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戦う組織をつくる Vol2:「現地化」の成否を決める「第一世代」 いかに選び、いかに活用していくか
最大の経営課題の一つとして「現地化」が叫ばれて久しい。しかし漫然と「優秀な中国人社員を活用したい」と考えているだけでは、いつまで経っても真の「現地化」は実現しない。特に労働契約法の施行後は、企業が主体的に人材を選別し育成していかなければ、真の「現地化」がますます遠のく恐れがある。

真の「現地化」とは何か
なぜ現地化が必要なのだろうか。それは、駐在員が大挙して中国にやってきて必死に汗を流しても、所詮は外国人であるため、競争の激しい中国で事業を推し進めるうえで機動力を発揮するには限界があるからである。とくに製造だけでなく内販にも注力するとなれば、中国現地の優秀な人材に主導的な役割を果たしてもらわないかぎり、事業の成長は見込めないだろう。
それでは現地社員が駐在員にとって代わりさえすれば「現地化」が実現するのかというと、そうではない。真の「現地化」とは、単に駐在員から現地社員へ首を挿すげ替えることではなく、駐在員が本国へ引き上げた後も、現地社員が自社固有の理念や価値観を理解し実践しながら事業を成長させている、そうした組織をつくることなのである。

現地化の鍵をにぎる「第一世代」
最近創業したばかりの企業はもちろん、5年、10年経っても信頼できる中核人材が育っていないという日系企業は少なくない。駐在員から経営のバトンを渡す最初の現地社員たちを、私は「現地化・第一世代」と呼んでいるが、この第一世代の持つ重要性は極めて大きい。なぜなら、第一世代が企業理念や価値観を正しく身に付けていなければ、第二世代以降は会社が本来ありたい姿からどんどん離れていってしまうし、第一世代の能力が低ければ、第二世代以降の人材レベルも高まる見込みが薄いからである。
多くの企業は今もなお、いかにして第一世代を育てるかに悩んでいる。実際、第一世代の人材を育成するのは非常に難しい。短期間で急速な経済成長を遂げている中国では労働市場が成熟していないため、人材のバラツキが大きく、企業の多様なニーズに応えられない。もちろん優秀な人材はいるが、企業各社が求める様々な能力や経験をバランスよく兼ね備えた、おあつらえ向きの人材には滅多に巡り合えるものではない。加えて、自社の企業理念や価値観と相性の合う人材となると、探し出すのは至難の業である。
              
「労働契約法」施行でいっそう高まる人材選別の重要性
こうした困難の中で第一世代を育成するために必要なのは、
(1)人材を採用する
(2)自社に必要な人材か否かを早期に見極める
(3)自社の基準に合わない人材は雇用するのを止め、基準に合う人材のみを残して集中投資する
というサイクルを精力的に回し続けることである。
しかし日系企業の場合、(2)(3)の人材選別に対する意識と行動が極めて弱いというのが、コンサルティングを通じた私の実感である。
その背景には、しばしば指摘されるように、差を付けたり選別したりすることにためらいがちな日本的心情がある。それだけでなく、そもそも経営者が「現地化・第一世代」の重要性や人材要件を認識していないことも大きな原因となっている。
外部者である私の目から見れば、能力だけでなく人間性の面でも「なぜこの人が?」と疑問を感じざるをえないような人物が管理職についていて、それでも経営者は、日本語能力と専門分野の知識・経験を理由に、漠然とした期待と信頼を寄せているケースが散見される。

特に労働契約法の施行後は、無期限労働契約が発生する確率が高まる。もし企業が意識的・主体的に人材を選別していかなければ、優秀な人材は相変わらず流動的である一方、望まない人材が社内に溜まっていきかねない。
従来は人材をいかに引き止め、モチベーションを高めるかが盛んに議論されてきたが、それ以前に、企業が自らの基準に照らして「人材を選ぶ」という意識をもっと強く持つべきである。
(次回では日系企業で働く人材の資質について述べる)


前回までの「戦う組織をつくる」
戦う組織をつくる Vol1:人事制度改革の要は「仏に魂を吹き込む」こと
情報提供: Whenever CHINA 07年12月号
2007/12/21 更新
田浦里香 (たうら・りか)
野村総研(上海)諮詢有限公司 経営戦略グループ・マネージャー
プロフィール…専門は人材マネジメント、組織改革。津田塾大学、東京大学大学院を修了後、1997年に(株)野村総合研究所に入所。
2004年から中国での人材マネジメント改革支援のプロジェクトに携わる。06年から上海駐在。

野村綜研(上海)咨詢有限公司
[住所] 上海市淮海中路1045号淮海国際広場9F
[電話] 021-5465-9980 / [FAX] 021-5465-9981
[URL] http://www.nri.co.jp
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