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2008年も早、2カ月が経過しました。2007年度の会計監査も終了し、本年度の利益処分について検討されている会社も多いかと思います。今回は、利益処分の際に積み立てが必要となる三項基金について解説いたします。
1.三項基金の積み立てと配当可能利益
税引後利益から三項基金といわれる基金を積み立てた残額が配当可能限度額になります。繰越欠損がある場合には、繰越欠損控除後の税引後利益から三項基金を積み立てた残額が配当可能利益となります。
2.三項基金とは
三項基金とは、利益処分時に積み立てられる準備利益、企業発展基金、従業員奨励福利基金の3つの基金をいいます。三項基金については積立率や使途、取り崩し方法等について明確に規定されていない部分が多くありますが、概略は以下のようになります。
3.準備基金
(1)積み立ての要否と積立額
準備基金は、独資企業については税引後利益の10%以上を登録資本金の50%に達するまで積み立てなければならないとされています。合弁企業(合資企業。以下、「合弁企業」)と合作企業についても、準備基金を積み立てることとされているものの、具体的な積立率や積立額(以下、「積立率等」)についての規定はなく、合弁契約や定款の規定に準拠します。
合弁契約書や定款等に積み立てに関する記載がない、もしくは、董事会により積立率等を決定する旨が記載されている場合には、董事会にて積立率等を決定することになります。
(2)使途
準備基金は、資本の部に積み立て、欠損の填補や増資に使用することができます。欠損填補のための基金の取り崩しについては董事会の決議が必要であり、増資のための取り崩しについては董事会の決議の後、主管部門の承認が必要になります。
4.企業発展基金
(1)積み立ての要否と積立額
企業発展基金の積立は、独資企業については任意とされています。ただし、定款において積立率等が具体的に規定されている場合には、その規定に従うことになります。合弁企業、合資企業については、準備基金と同様に、規定上は積み立てることとされているものの、具体的な積立率等についての規定はなく、合弁契約や転換の規定に準拠します。
独資企業、合弁企業、合作企業のいずれについても、合弁契約書や定款等に積み立てに関する記載がない、もしくは、董事会により積立率等を決定する旨が記載されている場合には、董事会にて積立率等を決定することになります。
(2)使途
企業発展基金は、資本の部に積み立て、生産経営の拡大に使用するとされており、増資に用いることも可能ですが、増資のために取り崩す場合には、董事会の決議のほか、主管部門の承認が必要になります。
税引後利益から三項基金といわれる基金を積み立てた残額が配当可能限度額になります。繰越欠損がある場合には、繰越欠損控除後の税引後利益から三項基金を積み立てた残額が配当可能利益となります。
2.三項基金とは
三項基金とは、利益処分時に積み立てられる準備利益、企業発展基金、従業員奨励福利基金の3つの基金をいいます。三項基金については積立率や使途、取り崩し方法等について明確に規定されていない部分が多くありますが、概略は以下のようになります。
3.準備基金
(1)積み立ての要否と積立額
準備基金は、独資企業については税引後利益の10%以上を登録資本金の50%に達するまで積み立てなければならないとされています。合弁企業(合資企業。以下、「合弁企業」)と合作企業についても、準備基金を積み立てることとされているものの、具体的な積立率や積立額(以下、「積立率等」)についての規定はなく、合弁契約や定款の規定に準拠します。
合弁契約書や定款等に積み立てに関する記載がない、もしくは、董事会により積立率等を決定する旨が記載されている場合には、董事会にて積立率等を決定することになります。
(2)使途
準備基金は、資本の部に積み立て、欠損の填補や増資に使用することができます。欠損填補のための基金の取り崩しについては董事会の決議が必要であり、増資のための取り崩しについては董事会の決議の後、主管部門の承認が必要になります。
4.企業発展基金
(1)積み立ての要否と積立額
企業発展基金の積立は、独資企業については任意とされています。ただし、定款において積立率等が具体的に規定されている場合には、その規定に従うことになります。合弁企業、合資企業については、準備基金と同様に、規定上は積み立てることとされているものの、具体的な積立率等についての規定はなく、合弁契約や転換の規定に準拠します。
独資企業、合弁企業、合作企業のいずれについても、合弁契約書や定款等に積み立てに関する記載がない、もしくは、董事会により積立率等を決定する旨が記載されている場合には、董事会にて積立率等を決定することになります。
(2)使途
企業発展基金は、資本の部に積み立て、生産経営の拡大に使用するとされており、増資に用いることも可能ですが、増資のために取り崩す場合には、董事会の決議のほか、主管部門の承認が必要になります。
5.従業員奨励福利基金
(1)積み立ての要否と積立額
従業員奨励福利基金は、外商投資企業も積み立てることとされていますが、独資企業、合弁企業、合資企業のいずれについても、具体的な積み立て率等については規定されておりません。他の積立金と同様に、合弁契約書や定款等に積立率等に関して記載されていない、もしくは、董事会により積立率等を決定する旨が記載されている場合には、董事会にて積立率等を決定することになります。ただし、当該積立金については、従業員の福利を目的としていることもあり、政府当局より最低積立率等について行政指導を受ける地域もあるようです。
(2)使途
従業員奨励福利基金は、未払福利費として負債の部に積み立て、従業員に対する非経常の賞与や集団福利等に使用することができます。
(3)他の基金との相違
準備基金と企業発展基金が資本の留保項目として資本の部に計上されますが、従業員奨励福利基金は、積立額を負債の部に計上することになります。
従いまして、当該基金については、一義的には全従業員に帰属することになるため、従業員奨励福利基金を使用して購入した固定資産も、会社の資産とはならず、従業員(または工会(労働組合))に帰属することになると解釈できます。
