コンサルティング 中国
日本において、2008年4月1日以降に開始する事業年度より、実務対応報告第18号「連結財務諸表作成における在外子会社の会計処理に関する当面の取り扱い」(以下、「実務対応報告」)が適用されることになりました。これにより、中国を含む在外子会社は、連結用の財務諸表を日本会計基準もしくは、国際財務報告基準(IFRSs)または米国会計基準(US GAAP)により作成しなければならなくなります。
5. 適用初年度の期首残高の処理
貸借対照表の期首残高についても、新しい規定に基づき、日本基準もしくは、IFRSsまたはUS GAAP(以下、IFRSs等)に準拠した会計処理により修正する必要があります。
6. 中国現地法人における対応
(1)どの基準で財務諸表を作成するか?
形式的には、中国基準による財務諸表と日本連結用財務諸表を作成する必要があります。ただし、2種類の財務諸表を作成するといっても、日々の会計処理を2種類の基準をそれぞれ用いて行うのではなく、中国基準で作成した財務諸表を日本基準もしくは、 IFRSs等の財務諸表へ組み替え(調整)を行うことになります。
中国の経理担当者は、通常、日本の会計基準に精通しておらず、日本の経理担当者も中国の会計基準に精通していないため、中国の会計基準で作成した財務諸表を日本基準に組み替えるのは難しいと考えます。
SEC上場企業については、US GAAPを適用することになると考えますが、それ以外の大半の会社については、中国基準からIFRSs で組み替えることになると推測しています。
(2)誰が作成するのか?
IFRSs等の会計基準により財務諸表を作成する、もしくは中国基準よりIFRSs等に組み替えを行うにあたっては、以下のいずれかの場合が想定されます。
1) 中国子会社の経理担当者が作成
一般に、中国の大半の経理担当者はIFRSs等に対する知識が豊富ではないと思われるため、会社の実情に応じた中国基準との対照表や組み替えて手順を記載したものがなければ対応は難しいと思われます。
2) 親会社における連結修正仕訳として組み替えを実施
親会社においても、中国同様、IFRSsに精通した人材がそれほど豊富ではなく、絶対的なマンパワーが不足していることがあり、さらには、組み替えのためには、IFRSsの知識だけではなく、中国基準についても知識を有している必要があるため、現実的には難しいと思われます。
3) 会計事務所やコンサルティング会社にて作成支援
当面は、IFRSs等に精通している中国会計の専門家の支援を受けざるを得ない企業も多いと思われます。ただし、独立性の観点から監査を担当している会計事務所がIFRSsへの組み替えまたは組み替え支援を実施することは問題があるため、監査担当事務所以外に依頼する必要があります。また、会計事務所に対する作成支援費用を考えると、親会社、現地法人のどちらがその費用を負担するのか等を決める必要があります。
(3)中国における会計基準
中国では、2007年より中国上場企業に対して、新しい《企業会計準則》(以下、新基準)の導入が義務付けられています。現時点では、上場企業以外の会社には適用が義務付けられていないため、大半の日系企業は現行の《企業会計制度》(以下、現行基準)等を適用して財務諸表を作成しています。
新基準は、多くの点でIFRSsと同内容となっております。しかし、完全な統一基準ではないため、新基準で作成したとしても、やはりIFRSsへの組み替えは必要になります。
現在、外資系企業に対しても新基準の適用を義務付ける動きがあるため、今後の動向に注意する必要があります。
(4)IFRSsとの差異
IFRSsと現行基準にはさまざまな差異が存在しますが、多くの日系企業の中国におけるオペレーションを考えれば、実際考慮すべき差異は限定的なものとなります。
大半の企業に関係すると思われる差異は、税効果会計の適用の有無です。現行基準では任意適用となっており、実際に、大半の日系の中国現地法人でも、税効果会計は適用していないと思われます。IFRSsにおいては適用が強制されており、さらに、多くの企業では税効果適用により差異が発生すると思われます。
また、IFRSsでは、固定資産の解体や除去費用の当初見積額は、固定資産の取得原価を構成するのに対し、現行基準では、規定がなく、固定資産原価に算入していません。
貸借対照表の期首残高についても、新しい規定に基づき、日本基準もしくは、IFRSsまたはUS GAAP(以下、IFRSs等)に準拠した会計処理により修正する必要があります。
6. 中国現地法人における対応
(1)どの基準で財務諸表を作成するか?
