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巻頭インタビュー
正大広場 総裁 司徒文聡氏
経営戦略を大転換、アジア最大の総合娯楽SCへ

正大広場が目指すのは"家族客"へのワンストップサービスだ。飲食、ファッション、娯楽、教育、ラグジュアリーアイテムすべてが25万平米という広大なビル空間にぎっしり詰め込んでいる。しかし、アジア最大の総合娯楽ショッピングセンター"SUPER BRAND MALL"に脱皮するまでの道のりは険しかった。2005年秋より正大広場総裁に赴任、経営戦略の大転換で改革の大ナタを振るった司徒文聰氏に、正大広場がたどった足跡と今後の展望について語っていただいた。

正大広場はタイのコングロマリット、CPグループ(謝国民董事長)による投資プロジェクト。投資規模約33億元、建築面積は25万平米、地上10階、地下3階で構成される
失われた「創業発展期」 致命傷を負った原因とは?
9月5日付『第一財経日報』は、正大広場のテナント収入が2年前の4倍、来客数は1日平均4・5万人から10万人へと激増したことを報じている。しかし司徒文聰総裁が現職に就任した2005年秋、業績は低迷にあえいでいた。
入居率60%、創業から3年連続での欠損…。その原因を司徒総裁は「ブランド構築における致命的失敗があった」と指摘する。
時は02年にさかのぼる。当時、正大広場は恒隆広場、新天地と並んで、不動産マーケットにとっても、また小売業界にとっても、最も脚光を浴びた商業案件だった。しかし、その後の展開は明暗を分けた。正大広場だけが"負け組"となった。
恒隆広場が目指したのは高級ブランドのショッピングモールだった。ポートマンホテルをそばに控えるなど、ロケーションの条件を見ても、そのコンセプト実現は必然性を備えていた。一方、新天地は歴史建築を背景にトレンドスポットとしての風格を前面に押し出すことで、独自の地位を築くことに成功した。
正大広場は恒隆広場と同じ路線を目指そうとしていた。しかし、Gucciやルイ・ヴィトンなどの誘致を進めるが失敗。一つの都市においてトップブランドの専売店が2カ所設けるのは当時、実現不可能なこととされていた。となれば恒隆広場とは到底太刀打ちができない。上海のローカル客が浦東エリアをショッピングスポットとして認知するには、まだ時期が早かったといえる。
紆余曲折を経ながら少しずつテナントが入居し、ようやく軌道に乗ろうとしていた03年春、今度はSARSの猛威が振るった。「タイミングが悪かった。これも天意だったかも知れない」(司徒総裁) ――。創業段階における二度の「商機」を失った正大広場は、自らの個性を打ち出せないまま創業4年目を迎えていた。

名だたる世界のカジュアルブランドが集い"主戦場"と化したほか、高層階にもテナントが続々入居。入居率は100%となった
捲土重来を目指した新総裁の秘策 "家族消費"をターゲットに
抜本的な経営改革の必要に迫られる中、05年秋、司徒総裁が就任早々取り組んだこと、それはブランドの再構築だった。
まずは上海の地元客が何を求めているのか、徹底的にニーズを洗い出そうとしたのである。
司徒総裁がたどり着いたのは、「子どもから老年層にいたる消費者が家族でワンストップの消費を楽しめる場所をつくれないか」という命題だった。上海人の消費能力・水準はともに高い。その特色は中産階級層の拡大に顕著に現れている。しかし、ふと市内を見回せば、家族を対象としたサービスを行うスポットは見当たらなかった。
近年の生活環境、社会構造の大きな変化で、地元市民の家族形態は大家族から小家族へと変化、かつてと比べて家族全員がともに過ごす時間は急減していた。「家族消費をターゲットとし、娯楽、飲食、ファッション、ラグジュアリーカスタムをカバーする総合エンターテイメントショッピングセンターを構築する」―― 恒隆広場との正面対決を避け、独自路線の展開に司徒総裁は可能性を見出した。 次に目前の課題にどうやって取り組んでいくか――。
60%しか満たない入居率の向上、とくに閑古鳥が鳴いていた6〜10階の空間をどう埋めるかという問題は歴代の経営者が根治不可能と見なしてきた"通病" だった。司徒総裁はこのフロアにアイススケート場、KTV、フィットネスクラブ、ビューティーサロン、児童教育機関、デンタルクリニックなどを次々に誘致、多機能空間を創出することで解決した。
その結果、来客の滞留時間が増えた。平均にして2時間、人によっては5時間とも。相乗効果で小売テナントの販売総額もまた増えていく。となると高い業績を期待して新たなテナントも入居を始める。空スペースは次第に減り、入居率はついに100%を達成した。ちなみに現在、 1000に及ぶ入居希望企業がウェイティング状態であるという。

