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物流の常識は非常識?(4):倉庫減らしても在庫は減らない!?[1]
「在庫削減」。モノを扱うほとんどの会社で、常に取り組んでいるテーマだと思いますが、その手っとり早い方法として、倉庫の集約があります。分散している倉庫をまとめて、1カ所や2カ所に集約してしまおうというものです。その心は、各倉庫で品切れを起こさないように抱えていた安全在庫が、倉庫を集約したら減らせるだろうということです。ところが思うように在庫が減らないケースがよく起こります。なぜなのでしょうか?
まず、安全在庫の意味を再確認しておきましょう。通常、モノが売れる量というのは完璧には予測できません。そこで、予測が外れるのを見込んで持っておくのが安全在庫です。もし完璧に予測できるとしたら、予測分だけ在庫しておけばよいので安全在庫はゼロです。
さて、ここで少し極端な例を考えてみます。明日売れるジュースの本数を予測したい時に、ある小さな店で売れる本数と中国全体で売れる本数、どちらが精度良く予測できると思いますか?実は中国全体で予測した方が断然精度が良くなります。小さな店での売上本数は、近所の買い物客の気まぐれや天候など、偶然に左右されることが多い一方、中国全土ですと、それらの偶然が打ち消し合うためです。これを「大数の法則」といいます。つまり、予測する対象が多ければ多いほど予測の精度は上がり、安全在庫は少なくて済むわけです。
「じゃあ、やっぱり倉庫集約すれば在庫は減るんでしょ?」ということになりますが、実はそうでもない理由が2つあります。1つは、集約する倉庫の数が少ないことです。大抵の場合、せいぜい10カ所を1カ所に集約するというものです。100カ所を集約ということになれば大数の法則が働きますが、10カ所程度では予測精度の向上はたかがしれています。もう1つは、そもそも安全在庫の設定がいい加減なケースです。予測誤差から安全在庫は統計的に計算することができますが、そこまで厳密に計算していない場合は大数の法則は働きません。
以前、日本でコンサルティングさせていただいた会社で、こういうことがありました。その会社は全国約30カ所に倉庫を構えていましたが、2カ所に集約したい、その時の在庫削減数量をシミュレーションして欲しいという依頼でした。早速データをいただきシミュレーションした結果、約6割も在庫削減が可能ということが分かりました。ただし、これはただ倉庫を集約するだけでなく、安全在庫の設定を担当者の勘による方法から統計的に計算する方法に変えることが前提になっています。
我々はこのシミュレーションとは別に、倉庫は集約せずに、安全在庫の設定方法だけを変えた場合のシミュレーションも行いました。結果は、これだけでも約5割の在庫削減が可能というものでした。つまり、6割の在庫削減量のうち、ほとんどは安全在庫の決め方によるものであって、倉庫集約による影響はほとんどなかったのです。では倉庫集約は無意味かというと、そうでもありません。在庫や物流コストの削減に成功している例もたくさんあります。その違いはどこにあるのでしょうか?


前回までの「物流の常識は非常識?」
物流の常識は非常識?(3):1万円、1日寝かせていくら?[2]
物流の常識は非常識?(2):1万円、1日寝かせていくら?[1]
物流の常識は非常識?(1):今、物流が面白い!?
情報提供: BiZpresso Vol.39 2月26日発行
2008/03/18 更新
片山正樹 氏 上海フットワークサプライチェーン
プロフィール…DHLジャパン、佐川急便を経て現職

上海フットワークサプライチェーン
[住所] 上海市中山西路933号虹橋銀城615室
[電話] 021-5150-4173 / [FAX] 021-5150-4172
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