形式的には、中国基準による財務諸表と日本連結用財務諸表を作成する必要があります。ただし、2種類の財務諸表を作成するといっても、日々の会計処理を2種類の基準をそれぞれ用いて行うのではなく、中国基準で作成した財務諸表を日本基準もしくは、 IFRSs等の財務諸表へ組み替え(調整)を行うことになります。
中国の経理担当者は、通常、日本の会計基準に精通しておらず、日本の経理担当者も中国の会計基準に精通していないため、中国の会計基準で作成した財務諸表を日本基準に組み替えるのは難しいと考えます。
SEC上場企業については、US GAAPを適用することになると考えますが、それ以外の大半の会社については、中国基準からIFRSs で組み替えることになると推測しています。
(2)誰が作成するのか?
IFRSs等の会計基準により財務諸表を作成する、もしくは中国基準よりIFRSs等に組み替えを行うにあたっては、以下のいずれかの場合が想定されます。
1) 中国子会社の経理担当者が作成
一般に、中国の大半の経理担当者はIFRSs等に対する知識が豊富ではないと思われるため、会社の実情に応じた中国基準との対照表や組み替えて手順を記載したものがなければ対応は難しいと思われます。
2) 親会社における連結修正仕訳として組み替えを実施
親会社においても、中国同様、IFRSsに精通した人材がそれほど豊富ではなく、絶対的なマンパワーが不足していることがあり、さらには、組み替えのためには、IFRSsの知識だけではなく、中国基準についても知識を有している必要があるため、現実的には難しいと思われます。
3) 会計事務所やコンサルティング会社にて作成支援
当面は、IFRSs等に精通している中国会計の専門家の支援を受けざるを得ない企業も多いと思われます。ただし、独立性の観点から監査を担当している会計事務所がIFRSsへの組み替えまたは組み替え支援を実施することは問題があるため、監査担当事務所以外に依頼する必要があります。また、会計事務所に対する作成支援費用を考えると、親会社、現地法人のどちらがその費用を負担するのか等を決める必要があります。
(3)中国における会計基準
中国では、2007年より中国上場企業に対して、新しい《企業会計準則》(以下、新基準)の導入が義務付けられています。現時点では、上場企業以外の会社には適用が義務付けられていないため、大半の日系企業は現行の《企業会計制度》(以下、現行基準)等を適用して財務諸表を作成しています。
新基準は、多くの点でIFRSsと同内容となっております。しかし、完全な統一基準ではないため、新基準で作成したとしても、やはりIFRSsへの組み替えは必要になります。
現在、外資系企業に対しても新基準の適用を義務付ける動きがあるため、今後の動向に注意する必要があります。
(4)IFRSsとの差異
IFRSsと現行基準にはさまざまな差異が存在しますが、多くの日系企業の中国におけるオペレーションを考えれば、実際考慮すべき差異は限定的なものとなります。
大半の企業に関係すると思われる差異は、税効果会計の適用の有無です。現行基準では任意適用となっており、実際に、大半の日系の中国現地法人でも、税効果会計は適用していないと思われます。IFRSsにおいては適用が強制されており、さらに、多くの企業では税効果適用により差異が発生すると思われます。
また、IFRSsでは、固定資産の解体や除去費用の当初見積額は、固定資産の取得原価を構成するのに対し、現行基準では、規定がなく、固定資産原価に算入していません。
(5)監査、レビューにおける対応
中国の外資系企業はすべて中国公認会計士による監査を受ける必要があり、その監査の基礎となる財務諸表は中国基準により作成されます。