ZARA誘致を勝ち取る カジュアルブランドの主戦場へ
テナント誘致に向けた司徒総裁の積極的な取り組みが功を奏したひとつの例として、ZARAがある。ひとつエピソードを紹介しよう。
世界のカジュアルブランドが一堂に会したモールをつくろうと構想した司徒総裁がはじめてZARA誘致を働きかけた時のことだ。
「一度、視察に来ませんか」「浦東地区への出店には興味なし」――ZARAサイドは当初全く意に介さなかった。押し問答が幾度か続いた後、司徒総裁はこう切り出した。「私がそちらを訪ねたい。会ってくれますか?」
ようやくZARA側との面談の承諾を得た司徒総裁は、時を経ずして、同社の本部があるスペインへと旅立つこととなる。とある"秘密兵器"を携えて――。
ZARAの本部があるのはスペインの La Corunaという小都市だった。上海からの直行便はもちろんない。そこで彼はまずイタリアのミラノへ飛ぶ。そしてトランジットでマドリードへ。空港から現地へはバスで移動した。総計50 時間に及ぶ旅程だった。 司徒総裁が持ち込んだ"秘密兵器"とは何か? 彼はZARAから面談の約束を取り付けたその日、社員に正大広場の建物のミニチュア製作を指示していたのだった。現物のおよそ300分の1のサイズ。夜を徹して制作チームが作り上げたその模型は、現物の構造を精密に内部まで再現、プレゼンテーションには打ってつけのものだったという。そして司徒総裁が挑んだ商談は成功――まもなくして ZARAが入居を決定した。
それからの正大広場は騎虎の勢を得たようだった。H&M、ユニクロ、C&A 等々、世界の名立たるカジュアルブランドが続々と入居を果たす。さながら名ブランドのミュージアム、いや大戦場と化した感がある。どれもが店舗面積 1500平米以上である。「ブランドを打ち出したいなら大スペースでないといけない」――司徒総裁はユニクロに対してもそう説得に努めたという。ちなみにユニクロはその勧告を受け入れ2500平米を確保、この店舗をアジア最大の旗艦店と位置づけている。

ところで、瓢箪から駒、司徒総裁が予想していなかったことがある。多くの観光客の往来だった。
「東方明珠タワーを訪れた観光客の 90%は正大広場を訪れる」(司徒総裁)
西蔵中路をまたぐ歩道橋のうえで記念撮影、南京東路でショッピングを楽しむという昔日の観光トレンドとは無縁の行動パターンを形成しているのが今日の観光客だ。彼らは通常、まず東方明珠タワーを目指す。そして、打ってつけの休憩場所、ショッピングスポットとして正大広場を選ぶというのである。正大広場ではそんな観光客向けに土産類の販売コーナーも設けている。
「消費の主力はあくまで地元客」(司徒総裁)としながらも、外地の人々の間にも認知度を大きく高めたことは、"SUPER BRAND MALL"としての風格に厚みを持たせるのに役立ったはずだ。

スーパーの売り場を駐車場に改造 09年には陸橋も完成予定
テナントの貸し借りという関係を超え、"経営パートナー"として共存共栄を目指すことが重要――司徒総裁はいま、こうした信念で正大広場の運営に携わっている。
「清掃や修理、空調、警備など常にサービス向上に努めることで、テナントもまた業績を好転させられる」(司徒総裁)
8月1日には地下1階にあったスーパー、ロータスの売り場の一部を駐車場に改造、300台分の停車スペース 7000平米を増設したのも、サービス向上を重視した施策のひとつだ。建造には日本の技術を導入、安全・環境に配慮したほか、250台の停車スペースについては二層式の構造にした。なお、売り場面積が縮小したことで、ロータスの売上に悪影響は出ていない。地域コミュニティーへの存在感をアピールするとともに、マイカー顧客の取り込みもねらう― ―そんなWin―Winの関係をロータスも正大広場との合作のなかに見出したのだといえよう。
さらに福音がある。09年には地下鉄 2号線陸家嘴駅出口と結ぶ陸橋も建造されるのだという。マイカー族だけではなく、地下鉄を利用した来客にとっても至便な環境が整備されようとしている。
「新正大、新気象」をスローガンに面目一新、新たなスタートを切った正大広場。しかし、この成功に甘んじることなく、さらなる進化を求め、司徒総裁は今後も革新経営の采配を振るっていく。
情報提供: Whenever CHINA 07年10月号
2007/10/14 更新
司徒文聡 氏 正大広場 総裁
プロフィール…瑞安集団中国区市務副総経理、香港司培思商業経営管理集団総裁を経て05年より正大広場総裁、現在、上海帝泰発展有限公司総裁・董事も兼務。北京大学不動産研究所が招請した不動産の専門家として、また関連団体の理事、委員として手がけた学術論文も多い。ビジネス物件聯合研究院高級顧問、中国ショッピングセンター認証委員会認証委員、上海市外商投資企業協会商業工作委員会副会長、上海市商業不動産連合発展委員会主席顧問・常務理事、上海ショッピングセンター協会副理事長。

正大広場(Shanghai Super Brand Mall)
[URL] http://www.superbrandmall.com
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