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巻頭インタビュー
野村綜研(上海)咨詢有限公司董事・総経理 中島久雄 氏
「異才融合」アジアNo1コンサルティグ・ファームを目指して

中島久雄(なかじま・ひさお)氏 野村綜研(上海)咨詢有限公司董事・総経理。
京都大学大学院工学研究科工学修士課程修了。米カリフォルニア大学バークレー校経営学修士(MBA)修了。(株)野村総合研究所入社後、情報・通信コンサルティング部、上席コンサルタント・グループマネジャーを経て、現職。中国での趣味はテニス。
中国市場における事業戦略構築からマーケティング、人材マネジメント支援にいたる総合コンサルティング、そして中国政府の都市・地域開発戦略や産業振興政策の立案まで。日本を代表するコンサルティング会社、野村総合研究所の100%独資企業として設立して以来、野村綜研(上海)咨詢有限公司(NRI 上海)は総合コンサルティング・ファームとしての実力を存分に発揮している。「異才融合」―― NRI 上海は"現地の目線"から未来社会のパラダイムを鋭く洞察、新たなビジネスモデルの創出に挑み続ける。

――「現地の目線」に立った総合コンサルに取り組んできました。
野村證券グループは、もともと野村総合研究所が1989年に上海市投資信託公司との合弁で設立した連合諮詢事務所や、93年に北京で開業した野村シティック国際経済諮詢有限公司(野村證券グループと中国資本の合弁)などを通じて、日本企業の中国投資・事業進出の支援コンサルティングを手がけてきました。
そして、2002年7月に設立した野村綜研(上海)咨詢有限公司は、野村総合研究所の100%独資企業となります。それまで従事していた中国政府案件をより充実化するとともに、進出企業のサポートを「現地の目線」に立って行っていくことが主な設立目的でした。

――「異才融合」をスローガンにしています。
NRI上海は、「十一五」の策定に参画してきたほか、天津や重慶などの新興発展エリアにおける今後の戦略にも様々な提言を行っています。
一方、進出企業の中国市場における事業戦略構築からマーケティング、人材マネジメント支援等、幅広いサポート領域を有しています。専門性のある個々の個性あるコンサルタントが、お客様の幅広い・総合的なニーズに対応するべく、その知恵を結集して、額に汗をかく。その「異才融合」がNRI 上海の強みです。

――総経理2代目として赴任、これまで挑戦してきたことは?
(各コンサルタントが)それぞれの個性や資質、技能、これらを組み合わせて創造性を発揮していくうえでお客様第一主義を磨くことは必須です。各コンサルタントには、セミナーを開催したり、対外的な情報発信に積極的に取り組んだりするなど、「顔の見えるコンサルタント」となることを求めてきました。クライアントの方々が「NRI上海にではなくNRI上海の○○さんに仕事を任せる」といってくれるようになることが大事だと考えるからです。
本社との協力によって、人材への投資=教育=も惜しみなく行っています。よりよい人材を確保するために全国から4000名にものぼる応募者を厳選、幹部人材候補育成に努めています。

――NRIの認知度は中国でも高まってきました。
北京市の発展改革委員会から外資系 4大顧問機関の一つに認定されるまでになっています。
まずは何よりも「内容勝負」まで持ち込むこと。日系といえばNRIという確かな地位を中国においても築き上げていくためには、自らもブランド力を強化していくことが重要だと思っています。
一方、清華大学などの教育機関と共同で、中国研究を実施するなど、中日の相互理解のためにも尽力しています。

――「アジア・グローバルな経営」を目指す日系企業にアドバイスを。
アジアグローバルな存在となるためには、「現地化」は必須です。そのための環境づくりとして、企業体として「共通言語」を持っていただくことを勧めたいですね。共通言語とは、英語や中国語で話しましょうということではなく、業務フロー、議論の仕方、資料評言の仕方といった、コミュニケーション・ツールを持ちましょうということです。
広くは、人事評価制度や、ガバナンスのための仕組みもこの中に含まれます。
企業経営とコミュニケーションを見える化して、現地に思い切って任せる仕組を持つことがもっとも重要であると思います。さらにこれらを「現地化プラン」として社内外に積極的に広報することで人材市場に対する企業ブランドを向上させ、??好?¥z環をつくりだしていってもらえたらと思います。

