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中国不動産「投資」レポート Vol11:J-REITの海外投資解禁に向けた動き
日本において、J-REIT(不動産投資信託)の海外投資解禁が検討されている。J-REITが生き残りを賭けて中国不動産を狙う可能性が出てきた。しかし、J-REITが中国不動産をポートフォリオに組み入れるまでには、日中間の問題をクリアしなければならない。今回は、J-REITが中国不動産を対象とする際の問題点をとりあげたい。

上半期にもJ -REIT解禁へ
REIT(不動産投資信託、Real Estate Investment Trust)とは、投資家から集めた資金などによって設立された投資法人が不動産を保有し、運用した収益を投資家に分配する金融商品である。日本国内では、一般的にJ-REITと呼ばれている。第1回(2007年4月号)で紹介したように、中国国内でもREITの導入が検討されている。
J - REITに関しては、現在、日本政府や東証が中心となって海外投資の解禁が検討されている模様である。時期は未定だが、早ければ 08年4月にも解禁とされている。日本国内の不動産をポートフォリオに組み入れることに限界が見えはじめており、J-REIT の海外投資解禁に向けた動きは、機関投資家から注目を集めている。今後、中国不動産は、J-REITのポートフォリオの対象として考えられるのは間違いないだろう。
鑑定評価のガイドライン
07 年12月15日付で、国土交通省から「海外投資不動産鑑定評価ガイドライン(案)」が発表された。執筆時点では、方々から意見を求めている状況であり、今後、意見をもとにガイドラインを再検討するものとみられる。
ガイドラインによると、J - REIT の海外投資にあたり、必要となる鑑定評価の方式は、(1)現地鑑定補助方式と (2)現地鑑定検証方式となっている。日本国内で通用する鑑定評価とするためには、次のものが必要となる。
(1)現地鑑定人から収集した資料(原文) と日本の鑑定士が作成した評価書。評価書には日本の鑑定士の署名が必要
(2)現地鑑定人が作成した評価書(原文) と評価書の日本語訳(要約可)、日本の鑑定士による鑑定検証報告書。現地鑑定人の評価書には現地鑑定人の署名、鑑定検証報告書に日本の鑑定士の署名が必要
二国間の鑑定基準の相違をどうする?
現時点でいえる問題点として、中国の鑑定評価に関して、日本のそれと比べて簡潔である場合が多いことがあげられる。中国においても鑑定評価の基準があり(鑑定士の資格もある)、それにしたがって評価しなければ中国国内で有効な鑑定評価書とならない。まずは、中国側の鑑定基準と日本側の基準のあいだで、どのような形で内容をすりあわせることができるのか、重要な課題となるだろう。
もっとも、ガイドラインでは、中国が系統だった鑑定評価システムを採用していると判断されていない。(中国の鑑定事情に関する情報が少ないため、今回のガイドラインへの掲載が見送られたものと予測される。)
J-REITの海外投資解禁に向かう一方、中国不動産が投資対象とされない可能性は十分に残っている。今後の動向に注目する必要があるだろう。
中国不動産には、高い経済成長率、人民元切り上げ、圧倒的な量の需要など、好条件が揃っている。今後、J-REITが中国不動産をポートフォリオに組み入れを検討する動きは加速化するだろう。しかし、日本の鑑定士の中国不動産に対する理解が進んでいるとはいえないのが現状である。まずは、日本の鑑定士が中国不動産に対する理解を深め、日本で通用する鑑定評価書を現地の資料から作成する土台をつくることが必要である。
今後、鑑定評価の問題だけでなく、投資スキームの問題も出てくるだろう。06年の「外資規制」により、オフショアからの中国不動産投資が不可能になったことが、J-REITの投資スキーム戦略に影響を与える可能性が出てくるはずだ。また、中国側のJ-REITに対する政策が発表される可能性もあり、今後の動向に注目する必要があるだろう。


前回までの「中国不動産「投資」レポート」
中国不動産「投資」レポート Vol10:日系デベロッパーの開発可能性
中国不動産「投資」レポート Vol9:不良債権化と新たな投資チャンス
中国不動産「投資」レポート Vol8:ベトナム不動産投資環境(2)
中国不動産「投資」レポート Vol7:ベトナム不動産投資環境(1)
中国不動産「投資」レポート Vol6:外資に対する相次ぐ不動産投資規制
情報提供: Whenever CHINA 08年2月号
2008/03/12 更新
筆者:安田明宏氏
Stasia Capital Holding Limited投資顧問事業部(市場調査研究担当)主任研究員
プロフィール…名古屋大学大学院文学研究科博士課程単位取得満期退学。インドネシア・スラバヤ国立大学大学院国家教育研究科博士課程留学。専攻は文化人類学。


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