いをしてまいりました。そのご縁で、中国総代表として白羽の矢が立ったのだと思います。
中国には豊富で優秀な人材が揃っています。これと当社の持つ技術力を融合、一体化させていかねばなりません。「以人為本」(人を以って本と為す)という言葉があるように、人を大事にしながら中国の発展に貢献し、中国から歓迎される富士通になることを目標としています。中国の方々と共に手を取りビジネスを推進し、お客様、そして私たちの夢をかたちにしていきます。
昨年8月、中国赴任の挨拶をかねて王毅・党中央委員(前駐日本大使)を訪問した際、環境問題や省エネといった分野での中国が抱える課題等が話題に上りました。
調達部分でのグリーン調達や、循環素材を採用したパソコンの筐体製造などのノウハウ、技術など、当社がリードしている分野で貢献できるところは多く、期待に応えていきたいと思います。
――富士通の中国ビジネスの歴史は中日国交正常化まで遡ります。
1970年代初頭から中国で通信分野、汎用機の導入を始めました。 80 年代には固定電話の電子交換機を300万回線納めています。交換機の受注累積は2,700万回線で、現在も多くが稼動中です。また、全国 24 大学に100台の中・大型汎用機を導入。 90年代に入ると、プリンタや電子部品の生産工場の設置に留まらず、北京富士通などオフショアのソフトウェア開発や研究開発会社などグループ会社を含め 34社を設立しています。
2003年には、中国でソリューションビジネスを行うため上海に富士通(中国)信息系統有限公司を設立。さらに 06 年に、現地でお客様のニーズに密着したサポートを行うことを目的に、お客様のシステムを当社のプラットフォームで検証できるプラットフォームソリューションセンターを上海と香港の両都市に設けています。
――富士通グループにとっての中国ビジネスの重要性が増しています。
我々にとって中国は、まず成長著しい大変魅力ある市場であると同時に、非常に優秀な人的リソースの宝庫であるといえます。人件費の安さというよりも、優秀な人材が集まっていることが中国の最大の魅力です。当社が外資系企業として初めて中国に研究所を設置したのも、中国の優秀な叡知に期待してのことです。
現在、富士通グループの連結売上のなかで中国は、残念ながら他の地域に比べて比率が非常に低いのが実情です。具体的には、日本が 67 %、欧州とアジアパシフィックは各 12 %、米国が 7%で、中国は僅か2%に留まっています。
IT市場の伸びが著しい中国は、米国とともに富士通の成長エンジンに位置づけられます。開拓が遅れているこの中国で、思い切った改革を断行していくつもりであり、これが私の最大のミッションだと思っています。近いうちに、富士通グループ全体に占める売り上げ比率を二桁台に引き上げることを目標にしています。

「中国の富士通グループは柱がしっかりと太いが、梁はまだまだ弱い。梁の強化が私の仕事。富士通全体で団結し中国で戦う体制をつくる」と話す五十嵐・中国総代表
PRONESをさらに改良、オフショア体制の拡充が課題
――各事業の概況をお話しください。ソリューションビジネスでは、 PRONESの導入で成果を上げています。
PRONESは、おかげさまで日系企業110社以上のお客様に導入いただいています。生産管理だけでなく、全社のリソース管理を可能とするよう、財務管理ソフト最大手の用友と密なアライアンスを組み、お客様の求めるトータルソリューションを提供できるようにしています。
もちろん現状に満足しているわけではありません。中国の製造業からもっと高い評価をいただくためには、 PROCESにはまだまだ改善を重ねていかなければならないこともあると思います。製品が本来有する持ち味と長所を生かしつつ、中国でビジネスに営むクライアントの方々のニーズによりかなったかたちで、バージョンアップを行っていく予定です。
SI案件については、一から作るのではなく、パッケージを中心としたソリューションの提供を行い、短期間、低コストでのシステム構築を目指しています。大型SIは、富士通本社と同等レベルの技術力を有し、中国の大手企業から高い評価を得ています。
「バーチャルものづくり環境」の構築支援であるPLM(Products Lifecycle Management)ソリューションでは、共通インフラとしてVPS(Virtual Product Simulator)を位置づけ、 PLM全体のパイプラインツールとして各種の具体的な活用ソリューションを用意しています。グループ会社で導入実績を積むことで、富士通自身がリファランスのモデルになりたいと考えています。
