コンサルティング 中国
移転価格税の基礎を現場の視点から解説
移転価格税の文書化規定について、中国の日系企業が留意すべきポイントを経営、製造、販売に分けて説明していく。今回は経営関連文書について解説する。
資料提出の目的
課税当局が提出を求める経営に関する資料は、国際的グループ経営の実態、関連会社間の取引内容と販売ネットワークの形成プロセス、利益の要因となる特別な独自の経営ノウハウの有無と企業のブランド価値、の3点を把握できる文書になる。
要求する主な文書
当局が要求する文書は定款、役員規約、役員会議事録、役職組織図、株主名簿、決算書、グループ企業の全世界構成、持株関係図、主要株主の沿革と変遷、役員の経歴、経営計画、事業の概要と沿革、経営方針、関連会社間の取引契約書などだ。その他税務調査では営業会議議事録、業務指示書、業務報告書、稟議書、出張報告書、メール履歴なども重要な資料となる。
資料提出の目的
課税当局が提出を求める経営に関する資料は、国際的グループ経営の実態、関連会社間の取引内容と販売ネットワークの形成プロセス、利益の要因となる特別な独自の経営ノウハウの有無と企業のブランド価値、の3点を把握できる文書になる。
要求する主な文書
当局が要求する文書は定款、役員規約、役員会議事録、役職組織図、株主名簿、決算書、グループ企業の全世界構成、持株関係図、主要株主の沿革と変遷、役員の経歴、経営計画、事業の概要と沿革、経営方針、関連会社間の取引契約書などだ。その他税務調査では営業会議議事録、業務指示書、業務報告書、稟議書、出張報告書、メール履歴なども重要な資料となる。
経営所在の確認
税務当局はこうした資料から、海外の子会社が親会社からどの程度独立した会社運営がされているかを解明する。重要な経営事項、関連会社間の取り引き、経営幹部の人事などの最終決定、および資金調達、経営リスクなどの負担の所在を解明し、親会社の支配力を分析する。
この場合、親会社からの経営人材の派遣も支配要因となる。この派遣が出向や転籍の形態で給与を子会社が負担しても扱いは同じだ。子会社が親会社によって運営されている場合は、そのこと自体が利益移転課税の根拠ともなり、合弁企業では特に重要となる。
無形資産の存在と供与
日本の親会社に対する税務調査では、親会社からの経営ノウハウの供与による利益移転が大きなテーマとなる。当局はこの経営資料と現場確認で、親会社に特別な経営ノウハウがあるかどうか、その供与が子会社の利益にどの程度の影響をしているかを解析。さらにその国で知名度の高い企業については、企業ブランド利用についても同じように解析。その結果、無形資産の提供による利益移転を検討する。
税務調査の争点
企業が作成する経営文書は、その内容次第で当局側の課税根拠にもなり、企業側の反証ともなるが、虚偽の事実や間に合わせで作成した資料などが通用する税務調査ではない。取引自由の原則を税法が否認する側面があり、脱税などの意図も通常はない。そのため、移転価格税の課税処分に対して納得する納税者はまずいないと思われる。今後は税務訴訟も多発することが予想されるが、作成する文書の種類と内容は裁判での証拠資料としても極めて重要となってくる。
税務当局はこうした資料から、海外の子会社が親会社からどの程度独立した会社運営がされているかを解明する。重要な経営事項、関連会社間の取り引き、経営幹部の人事などの最終決定、および資金調達、経営リスクなどの負担の所在を解明し、親会社の支配力を分析する。
この場合、親会社からの経営人材の派遣も支配要因となる。この派遣が出向や転籍の形態で給与を子会社が負担しても扱いは同じだ。子会社が親会社によって運営されている場合は、そのこと自体が利益移転課税の根拠ともなり、合弁企業では特に重要となる。
無形資産の存在と供与
日本の親会社に対する税務調査では、親会社からの経営ノウハウの供与による利益移転が大きなテーマとなる。当局はこの経営資料と現場確認で、親会社に特別な経営ノウハウがあるかどうか、その供与が子会社の利益にどの程度の影響をしているかを解析。さらにその国で知名度の高い企業については、企業ブランド利用についても同じように解析。その結果、無形資産の提供による利益移転を検討する。
税務調査の争点
