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移転価格税の基礎を現場の視点から解説
日中両国の当局は資料の提出義務を企業に課している。税務調査の現場の視点から、資料の重要性について解説する。
課税当局が要求する資料
OECDガイドラインは利益移転について、市場環境や国情、法律制度などの差異を考慮し、慎重に認定すべきことを求めている。そのため日中両国の課税当局は、関係企業間の取引価格の決定、費用の負担状況、市場の特質、経営戦略、相互の影響度などグループ経営における実態を解明するための資料を企業側に求め、これらを詳細に分析して利益移転を認定する。こうした資料はその後の2カ国間調整や税務訴訟で、企業にとって重要な意味を持ってくる。
日本は移転価格税事務運営要項2-4において、要求する資料を例示している。中国の現行法に例示規定はないが、新企業所得税法の施行に伴い政令または通達で新たに制定されることがあるようだ。両国が要求する資料に実質的な相違はないと思われる。TAPA(日、米、加、豪で構成する環太平洋税務長官会議)が03年3月に公表した「移転価格税の文書化に関するガイドライン」は10分類53項目の文書化を明示しており、これが参考になる。
税務当局が求めるのは課税処分をするための資料で、これに加えて企業側では自己の正当性を明らかにする文書も用意する必要がある。当社が実施する移転価格税検証プログラムは9分類300項目の経営項目について、適正な文書化を推進している。業務遂行時に作成された文書は証拠能力が高く、逆に調査の着手後に作成された資料は証拠能力が低くなる。
課税当局が要求する資料
OECDガイドラインは利益移転について、市場環境や国情、法律制度などの差異を考慮し、慎重に認定すべきことを求めている。そのため日中両国の課税当局は、関係企業間の取引価格の決定、費用の負担状況、市場の特質、経営戦略、相互の影響度などグループ経営における実態を解明するための資料を企業側に求め、これらを詳細に分析して利益移転を認定する。こうした資料はその後の2カ国間調整や税務訴訟で、企業にとって重要な意味を持ってくる。
日本は移転価格税事務運営要項2-4において、要求する資料を例示している。中国の現行法に例示規定はないが、新企業所得税法の施行に伴い政令または通達で新たに制定されることがあるようだ。両国が要求する資料に実質的な相違はないと思われる。TAPA(日、米、加、豪で構成する環太平洋税務長官会議)が03年3月に公表した「移転価格税の文書化に関するガイドライン」は10分類53項目の文書化を明示しており、これが参考になる。
税務当局が求めるのは課税処分をするための資料で、これに加えて企業側では自己の正当性を明らかにする文書も用意する必要がある。当社が実施する移転価格税検証プログラムは9分類300項目の経営項目について、適正な文書化を推進している。業務遂行時に作成された文書は証拠能力が高く、逆に調査の着手後に作成された資料は証拠能力が低くなる。
日中の資料の提出義務
各国の税務調査権は外国に設立された企業には及ばない。しかし移転価格の認定には海外の関係企業の資料も必要となる。そのため課税当局は企業に資料の提出を求めるが、強制権がないために次のような規定を設けて対処している。
(1)米国:移転価格税には 追徴税の10―40%の罰則金が課せられるが、書類の保存と提出に協力することで免除となる。
(2)日本:資料が提出されない場合、税務当局の一方的な推定課税が認められる。虚偽の資料を作成して提出した場合は重加算税の対象ともなる。
(3)中国:資料提出を拒否したり虚偽の資料を提出した場合、徴収管理法実施細則第96条の規定が適用される。
各国の税務調査権は外国に設立された企業には及ばない。しかし移転価格の認定には海外の関係企業の資料も必要となる。そのため課税当局は企業に資料の提出を求めるが、強制権がないために次のような規定を設けて対処している。
(1)米国:移転価格税には 追徴税の10―40%の罰則金が課せられるが、書類の保存と提出に協力することで免除となる。
(2)日本:資料が提出されない場合、税務当局の一方的な推定課税が認められる。虚偽の資料を作成して提出した場合は重加算税の対象ともなる。
(3)中国:資料提出を拒否したり虚偽の資料を提出した場合、徴収管理法実施細則第96条の規定が適用される。
税務調査
税務調査は証拠資料の差し押さえを目的に「ガサ入れ」と呼ばれる調査を行うことも多く、ここで収集した資料が決定的な判断となることがある。この手の調査は既に目星を付けていて、その証拠をいかに採集するかが目的になる。関連企業との取引に関する契約書、営業指示書、出張報告書、議事録など、たった1枚の文書で莫大な追徴税額の決め手となることもある。
税務調査の現場では白とも黒ともつかないケースも多く、功を求める調査官と課税を受ける納税者の意見が対立しがちだ。特に移転価格税は企業の取引自由の原則に対立する性格を有しており、正当な商取引でも税法が否認するところとなって、課税当局との争点も感覚的な認識判断となることもある。そのため、税の本質に適応した経営資料の裏付けが結果を大きく変えることになる。
移転価格税は概念課税ともいえ、法律の条文には具体性が少なく、理論も未整備で、米国の事例などを参考にした執行がなされがちだ。しかも調査の現場では、教科書で学ぶ税法だけでは通用しない厳しい実務的な調査が展開されている。
中国の日系企業に対しては、利益が少ない場合には中国の当局が、多い場合には日本の当局が注目し、企業は双方の税務調査に対処しなければならなくなる。国際的に激化する市場競争における価格戦略も、移転価格税の争点となることを認識しなければならない。
以前のコラム
経営プロセスと管理会計で万全の体制を構築:移転価格税の国際理論 第4回
経営プロセスと管理会計で万全の体制を構築:移転価格税の国際理論 第3回
経営プロセスと管理会計で万全の体制を構築:移転価格税の国際理論 第2回
経営プロセスと管理会計で万全の体制を構築:移転価格税の国際理論 第1回
税務調査は証拠資料の差し押さえを目的に「ガサ入れ」と呼ばれる調査を行うことも多く、ここで収集した資料が決定的な判断となることがある。この手の調査は既に目星を付けていて、その証拠をいかに採集するかが目的になる。関連企業との取引に関する契約書、営業指示書、出張報告書、議事録など、たった1枚の文書で莫大な追徴税額の決め手となることもある。
税務調査の現場では白とも黒ともつかないケースも多く、功を求める調査官と課税を受ける納税者の意見が対立しがちだ。特に移転価格税は企業の取引自由の原則に対立する性格を有しており、正当な商取引でも税法が否認するところとなって、課税当局との争点も感覚的な認識判断となることもある。そのため、税の本質に適応した経営資料の裏付けが結果を大きく変えることになる。
移転価格税は概念課税ともいえ、法律の条文には具体性が少なく、理論も未整備で、米国の事例などを参考にした執行がなされがちだ。しかも調査の現場では、教科書で学ぶ税法だけでは通用しない厳しい実務的な調査が展開されている。
中国の日系企業に対しては、利益が少ない場合には中国の当局が、多い場合には日本の当局が注目し、企業は双方の税務調査に対処しなければならなくなる。国際的に激化する市場競争における価格戦略も、移転価格税の争点となることを認識しなければならない。
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経営プロセスと管理会計で万全の体制を構築:移転価格税の国際理論 第1回
情報提供:
BiZpresso Vol.32 11月6日発行
BiZpresso Vol.32 11月6日発行2007/12/21 更新
出津 平氏 米国TMA 登録JCTP・税理士
上海出津商務咨詢
[住所] 浦東新区張楊路620号 中融恒瑞国際大厦東楼1504室
[電話] 021-5836-2367 / [FAX] 021-5836-2368
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