――サービス業向けソリューションの展開もスタートしました。
昨今、物流や金融等、多種多様なサービス分野での日系企業の事業展開が目立ってきました。中国系企業との競争はますます激しさを増していくことでしょう。
一方、大都市圏では確実に人件費が上がっていくため、IT活用が企業の競争力を左右してきます。製造業、流通業における実績にとどまらず、当社がサービス業向けのソリューションやサービスの充実に注力しているのはこうした背景があります。
中国の日系企業のお客様は、IT要員を十分に有しておらず、「餅は餅屋」に任せたいというニーズが強いものと思われます。当社では、グローバルな経験に基づき、このようなお客様のニーズに対し、専門家によるコンサルから実務のアウトソーシングを提供し、お客様には本業に専念していただきたいと考えています。
――プラットフォームソリューションのビジネスはいかがですか。
当社のサーバ、ストレージについては、中国における認知度は、まだまだこれからという段階ですが、徐々にいろいろなお客様に受け入れられています。プラットフォームソリューションセンターを起点としたプレセールス活動により、お客様のご要件に最適なプラットフォームソリューションをご提案していく所存です。
特にデータセンタなどミッションクリティカルシステム用途の製品販売とサポートを強化します。同時にパートナーとの連携により、金融や公共など当社製品の適用分野を拡げていきたいです。
中国のIT市場の特徴は 70 %がハード分野で、この市場において高いシェアを獲得することも、当社が中国市場でプレゼンスを高めていくうえでは重要になっています。
――今後、オフショアの体制を拡充していきます。
中国におけるオフショア要員は、富士通グループ全体で約1,800名。これまで本部やグループ会社がそれぞれ個別にオフショアを進めてきていますが、個別対応で規模も小さく、人材やスキルトランスファーなど、富士通グループの総合力として十分な活動には至っていません。
日本でのソフト開発要員不足や顧客からのコスト削減要求など、今後オフショア活用が本格化してくるなか、オフショアを中国ビジネスの大きな柱の一つとして確立すべく、関係会社とともに推進中です。
当面は日本のソフトウェア開発の受け皿という位置づけで強化します。 5,000名から1万名の規模に持っていかないと効率的な開発ができないと考えており、積極的な投資と共に再編も検討し、体制拡充を図っていきます。先々にはビジネスのかたちを明確にし、世界のお客様の業務改革を実施するBPO(=Business Process Outsourcing)サービスまで行なうオフショアセンターとして、成長していくことが狙いです。
――そのほかに、中国では通信分野のビジネスを展開しています。
当社が、この中国において早い段階から着手してきたのが通信分野です。現在、キャリア向け付加価値サービスアプリを福建富士通が手がけており、中国電信のサービスで使われています。主なサービスは、電話情報提供サービス(キャリアが情報コンテンツを企業から預かり、一般からアクセスできるようにするASPサービス)や、 PHS(中国名‥小霊通) 向けショートメッセージサービスです。これらの実績、スキルを生かし、さらに3G、 NGN向けアプリへ展開していく考えです。
モバイル通信市場に向けての製品について、富士通はNTT Docomo向けのLTE(Long term Evolution=Super 3Gなどと呼ばれる3Gの次世代)対応基地局のトライアルシステムを単独受注し、世界で最も早く実運用に耐えられるレベルで動作させました。この最先端技術をいずれ中国に提供し、中国のモバイル通信サービスの高度化に貢献したいと考えています。
また、WiMax基地局の小型化にも成功し、世界最小(20リットル)でフル機能のそろった基地局を提供予定で、中国の市場要望である省エネ、省スペースに貢献できると考えています。
富士通の強み発揮する体制にチャレンジャーとして挑む
――昨年9月に北京で開催した富士通フォーラムが盛況でした。講演では、「テクノロジーソリューションの拡大」を宣言しています。