企業が作成する経営文書は、その内容次第で当局側の課税根拠にもなり、企業側の反証ともなるが、虚偽の事実や間に合わせで作成した資料などが通用する税務調査ではない。取引自由の原則を税法が否認する側面があり、脱税などの意図も通常はない。そのため、移転価格税の課税処分に対して納得する納税者はまずいないと思われる。今後は税務訴訟も多発することが予想されるが、作成する文書の種類と内容は裁判での証拠資料としても極めて重要となってくる。
移転価格税制の問題点
主旨は理解できるとしても、この税制には問題も多い。課税の根拠と税の計算方法が必ずしも経営実態と一致しないことも多く、税の構成自体の矛盾も見受けられる。実務での具体的な判断基準も、法律の条文ではほとんど明示されていない。例えば特別な経営ノウハウ、利益の分割移転の割合などは何を持って決めるのか、その基準に具体性がないのだ。そのため実務では当局の裁量で決められる可能性もある。
中国と日本では企業制度、労務、為替管理、市場環境などの企業基盤が大きく異なるが、これが企業経営に与える影響を充分に説明し、説得する文書の作成技術も極めて重要になる。日本には、中国の国情を真に理解する調査官、裁判官は皆無と思わなくてはならない。
日本では従来、移転価格税の調査は比較的規模の大きい会社を対象としてきたが、今後は国税の一般調査部門でも行うことになり、調査対象が広がるものと思われる。しかし国際的なビジネス感覚と視野で税実務を理解する調査官は限られており、この税制が乱用された場合は日本企業の国際活動の大きな障害となることも懸念されている。
以前のコラム
経営プロセスと管理会計で万全の体制を構築:移転価格税の国際理論 第5回
経営プロセスと管理会計で万全の体制を構築:移転価格税の国際理論 第4回
経営プロセスと管理会計で万全の体制を構築:移転価格税の国際理論 第3回
経営プロセスと管理会計で万全の体制を構築:移転価格税の国際理論 第2回
経営プロセスと管理会計で万全の体制を構築:移転価格税の国際理論 第1回
主旨は理解できるとしても、この税制には問題も多い。課税の根拠と税の計算方法が必ずしも経営実態と一致しないことも多く、税の構成自体の矛盾も見受けられる。実務での具体的な判断基準も、法律の条文ではほとんど明示されていない。例えば特別な経営ノウハウ、利益の分割移転の割合などは何を持って決めるのか、その基準に具体性がないのだ。そのため実務では当局の裁量で決められる可能性もある。
中国と日本では企業制度、労務、為替管理、市場環境などの企業基盤が大きく異なるが、これが企業経営に与える影響を充分に説明し、説得する文書の作成技術も極めて重要になる。日本には、中国の国情を真に理解する調査官、裁判官は皆無と思わなくてはならない。
日本では従来、移転価格税の調査は比較的規模の大きい会社を対象としてきたが、今後は国税の一般調査部門でも行うことになり、調査対象が広がるものと思われる。しかし国際的なビジネス感覚と視野で税実務を理解する調査官は限られており、この税制が乱用された場合は日本企業の国際活動の大きな障害となることも懸念されている。
以前のコラム
経営プロセスと管理会計で万全の体制を構築:移転価格税の国際理論 第5回
経営プロセスと管理会計で万全の体制を構築:移転価格税の国際理論 第4回
経営プロセスと管理会計で万全の体制を構築:移転価格税の国際理論 第3回
経営プロセスと管理会計で万全の体制を構築:移転価格税の国際理論 第2回
経営プロセスと管理会計で万全の体制を構築:移転価格税の国際理論 第1回
情報提供:
BiZpresso Vol.33 11月20日発行
BiZpresso Vol.33 11月20日発行2007/12/21 更新
出津 平氏 米国TMA 登録JCTP・税理士
上海出津商務咨詢
[住所] 浦東新区張楊路620号 中融恒瑞国際大厦東楼1504室
[電話] 021-5836-2367 / [FAX] 021-5836-2368
上海出津商務咨詢
[住所] 浦東新区張楊路620号 中融恒瑞国際大厦東楼1504室
[電話] 021-5836-2367 / [FAX] 021-5836-2368
コンサルティング 中国 一覧