(4)会計上、税務上の観点から見た従業員福利基金
従業員奨励福利基金は、税引後利益より積み立てることとなるため、積み立て時も取り崩し時(使用時)も損益計算書の利益に影響を与えません。
例えば、従業員に対する非経常の賞与を従業員奨励福利基金として積み立てた場合には、積み立て時にも賞与支給時にも利益に影響を与えません。
一方で、非経常の賞与について従業員奨励福利基金を積み立てなかった場合、もしくは、支給時に取り崩さなかった場合は、賞与支給時の費用となりますので、支給年度の利益が賞与支給額分だけ減少することとなり、企業所得税もその分減少することになります。
利益をより多く計上したい企業にとっては、この従業員奨励福利基金を計上するメリットはありますが、税務メリット(税金をより少なくしたい)をとりたい企業にとっては、従業員奨励福利基金を積み立てずに支出時の費用とした方が有利といえます。ただし、福利費については、税務上の損金算入限度額があるため、留意する必要があります。
6.最後に
三項基金については、独資企業の企業発展基金については積み立てが任意となっている以外、積み立てることが必要となっています。ただし、実務上は、特に企業発展基金と従業員奨励福利基金については、董事会において積立率をゼロとして決議している会社が多く存在するのも事実です。
積み立てにあたっては、単に過去からの慣習のみで決定するのではなく、積立の目的、使用可能性について考慮した上で決定することが望まれます。
前回までの「会計講座」
会計講座 第11回:税務専門家のみる中国における土地税制
会計講座 第10回:在外子会社の会計処理の統一(2)(中国現地法人における対応等について)
会計講座 第9回:在外子会社の会計処理の統一
会計講座 第8回:新《労働契約法》における経済補償金の会計と税務(2)
会計講座 第7回:新《労働契約法》における経済補償金の会計と税務(1)
会計講座 第6回:遡及期間、罰金、延滞税と告発の奨励について
(1)積み立ての要否と積立額
従業員奨励福利基金は、外商投資企業も積み立てることとされていますが、独資企業、合弁企業、合資企業のいずれについても、具体的な積み立て率等については規定されておりません。他の積立金と同様に、合弁契約書や定款等に積立率等に関して記載されていない、もしくは、董事会により積立率等を決定する旨が記載されている場合には、董事会にて積立率等を決定することになります。ただし、当該積立金については、従業員の福利を目的としていることもあり、政府当局より最低積立率等について行政指導を受ける地域もあるようです。
(2)使途
従業員奨励福利基金は、未払福利費として負債の部に積み立て、従業員に対する非経常の賞与や集団福利等に使用することができます。
(3)他の基金との相違
準備基金と企業発展基金が資本の留保項目として資本の部に計上されますが、従業員奨励福利基金は、積立額を負債の部に計上することになります。
従いまして、当該基金については、一義的には全従業員に帰属することになるため、従業員奨励福利基金を使用して購入した固定資産も、会社の資産とはならず、従業員(または工会(労働組合))に帰属することになると解釈できます。
(4)会計上、税務上の観点から見た従業員福利基金
従業員奨励福利基金は、税引後利益より積み立てることとなるため、積み立て時も取り崩し時(使用時)も損益計算書の利益に影響を与えません。
例えば、従業員に対する非経常の賞与を従業員奨励福利基金として積み立てた場合には、積み立て時にも賞与支給時にも利益に影響を与えません。
一方で、非経常の賞与について従業員奨励福利基金を積み立てなかった場合、もしくは、支給時に取り崩さなかった場合は、賞与支給時の費用となりますので、支給年度の利益が賞与支給額分だけ減少することとなり、企業所得税もその分減少することになります。
利益をより多く計上したい企業にとっては、この従業員奨励福利基金を計上するメリットはありますが、税務メリット(税金をより少なくしたい)をとりたい企業にとっては、従業員奨励福利基金を積み立てずに支出時の費用とした方が有利といえます。ただし、福利費については、税務上の損金算入限度額があるため、留意する必要があります。
6.最後に
三項基金については、独資企業の企業発展基金については積み立てが任意となっている以外、積み立てることが必要となっています。ただし、実務上は、特に企業発展基金と従業員奨励福利基金については、董事会において積立率をゼロとして決議している会社が多く存在するのも事実です。
積み立てにあたっては、単に過去からの慣習のみで決定するのではなく、積立の目的、使用可能性について考慮した上で決定することが望まれます。
前回までの「会計講座」
会計講座 第11回:税務専門家のみる中国における土地税制
会計講座 第10回:在外子会社の会計処理の統一(2)(中国現地法人における対応等について)
会計講座 第9回:在外子会社の会計処理の統一
会計講座 第8回:新《労働契約法》における経済補償金の会計と税務(2)
会計講座 第7回:新《労働契約法》における経済補償金の会計と税務(1)
会計講座 第6回:遡及期間、罰金、延滞税と告発の奨励について
情報提供:
Whenever CHINA 08年3月号
Whenever CHINA 08年3月号2008/03/14 更新
筆者:川嶋広行
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日本公認会計士。1990年2次試験に合格。92年大学を卒業後、同年より日本の大手監査法人にて法定監査、IPO支援業務に従事する。2000年同法人を退職後、北京での1 年間の語学留学を経て E&Y上海事務所にて日系企業の監査、税務アドバイザリー業務に従事し、06年より望月コンサルティングに参画する。現在、業務改善支援や財務デューディリジェンス業務等を手がけている。
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