中国において初めて当社単独のフォーラムを9月4日、5日に開催しました。来場者へのアンケートによると、来場前に「富士通を良く知っている」という方は僅か 10 %だったのが、来場後 90 %の方に当社の中国への取り組みを理解いただくことができました。最先端の技術を展示、紹介できたことが大きな評価ポイントとなりました。
当社の認知度を向上させ、最新技術・製品を日中同時にデリバリーするという積極的な姿勢を理解いただくため、この活動を今後も強化してまいります。来年は上海と香港の両都市での開催を検討しているところです。
フォーラムの講演では、「テクノロジーソリューションを拡大していく」とお話ししました。当社はサービスからシステムプラットフォーム、そしてそのベースとなる半導体と一気通貫で事業展開しており、それが強みになっています。
特に、システムプラットフォーム、アウトソーシング、オフショア開発の3 つから成り立つテクノロジーソリューションは、富士通全体の5兆円の売上げのうち、 60 %を占めています。ところが、中国では同分野が1 0%しかない。富士通の強みが生かされていない証左です。テクノロジーソリューションの拡大こそ、富士通が中国で成長軌道に乗るための要諦だと考えています。
――経営の現地化を積極的に進めています。
現地のビジネスは将来的には現地スタッフが中心となって進めていくほうが良いと、富士通グループはこれまでのグローバル展開のなかで学んできました。昨年10月には、富士通香港においてヤウ・カン氏を総経理に登用しています。また、経営の現地化には人材育成が重要です。富士通の企業文化を理解する優秀な人材の育成に努めていく所存です。
中長期計画では、(1)基盤ビジネスの強化( S I / サービス、プラットフォーム)、(2)新規成長分野への進出、 (3)世界のオフショア拠点としての体制強化、(4)グループ内におけるマーケティング、広報等の経営支援=ビジネスインフラを拡充、の4点に取り組みます。
――最後に読者へのメッセージをお願いします。
我々を鍛え、レベルアップさせてくださるのはお客様です。幸いにも中国でも品質に大変厳しいお客様をサポートさせていただき、経験を積んできました。中国でお付き合いいただいている日系企業は、すでに1,000社を超えています。この中で優秀な現地スタッフが育ち、特に幹部社員は定着率も高くなっています。
今後は、中国人のスタッフが高い品質レベルでサービスすることを継続すると共に、日本やASEANのグループ会社とタイムリーに連携し、お客様をサポートしていく体制を充実させます。優秀な現地スタッフと世界のグループ会社との連携――これこそが他社に負けない富士通グループの特長であると自負しています。
中国の古い言葉に、「自我作古」(われよりいにしえをなす)いうものがあります。自分が新たな歴史を作る、前例にとらわれることなく、自分から手本になることを作り出していくという意味です。富士通は中国ではチャレンジャーです。中国ビジネスを富士通にとっての真の成長エンジンとして、「自我作古」の気概を持って挑戦を続けていきます。
――各事業の概況をお話しください。ソリューションビジネスでは、 PRONESの導入で成果を上げています。
PRONESは、おかげさまで日系企業110社以上のお客様に導入いただいています。生産管理だけでなく、全社のリソース管理を可能とするよう、財務管理ソフト最大手の用友と密なアライアンスを組み、お客様の求めるトータルソリューションを提供できるようにしています。
もちろん現状に満足しているわけではありません。中国の製造業からもっと高い評価をいただくためには、 PROCESにはまだまだ改善を重ねていかなければならないこともあると思います。製品が本来有する持ち味と長所を生かしつつ、中国でビジネスに営むクライアントの方々のニーズによりかなったかたちで、バージョンアップを行っていく予定です。
SI案件については、一から作るのではなく、パッケージを中心としたソリューションの提供を行い、短期間、低コストでのシステム構築を目指しています。大型SIは、富士通本社と同等レベルの技術力を有し、中国の大手企業から高い評価を得ています。
