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会計講座 第11回:税務専門家のみる中国における土地税制
土地税制は国家にとって重要な経済政策運営機能を有し、一般に政府は土地税制を通じて、土地資源の合理的配置及び有効利用を図るものとされています。中国においては最近まで経済の活性化のために土地にかかわる税金及び行政費用の徴収について消極的であったものといえますが、近年においては不動産価格の高騰を及び景気の加熱を抑制する目的から、土地税制について徴収管理の強化が行われています。

都市土地建物使用税
市、県、鎮、鉱区範囲内において土地を使用する単位または企業は都市土地使用税を納付しなければならないものとされており、 2007年1月1日より外商投資企業にもその適用が開始されています。ここでは、以下の区分に従って、実際に占用している土地面積について税額が計算されるものとされています。
区分税額(元/㎡/年間)
大都市1.5〜30
中都市1.2〜24
小都市0.9 〜18
県、鎮、鉱区0.6〜12
例えば、上海においては、崇明島等を除き、ほぼ全ての地域が6 元〜30元の範囲に含まれるものとなっています。
都市建物土地税
外商投資企業及び外国企業、外国籍個人に対して都市建物土地税の課税が行われることとなっています。但し、実務上は、ほとんどの地域において、内資企業及び中国国籍個人に対して適用される房産税との平衡を図り、建物についてのみの課税が行われています。
区分税額(元/年間)
建物標準建物価格×1.2%
土地標準地価×1.8%
建物と土地の価格を区別することが困難な場合標準土地建物価格×1.5%
建物及び土地の価格を求めることが困難な場合標準賃料×15%
実務上は多くの地域において、上述の国家の規定とは別に、各省(市)人民政府の規定により、課税標準を建物の取得価額からその10%から30%の価額を控除した額とされています。
要納税額 = 建物取得価額×(1-10%〜30%)×1.2%また、賃料を課税標準とする場合には房産税における適用税率が 12%であることから12%の適用税率が採用される場合もあります。
要納税額=賃料×12% または15%

土地使用金
一定の地域においては払下げを受けた土地使用権については、当該土地の使用について毎年土地使用金を支払うものとされています。例えば、上海においては「上海市土地使用権出譲弁法」により、「譲受人は土地使用権出譲年限の間、払い下げ土地の面積に応じて毎年土地管理部門に土地使用金を支払わなければならず、その基準は1平方メートル当たり1元である」と規定されています。
土地使用費
上述の土地使用金が払下げ方式により取得した土地使用権にかかわり支払わなければならない費用であるのに対して、払下げ以外の方式により土地を使用する外商投資企業については、土地使用費を納付しなければならないものとされています。
例えば、上海においては以下のような区分により土地使用費の金額が規定されています。
区分税額(元/㎡/年間)
商業、金融、旅館、総合、オフィス、娯楽10〜170(1級から9級に区分)
住居8〜110(1級から9級に区分)
工業、倉庫、交通一般企業
4〜130(1級から9級に区分)先進技術、輸出型企業
2〜100(1級から9級に区分)教育、科学技術、衛生、体育、文化
2〜45(1級から9級に区分)農業、養殖
一般企業0.5〜14(3級から10級に区分)
先進技術、輸出型企業標準賃料×15%
以上のように、中国における土地建物にかかわる税金には、都市建物土地税、房産税、があり、またこれとは別に行政費用として、土地使用金、土地使用費が存在しています。
ここで、都市建物土地税及び房産税は不動産の所有に対して課税される一方、土地使用金及び土地使用費は土地の使用に関して納付を要するものとされています。また、外商投資企業及び外国籍個人については、都市建物土地税の徴収が行われ、内資企業及び中国籍個人については、房産税の適用が行われることとなっています。
さらに、これらの税目、費用についての課税権限が地方人民政府に属するものとされていることから、それぞれの地域ごとに運用が異なっており、結果的に極めて複雑な課税(費用)徴収体系が存在することとなっています。
この理由としては、そもそも中国の生産性財産共有制という根本的概念から、不動産に対する課税について、その課税対象行為を不動産の所有とするのかまたは使用とするのかが明確となりにくいことが挙げられます。さらに1984年の税制改革において、基本的には建物については所有行為に対する課税、土地については使用行為に対する課税という基本的方向を示したものの、近年において土地について払下げ方式または譲渡による土地使用権の所有という状況が一般的になりつつあることから、新たな不明確性を生むこととなっていることがあげられます。
従って、今後は税制の透明化及び簡便性の観点から、新たな税制として統一して制定及び適用されることが望まれています。


前回までの「会計講座」
会計講座 第10回:在外子会社の会計処理の統一(2)(中国現地法人における対応等について)
会計講座 第9回:在外子会社の会計処理の統一
会計講座 第8回:新《労働契約法》における経済補償金の会計と税務(2)
会計講座 第7回:新《労働契約法》における経済補償金の会計と税務(1)
会計講座 第6回:遡及期間、罰金、延滞税と告発の奨励について
情報提供: Whenever CHINA 08年2月号
2008/02/28 更新
筆者:望月一央
望月コンサルティング(上海)有限公司 公認会計士
日本公認会計士。91年に同試験合格後、93年より中国進出企業の案件に着手、これまで手がけた数は日系企業を中心に500社以上に及ぶ。2004年、望月諮詢(上海)有限公司を設立。現在、中日の内部統制支援専門家とともに日系企業のSOX対応支援、国際税務コンサルティング、MAスキーム策定、上場支援等を手がける。

望月コンサルティング(上海)有限公司 公認会計士 望月一央事務所
[住所] 上海市浦東新区張楊路560号 中融恒瑞国際大厦西棟1702室
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