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経営プロセスと管理会計で万全の体制を構築:移転価格税の国際理論 第8回
移転価格税の基礎を現場の視点から解説
販売に関する重要な文書
移転価格の税務調査において、当局が求める販売に関する資料は次の通りになる。
(1)関連会社間の取り引きに関する契約書、価格などの条件決定の経過を示す書類。
(2)販売、市場浸透などの特別な経営戦略を実施したことを示す文書。
(3)市場分析、競合する商品の分析など価格の決定に与える外部要因に関する書類。
(4)販売価格の変更に関する書類。

特別な販売戦略に必要な文書
OECDガイドラインは独立企業間価格を基本としながらも、事業戦略としてマーケットシェア戦略、市場への新規参入、市場浸透に対する価格戦略を考慮すべきとしている。米国の財務省規則においても通常とは異なる価格での取り引きを容認している。比較可能な期間と状況下において、戦略実施の立証の可能性と文書による証拠書類の提出ができる場合といった条件がある。
日中両国の税法は特に規定を設けていないが、税制の国際性から納税者の主張は認められると思われる。ただし、この戦略の目的、必要とする理由および期限などを明らかにする文書の証拠保存と提示が必要となる。
日本の親会社との取引価格
移転価格税には包括取り引きと相殺取り引きがある。前者は製品、部品などの価格と製造ノウハウの使用許諾取り引きが一体となっており、これらを包括し適正独立価格として判断することが合理的である場合に認める。具体的には、製造ノウハウの提供報酬分に相当する分を製品の価格面で考慮する方法などとなる。
後者は同一の相手と複数の製品を取り引きしている場合、複数の取り引きで一体的に独立企業間価格を判断する。日本の税法は客観的な合理性があれば認めるとしている。 OECDガイドラインも契約の文書化などにより明確な場合には考慮すべきとしている。
しかし、中国の税法もこれを全面的に認めるかとなると疑問がある。海外取り引きの相殺禁止規定およびロイヤリティーの源泉課税が取り引きに埋没することにもなる。日中両国の税法を配慮した取り引きスキームと価格設定を工夫しなければならない。
特別な販売ノウハウの利益貢献
親会社の提供する製造ノウハウで海外の子会社が製造販売している場合、ロイヤリティーの適正価格の算定が困難であれば子会社の超過利益を提供側に移転させて課税する。子会社の超過利益の要因として、子会社自身の販売に関する特別な要因も考慮される。
子会社は自らが築いた販売戦略とその効果を資料化し、客観的に明らかにする必要がある。販売戦略会議の内容、広告活動の予算と実績、市場分析データなど、広告および販売活動と売り上げの推移実績が客観的に認識できる資料を文書化。日中両国の税務当局に説明することが課税リスクの軽減につながる。

中国進出企業の今後の課題
中国には従来、コスト削減を求め製造業が主として進出した。中国の税務当局は、製品を日本の親会社が低価格で引き取っているのではないかと疑問視してきたが、外資導入の政策的配慮から厳しい調査は避けてきた。日本の税務当局側からの問題はなかった。
しかし、今後は中国市場での販売、あるいは第3国への直接輸出を目指す企業が増加すると思われる。日本の利益が海外に流出するとの解釈もあり、この流出利益に対しては日本でも課税すべきとの考え方が浮上。無形資産(ノウハウ)の提供に対する報酬課税が注目されるようになってきた。
配当として親会社が投資回収した場合には、外国税額控除による2重課税の救済が設けられているが、移転価格税には2国間調整以外に2重課税の救済はない。日本の移転価格税は親会社に対する課税だが、対象は海外子会社の利益に対するものであるため、双方の協力による一体的な取り組みが求められる。


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経営プロセスと管理会計で万全の体制を構築:移転価格税の国際理論 第7回
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情報提供: BiZpresso Vol.35 12月18日発行
2008/01/09 更新
出津 平氏 米国TMA 登録JCTP・税理士

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