「バーチャルものづくり環境」の構築支援であるPLM(Products Lifecycle Management)ソリューションでは、共通インフラとしてVPS(Virtual Product Simulator)を位置づけ、 PLM全体のパイプラインツールとして各種の具体的な活用ソリューションを用意しています。グループ会社で導入実績を積むことで、富士通自身がリファランスのモデルになりたいと考えています。
――サービス業向けソリューションの展開もスタートしました。
昨今、物流や金融等、多種多様なサービス分野での日系企業の事業展開が目立ってきました。中国系企業との競争はますます激しさを増していくことでしょう。
一方、大都市圏では確実に人件費が上がっていくため、IT活用が企業の競争力を左右してきます。製造業、流通業における実績にとどまらず、当社がサービス業向けのソリューションやサービスの充実に注力しているのはこうした背景があります。
中国の日系企業のお客様は、IT要員を十分に有しておらず、「餅は餅屋」に任せたいというニーズが強いものと思われます。当社では、グローバルな経験に基づき、このようなお客様のニーズに対し、専門家によるコンサルから実務のアウトソーシングを提供し、お客様には本業に専念していただきたいと考えています。
――プラットフォームソリューションのビジネスはいかがですか。
当社のサーバ、ストレージについては、中国における認知度は、まだまだこれからという段階ですが、徐々にいろいろなお客様に受け入れられています。プラットフォームソリューションセンターを起点としたプレセールス活動により、お客様のご要件に最適なプラットフォームソリューションをご提案していく所存です。
特にデータセンタなどミッションクリティカルシステム用途の製品販売とサポートを強化します。同時にパートナーとの連携により、金融や公共など当社製品の適用分野を拡げていきたいです。
中国のIT市場の特徴は 70 %がハード分野で、この市場において高いシェアを獲得することも、当社が中国市場でプレゼンスを高めていくうえでは重要になっています。
――今後、オフショアの体制を拡充していきます。
中国におけるオフショア要員は、富士通グループ全体で約1,800名。これまで本部やグループ会社がそれぞれ個別にオフショアを進めてきていますが、個別対応で規模も小さく、人材やスキルトランスファーなど、富士通グループの総合力として十分な活動には至っていません。
日本でのソフト開発要員不足や顧客からのコスト削減要求など、今後オフショア活用が本格化してくるなか、オフショアを中国ビジネスの大きな柱の一つとして確立すべく、関係会社とともに推進中です。
当面は日本のソフトウェア開発の受け皿という位置づけで強化します。 5,000名から1万名の規模に持っていかないと効率的な開発ができないと考えており、積極的な投資と共に再編も検討し、体制拡充を図っていきます。先々にはビジネスのかたちを明確にし、世界のお客様の業務改革を実施するBPO(=Business Process Outsourcing)サービスまで行なうオフショアセンターとして、成長していくことが狙いです。
――そのほかに、中国では通信分野のビジネスを展開しています。
当社が、この中国において早い段階から着手してきたのが通信分野です。現在、キャリア向け付加価値サービスアプリを福建富士通が手がけており、中国電信のサービスで使われています。主なサービスは、電話情報提供サービス(キャリアが情報コンテンツを企業から預かり、一般からアクセスできるようにするASPサービス)や、 PHS(中国名‥小霊通) 向けショートメッセージサービスです。これらの実績、スキルを生かし、さらに3G、 NGN向けアプリへ展開していく考えです。
モバイル通信市場に向けての製品について、富士通はNTT Docomo向けのLTE(Long term Evolution=Super 3Gなどと呼ばれる3Gの次世代)対応基地局のトライアルシステムを単独受注し、世界で最も早く実運用に耐えられるレベルで動作させました。この最先端技術をいずれ中国に提供し、中国のモバイル通信サービスの高度化に貢献したいと考えています。
また、WiMax基地局の小型化にも成功し、世界最小(20リットル)でフル機能のそろった基地局を提供予定で、中国の市場要望である省エネ、省スペースに貢献できると考えています。
富士通の強み発揮する体制にチャレンジャーとして挑む
――昨年9月に北京で開催した富士通フォーラムが盛況でした。講演では、「テクノロジーソリューションの拡大」を宣言しています。