今後は、中国会計基準の監査のほかに、親会社や親会社の監査人より、現地の会計事務所にIFRSs等により作成された財務諸表に対するレビューまたは監査を求められる可能性があります。その場合は、IRFSs等の監査、レビューの実施可能な会計事務所に依頼する必要があるため、対応可能な会計事務所が相当限定されると思われ、数千元から1万元程度で会計監査を行う会計事務所に比べ、監査、レビュー報酬も相当上がることとなります。
さらに、中国基準からIFRSs等への組み替えは、監査、レビュー担当の会計事務所では、原則として実施できないため、作成に伴う負担も増加することになると思われます。
(6)おわりに
IFRSs等による財務諸表の組み替えは、早い会社では2008年1月1日より適用が開始されます。連結上の重要性の判断等により、個々の会社に求められる内容も変わってくると思われ、また、子会社単独での対応は難しいため、何らかの形で親会社や外部の専門家の支援が必要となります。
また、対応するための時間や必要費用の予算への組み入れもありますので、早めの取り組みが必要になると考えます。
前回までの「会計講座」
会計講座 第9回:在外子会社の会計処理の統一
会計講座 第8回:新《労働契約法》における経済補償金の会計と税務(2)
会計講座 第7回:新《労働契約法》における経済補償金の会計と税務(1)
会計講座 第6回:遡及期間、罰金、延滞税と告発の奨励について
中国の外資系企業はすべて中国公認会計士による監査を受ける必要があり、その監査の基礎となる財務諸表は中国基準により作成されます。
今後は、中国会計基準の監査のほかに、親会社や親会社の監査人より、現地の会計事務所にIFRSs等により作成された財務諸表に対するレビューまたは監査を求められる可能性があります。その場合は、IRFSs等の監査、レビューの実施可能な会計事務所に依頼する必要があるため、対応可能な会計事務所が相当限定されると思われ、数千元から1万元程度で会計監査を行う会計事務所に比べ、監査、レビュー報酬も相当上がることとなります。
さらに、中国基準からIFRSs等への組み替えは、監査、レビュー担当の会計事務所では、原則として実施できないため、作成に伴う負担も増加することになると思われます。
(6)おわりに
IFRSs等による財務諸表の組み替えは、早い会社では2008年1月1日より適用が開始されます。連結上の重要性の判断等により、個々の会社に求められる内容も変わってくると思われ、また、子会社単独での対応は難しいため、何らかの形で親会社や外部の専門家の支援が必要となります。
また、対応するための時間や必要費用の予算への組み入れもありますので、早めの取り組みが必要になると考えます。
前回までの「会計講座」
会計講座 第9回:在外子会社の会計処理の統一
会計講座 第8回:新《労働契約法》における経済補償金の会計と税務(2)
会計講座 第7回:新《労働契約法》における経済補償金の会計と税務(1)
会計講座 第6回:遡及期間、罰金、延滞税と告発の奨励について
情報提供:
Whenever CHINA 08年1月号
Whenever CHINA 08年1月号2008/02/28 更新
筆者:川嶋広行
望月コンサルティング(上海)有限公司 パートナー 公認会計士
望月コンサルティング(上海)有限公司 公認会計士 望月一央事務所
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望月コンサルティング(上海)有限公司 パートナー 公認会計士
日本公認会計士。1990年2次試験に合格。92年大学を卒業後、同年より日本の大手監査法人にて法定監査、IPO支援業務に従事する。2000年同法人を退職後、北京での1 年間の語学留学を経て E&Y上海事務所にて日系企業の監査、税務アドバイザリー業務に従事し、06年より望月コンサルティングに参画する。現在、業務改善支援や財務デューディリジェンス業務等を手がけている。
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