――「未来創発」がスローガン、では NRI上海にとっての近未来像は?
現在、NRIは世界で総勢500名ものコンサルタントを擁するコンサル・ファームです。それに比べて、NRI上海はまだ40名という陣容。そして、これを、2010年には、クリティカルマスと言える100人規模に拡充するというのが当面の目標です。
グローバルなコンサルティング・ファームと互角に伍し、アジアでナンバーワン規模の頭脳集団として中国市場で確かな地位を築くうえでも、「人財」の充実が今後の挑戦テーマになってきます。

葉華(YE Hua)
中国同済大学、早稲田大学の講師などを経て、(株)野村総合研究所に入社、06年より現職。02年から各種の都市発展戦略策定、大規模都市開発立案及び産業振興施策のプロジェクトに携わる。中国の地方政府や開発区の諮問委員を兼務。工学博士。
葉 華・副総経理
中国の「和諧社会」づくりに向けて地域・都市の発展戦略と方策を幅広く提案
NRI上海は設立以来、北京市、上海市、天津市、および重慶市の都市、産業、環境・省エネ戦略及びその実行支援に携わっている。そのコンサルティンググループを率いるのが葉華副総経理だ。
「グローバル時代の地域・都市発展のポイントは、より広いネットワークの中で如何に自分のポジションを確立して発揮することだ。広範な連携の中で、地域の特徴や経営資源を最大限に活かし、周囲と共生して互いに発展しあう仕組みを創ることが重要である。現在、ネットワーク型成長戦略に向けた取り組みは各地域で既に活発化している。ネットワーク型であれば勿論その機能のハブが注目される」(葉氏)。
本格的に建設が開始される上海虹橋総合交通ハブプロジェクトや、将来に長三角の高速道路の殆どをカバーする ITSプロジェクトの始動など、既に動き出しているビックプロジェクトが多い。一方、大規模・高速軌道交通の整備によって周辺区域との連携が実現され、広域交通・物流機能を高度化させる取り組みなども活発になっている。
「空間的に点・線・面・地上・地下、要素的に人・モノ・情報・カネが一体的に機能しあう多元・複合開発が今後都市開発の焦点になる。これがもたらす (都市・地域の)成長のポテンシャルは大きい。このような整備はさまざまな物理的なネットワークの拠点を作り出し、新たなビジネスのプラットフォームになるからだ」(葉氏)
広域高速交通ネットワークの整備と都市クラスターの形成、都市内の鉄道ネットワーク整備による多核多心型都市構造の成立、交通ネットワークハブにおける複合的な機能集積などはやがて地域・都市の構造転換に繋がる。
「中国の地域・都市発展の潮流が激しく変化しつつある。我々のコンサルサービスはより地球規模で考え、地域に合わせて提案しなければならない。中国に根を下し、10年後の発展構図を世界の視点でどう見るかは重要だ。一方、NRIならではの複数分野を横断するトータルソリューションの提案力と戦略の着地を確実に支援できる伴走力もきっと付加価値になるだろう」(葉氏)。

田浦里香(たうら・りか)
専門は人材マネジメント、組織改革。津田塾大学、東京大学大学院を修了後、1997 年に(株)野村総合研究所に入社。2004年から中国での人材マネジメント改革支援のプロジェクトに携わる。06年から上海駐在。
田浦里香・経営戦略グループ・マネージャー
「人材」のマネジメントを中心に経営管理の問題解決を幅広く支援
中国ビジネスを展開するうえで、日本企業に一貫してついて回るのが「現地化」というテーマだ。
数々の人材マネジメント改革支援プロジェクトに従事し、クライアントに対して処方箋を投じてきたのが田浦氏である。3月 21 日、NRI上海が主催した人材マネジメントセミナーでは、多数の日本企業の経営層、幹部を前に彼女は熱弁をふるった。
真の「現地化」とは?社員が経営理念を理解し組織が継続的に競争力を高めていくには?そして「戦う組織」をつくるために本当に重要なこととは?――。
田浦氏は、「現地化」とは単に駐在員から現地社員へ交替することではないと説く。駐在員が本国へ引き上げた後も、現地社員が自社固有の理念や価値観を理解し実践しながら事業を成長させていく、そのように組織運営を軌道に乗せる、そうして初めて「現地化」が成功したといえると念を押す。「その過程で企業理念や価値観を正しく身に付けた﹃現地化第一世代﹄が果たす役割は大変重要です」(田浦氏)。
また、人事制度については、「企業が成長を図るための手段のひとつでしかない」という考え方のもと、改革の目的や、改革によって実現したい組織の将来像を持つことの必要性を強調する。これがなくしては、企業理念や事業ビジョンの実現も、それを担う﹃戦う組織﹄の実現も望めない。﹃ 仏作って魂入れず﹄である」と田浦氏は強調するのだ。
年初より「労働契約法」が施行され、従来のHR制度を見直そうという企業の動きが顕著になってきた。事業の成否を大きく左右する問題だけに、日本企業の??真剣度?≠燗?ごとに増してきている。田浦氏は、「広い視野のもとで、お客様と議論を重ねながら一緒になって問題解決をしていきたい」と抱負を語る。また「人材」だけでなく他の様々な側面からお客様の発展を総合的に支援するのが、NRIの特徴である。経営戦略グループも、今後は人材マネジメント以外の分野にもコンサルティング領域を広げていく予定だ。「今年は企業ガバナンスの整備や、リスクマネジメント体制の確立などにも取り組みたい」(田浦氏)
経営者の悩みが尽きないのは日本企業だけに限らない。昨今、現地企業などからも引合いが見られるようになってきた。ローカル企業、そして他アジア地域に「走出去」をはかる企業の経営者に経営戦略グループがコンサルティングを行う日が来るのも遠くないだろう。


