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経営プロセスと管理会計で万全の体制を構築:移転価格税の国際理論 第13回
移転価格税の基礎を現場の視点から解説
生今回は移転価格税の文書提出義務について説明する。国外の関連会社に対して直接の調査権がないため、各国の税法は非協力企業に対して重い罰則で対応している。

国税調査権の制限との関係
税務調査は国内企業に限られ、外国の会社を直接に調査することは国家主権の侵害となり、原則として認められない。租税条約により相手国当局に対して調査や情報提供を求めることができるものの、通常は国際取引に絡む脱税などの場合に活用され、移転価格税の調査には限界がある。そのため、海外の関連会社の資料は会社側の任意提出に頼ることになる。

税務調査に必要な海外の関連会社の資料
国外関連会社との取り引きが適正な価格でなされているかどうか判断するには、その取り引きから生じる数値などから判断。そのために、海外の関連会社の利益、営業機能の分析、技術の市場価値と利益配分率、販売ネットワークの構築価値、支配関係など取り引きの実態を把握する資料が必要となる。
グループ間の取り引きと第3社間の取り引きを相対的に分析。利益移転の有無と金額を算定し課税する。しかし、当局が必要とする海外の関連会社、特に親会社の経営資料を提出することにはどの会社にも抵抗があり、限られた資料しか収集できないことが多く、その裏付けも難しい。
資料提出義務に対する日本と中国の対応
日本の税法では、税務当局が必要とする海外関連会社の資料の提出がない場合、税務当局が推計して更生決定することを認めている。つまり、当局の裁量課税、簡単にいえば当局が勝手に追徴税額を決めることができるわけだ。この決定に不服がある場合は訴訟以外に救済の方法がなく、当局の違法性を納税者側が立証しなければならない。
一方、中国でも基本的には同じで、資料の提出がない場合、税務当局は国内企業に対する調査で得られた資料により課税処分する。不服がある場合は納税者自らが当局の違法性を立証しなければならない。また、協力義務違反として、延滞税の他に一定の罰金も課せられる。書類の偽造、脱税行為と認められた場合には追徴税額の50%から5倍以下の罰金が加えられる。

移転価格税の文書作成と保管義務
移転価格税の調査対象期間は、中国で過去10年間(小規模企業は除く)、日本で過去 6年間と定められている。そのため、この期間分の取引資料の保管が必要となる。現実には年間の修正金額がそれ程でもなくとも、6年間、10年間分の追徴税となると大きな金額になってしまう。
日本では追徴される税金に加えて延滞税年約8%、加算税10%が加算される。6年前の課税であれば追徴税額の約60%となる。中国では延滞税が年約18%と重く、10年前の追徴課税の場合、追徴税額の約180%が課税されてしまう。
税務調査に有効な資料
最近の度重なる企業経営の不祥事で、内部統制基準(SOX)が世界的に強化されている。特に透明性の確保と責任の明確化のため、経営の同時文書化が各国で義務化されている。
これは税務においても同じで、経営との同時文書化により作成された資料にその有効性を認めている。価格決定の会議議事録、取引開始前に締結された契約書、営業戦略会議議事録、営業指示書、会計処理基準など、経営と営業のプロセスで文書化された資料が有効になる。
税務調査の反論資料は調査開始後に作成しても説得力がなく、租税裁判での証拠能力としても極めて弱い。現実の税務においては営業現場の実態を無視し、過去の実績のみで課税処分がなされる事例が多く、納税者が大きな不満を残す結果となる。
特に、利益移転の意図はなく、営業戦略上の理由で決められたグループ間の取引価格が、国家間の適正利益配分を侵すとして課税されることが圧倒的に多い。そのため、企業自らが移転価格税制を理解し、有効な文書を作成、保管することが求められる。


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経営プロセスと管理会計で万全の体制を構築:移転価格税の国際理論 第12回
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情報提供: BiZpresso Vol.41 3月25日発行
2008/04/02 更新
出津 平氏 米国TMA 登録JCTP・税理士

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