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中国路地裏経済漫歩 第12回:まだまだ市場(いちば)経済の中国路地裏の視点で見ることの大切さ

「路地裏」を「漫歩」してはじめて見える中国市場(いちば)経済 撮影:崔明
中国の市場経済がスタートしてまだ15年。大国であるが故に、人も物もサービスも、その市場はいまだにカオス(混沌)の状態。いわば玉石混交の「社会主義市場(いちば)経済」の段階にあるというのが現状ではないでしょうか。しかし、社会の発展は「昔来た道」を辿ることが多く、中国の本当の実力は「路地裏」の視点からこそ見えてくるものだといえます。
法律ラッシュに沸いた2007年
2007年は、16年余に亘って外資系企業に与えてきた優遇税制が廃止され、新たな「企業所得税法」が公布されたほか、中国経済を牽引し続けてきた「加工貿易」にも大きな制限がかかり始めるなど、(外資系企業をとりまく)経済環境が大きな曲がり角を迎える年となりました。
「物権法」や「労働契約法」といった重要法案も可決・公布されました。前者では、国有企業の民営化を推進してきた結果としての「私有財産の保護」が謳われ、後者では「労働者は弱者」という立場が明確にされています。
この大きな変化の原点は、1880年代初頭に、当時の党指導部が?ケ小平理論の理解に苦しむ中、「怕什么!(何を怖がっているのか)」という?ケ小平の一言で、社会主義と市場経済という相矛盾する社会体制が突如スタートしたところにあるといっても過言ではありません。

「路地裏」から中国の実力
社会主義経済の名残や悪癖を様々な形で抱えている市場経済であるがゆえに、「実事求是(事実に即して是を求める)」という言葉を巧みに使いながら、一歩ずつ本当の市場経済へ向かっていくのでしょう。しかし、中国の市場経済がスタートしてまだ15年。大国であるが故に、人も物もサービスも、その市場はいまだにカオス(混沌)の状態にあり、現状では、玉石混交の「社会主義市場(いちば)経済」の段階にあると言わざるをえません。
また、統計数字にしても、生活実感とはかけ離れた数字が並べられた資料も多く、何が実態を示しているのか、私たち日本人の物差しでは推し量れないことが多いのも事実です。
筆者は、だからこそ今の中国経済の本当の実力を知るには、「路地裏」から経済を見て実感し、それが日本ではどのような時代であったかという比較作業が必要だと常々感じています。
「昔来た道」への視点
たとえば、大都会になった上海でも、タクシーの交通マナーは最悪だと外国人から指摘されます。
しかし、日本でも高度経済成長期の1850年代に「神風タクシー」と言われる命知らずの無謀な運転手が増えました。神風タクシーがいなくなったのは、東京オリンピックが決まって、日本のイメージアップのために、法律を改正して厳しい摘発を行ってからのことで、今の中国と殆ど似た状態だったことが分かります。神風タクシーが出現した原因の一つに、賃金の安さ、過酷な労働条件があったと聞きます。その後、労働組合などが結成され待遇が改善され収入も増え、「失いたくないもの」が出来た時、神風タクシーは姿を消したそうです。
その当時と今とでは、世界をとりまく状況が違うとはいえ、社会の発展は「昔来た道」を辿ることも多く、街中で体験したことを日本と比較して経済の実態を把握することで、次の政策の方向性や、新たな市場が見えてくることもあるのです。
2月初めに開かれた上海市政府主催の会合で、市の幹部は「今年は、海外の高級人材確保のため、定住ビザの緩和と個人所得税優遇の政策が出る」ことを示唆しました。今後、外資の役割はソフト面の発展に重心移動するでしょうが、ソフト面の充実が、どのように市場の様相を変え、人々にとっての「大切なもの」「失いたくないもの」を変えていくか、今年も「路地裏」の視点から見続けていきたいと思います。


前回までの「中国路地裏経済漫歩」
中国路地裏経済漫歩 第11回:ところ変われば変わるお金の処世術 消費を押し上げる豊かさのカラクリ
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中国路地裏経済漫歩 第9回:隣町感覚となった上海 日中経済交流新時代の予感
中国路地裏経済漫歩 第8回:人気興隆、そしてブーム失墜へ 「土家焼餅」に見る上海外食産業事情
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このコラムは日本中小企業ネット@上海(http://sme.shanghai.or.jp/)のメールマガジンでも配信しています。
情報提供: Whenever CHINA 08年3月号
2008/03/14 更新
村岡健司 (むらおか・けんじ)氏
日中経済貿易センター 上海事務所所長
中国社会科学院 中日経済研究センター特約研究員
上海市外国投資促進中心高級顧問

『週刊エコノミスト』(毎日新聞社)「チャイナウォッチ」にて連載中
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