梅松林(Mei Song Lin)
黒龍江省出身。化学、機械加工、不動産、食品、IT など、多岐な領域にわたる投資コンサルティングに携わる。05年より現職。
梅松林・華北事業戦略グループ・マネジャー
「自動車」切り口にコンサル展開 北京でもブランド確立、規模拡充へ
4月下旬に行われた北京モーターショー。華北地区の事業戦略グループを取り仕切る梅松林氏が注目したのは、出展企業の「環境」への積極的な取り組みだったという。
「外資メーカーだけでなく民族ブランドもこぞってハイブリッド車を展示するなど盛んにアピールを行っていた。税制面での優遇策などが施されればエントリー車として位置づけられる小型車が、市場に新たな息吹を吹き込んでいくことにもなるかも知れなない」と今後の見通しを語る。
華北地域におけるコンサルタントの陣容は梅氏を含めて7名。もともと投資コンサルティングに携わり、化学、機械加工、不動産、食品、ITなどありとあらゆる業界を手がけてきた梅氏だが、現在は自動車業界に特化したプロジェクトに取り組んでいる。
中国の自動車市場は地域によってモータリゼーションの普及度に大きく差異があるだけでなく、たとえば上海などではナンバープレートの価格が 4万元にのぼることから、小型車等、安価な車種は人気がでない等、各地によって消費者のニーズも異なる。完成車メーカーから部品メーカーに至るまで、自動車業界全般のブランディング、マーケティング戦略の構築、消費者サーチなど、??広く〞??深く〞コンサルティングを手がけられるのは梅氏ほかNRI 上海をおいて他にない。しかし、「自動車」はあくまでコンサルティング業務拡充策の??切り口〞であって、絶対的な??切り札〞であるとはいえないかも知れない。
「自動車コンサルならNRI 上海というブランド力を築き上げたい」という梅氏。その一方で、「スタッフ育成に尽力しながら、 2010年には15名の陣容に拡充する」と今後の展望を語る。「そうすれば自動車以外にも別の分野も手がけられる」 ――梅氏は、新たな領域開拓も射程距離に入っていることを暗に示した。
情報提供: Whenever CHINA08年6月号
2009/04/24 更新
アジアに生きる、中国市場で闘う"異才融合"―― NRI 上海の"底力"
欧米系のコンサルティングファームがひしめく中国で、真っ向から伍して戦おうとする日系のコンサル会社の雄、それがNRI 上海だ。
日本企業が進出先でビジネスチャンスを得ていくようにと、合計1万にも及ぶ豊富なサンプルを元に、中国の消費者動向をあぶりだしていく。競争が激化する中国市場において勝ち抜くために、どのような方策を講じるべきか――自社ブランドの位置づけを含め、進出企業が「内販」策を改善していくうえでのアドバイザリー役も担っている。
そのほか、会員、一般に向けた情報発信も活発だ。日本の本部が発行する会員向け機関誌『知的資産創造』は毎月幅広い経営課題について提案、また『2015年の中国』(東洋経済新聞社)は中国の近未来像を語るうえで必読の一冊だ。このほかサーチナ上海と「中国消費者の生活実態」も発売中。
"異才融合"―― NRI 上海が"底力" を発揮する分野は今後もますます充実していく。アジア・ナンバーワンのコンサルティング・ファームを目指して挑戦は続く。
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