中国において初めて当社単独のフォーラムを9月4日、5日に開催しました。来場者へのアンケートによると、来場前に「富士通を良く知っている」という方は僅か 10 %だったのが、来場後 90 %の方に当社の中国への取り組みを理解いただくことができました。最先端の技術を展示、紹介できたことが大きな評価ポイントとなりました。
当社の認知度を向上させ、最新技術・製品を日中同時にデリバリーするという積極的な姿勢を理解いただくため、この活動を今後も強化してまいります。来年は上海と香港の両都市での開催を検討しているところです。
フォーラムの講演では、「テクノロジーソリューションを拡大していく」とお話ししました。当社はサービスからシステムプラットフォーム、そしてそのベースとなる半導体と一気通貫で事業展開しており、それが強みになっています。
特に、システムプラットフォーム、アウトソーシング、オフショア開発の3 つから成り立つテクノロジーソリューションは、富士通全体の5兆円の売上げのうち、 60 %を占めています。ところが、中国では同分野が1 0%しかない。富士通の強みが生かされていない証左です。テクノロジーソリューションの拡大こそ、富士通が中国で成長軌道に乗るための要諦だと考えています。
――経営の現地化を積極的に進めています。
現地のビジネスは将来的には現地スタッフが中心となって進めていくほうが良いと、富士通グループはこれまでのグローバル展開のなかで学んできました。昨年10月には、富士通香港においてヤウ・カン氏を総経理に登用しています。また、経営の現地化には人材育成が重要です。富士通の企業文化を理解する優秀な人材の育成に努めていく所存です。
中長期計画では、(1)基盤ビジネスの強化( S I / サービス、プラットフォーム)、(2)新規成長分野への進出、 (3)世界のオフショア拠点としての体制強化、(4)グループ内におけるマーケティング、広報等の経営支援=ビジネスインフラを拡充、の4点に取り組みます。
――最後に読者へのメッセージをお願いします。
我々を鍛え、レベルアップさせてくださるのはお客様です。幸いにも中国でも品質に大変厳しいお客様をサポートさせていただき、経験を積んできました。中国でお付き合いいただいている日系企業は、すでに1,000社を超えています。この中で優秀な現地スタッフが育ち、特に幹部社員は定着率も高くなっています。
今後は、中国人のスタッフが高い品質レベルでサービスすることを継続すると共に、日本やASEANのグループ会社とタイムリーに連携し、お客様をサポートしていく体制を充実させます。優秀な現地スタッフと世界のグループ会社との連携――これこそが他社に負けない富士通グループの特長であると自負しています。
中国の古い言葉に、「自我作古」(われよりいにしえをなす)いうものがあります。自分が新たな歴史を作る、前例にとらわれることなく、自分から手本になることを作り出していくという意味です。富士通は中国ではチャレンジャーです。中国ビジネスを富士通にとっての真の成長エンジンとして、「自我作古」の気概を持って挑戦を続けていきます。
情報提供:
Whenever CHINA 08年1月号
Whenever CHINA 08年1月号2008/01/25 更新
五十嵐隆 氏
富士通株式会社 経営執行役上席常務 中国総代表
富士通(中国)信息系統有限公司
[住所] 上海市浦東新区花園石橋路33号花旗集団大厦11楼
[電話] 021-5887-1000ext.8041 / [FAX] 021-5877-5283
富士通株式会社 経営執行役上席常務 中国総代表
1946年群馬県生まれ。69年富士通に入社以来、日本国内の営業畑を歩む。06年経営執行役上席常務に就任、同時に中国総代表に就く。07年9月より、全中国の富士通グループの中国総代表として中国に駐在。趣味はゴルフとアメリカンフットボール観戦で、アメフト・チーム「富士通フロンティアーズ」の後援会長を務める。
富士通(中国)信息系統有限公司
[住所] 上海市浦東新区花園石橋路33号花旗集団大厦11楼
[電話] 021-5887-1000ext.8041 / [FAX] 021-5877-5283
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