コンサルティング 中国
多くの企業にとって人材マネジメントは、中国進出当初から現在にいたるまで一貫して、最大の経営課題でありつづけてきた。「戦う組織」をつくるために本当に重要なことは何か、コンサルティングの現場で感じていることを、今回から3回にわたって述べる。
後手になりがちなHR対策
中国の日系企業における人材マネジメントに関して指摘される問題は、大きく二つに分類できる。一つは日々の業務における仕事の任せ方や動機づけなど、日中両国の文化に跨ったコミュニケーションに関すること、もう一つは人材活用の仕組み、つまり人事制度に関することである。本稿では後者の人事制度の問題に絞って話を進める。
コンサルティングの現場で遭遇するケースの中で最も初歩的なのは、人事制度、つまり等級制度や評価制度、評価を反映した処遇制度などを持っていない、というものである。多くは、事業立ち上げが急務で、経営管理のインフラ作りが後手に回ってきたことが原因である。しかし、会社創立後10年を経てなお、まともな人事制度がないという意外なケースも実は少なくない。特に、営業や製造などの現業部門が強い組織でこうした風潮が散見される。
では、人事制度などなくても会社は運営できるのか。もちろん我々の考えは「NO」である。人事制度は絶対に必要である。厄介なのは、人材流出やストライキなどの緊急事態が発生しないかぎり、経営者は人材マネジメントの現状に対して危機意識を持ちにくいことである。
しかし緊急事態が生じなくても、例えば多くの社員のモチベーションが低い状態が組織風土として定着してしまえばこの競争の激しい中国で競争に勝ち抜くことは全く不可能となる。人事制度の運用を通じて、継続的にモチベーションを高め、能力を発揮させる必要がある。
後手になりがちなHR対策
中国の日系企業における人材マネジメントに関して指摘される問題は、大きく二つに分類できる。一つは日々の業務における仕事の任せ方や動機づけなど、日中両国の文化に跨ったコミュニケーションに関すること、もう一つは人材活用の仕組み、つまり人事制度に関することである。本稿では後者の人事制度の問題に絞って話を進める。
コンサルティングの現場で遭遇するケースの中で最も初歩的なのは、人事制度、つまり等級制度や評価制度、評価を反映した処遇制度などを持っていない、というものである。多くは、事業立ち上げが急務で、経営管理のインフラ作りが後手に回ってきたことが原因である。しかし、会社創立後10年を経てなお、まともな人事制度がないという意外なケースも実は少なくない。特に、営業や製造などの現業部門が強い組織でこうした風潮が散見される。
では、人事制度などなくても会社は運営できるのか。もちろん我々の考えは「NO」である。人事制度は絶対に必要である。厄介なのは、人材流出やストライキなどの緊急事態が発生しないかぎり、経営者は人材マネジメントの現状に対して危機意識を持ちにくいことである。
しかし緊急事態が生じなくても、例えば多くの社員のモチベーションが低い状態が組織風土として定着してしまえばこの競争の激しい中国で競争に勝ち抜くことは全く不可能となる。人事制度の運用を通じて、継続的にモチベーションを高め、能力を発揮させる必要がある。
新制度「運用」の成否を決めるもの
では、どのようにして人事制度を設計し、導入すればよいのだろうか。しばしば聞かれるのは、「事業計画に基づいて組織図上のポジッションを設定すべき」「ポジッションごとに職務定義をすべき」「信賞必罰のメリハリのある評価制度にし、処遇に反映させるべき」「労働市場の相場を見て外部競争力のある賃金水準とすべき」等々の主張である。
しかしこれだけでは、とりあえず人事制度は設計できるだろうが、その運用を通じて「戦う組織」を作ることはできないだろう。人事制度の設計の前提として、「人事制度を用いてどのような人材マネジメントを行い、どのような組織を作りたいか」という目的やビジョンがないからである。
具体的には、企業理念や価値観、あるいは事業ビジョンや外部・内部環境、自社の成長ステージなどと照らし、「どのような資質や能力を持っていなければいけないか」「そのような人材はどこからどのようにして調達できるのか」「どのくらいの時間をかけて育成できるのか」といった、自社なりの人材マネジメントの目的やビジョンを経営者と改革プロジェクトメンバーが徹底的に議論し、共通認識として持っていなければならない。さもなければ、どんなに精緻な人事制度を作っても運用で失敗してしまうだろう。なぜなら自社が必要とする人材を見極め、確保し育成していくことは、どうしても仕組みとして制度には織り込みきれず、運用プロセスで判断しながら行わざるをえないからである。
では、どのようにして人事制度を設計し、導入すればよいのだろうか。しばしば聞かれるのは、「事業計画に基づいて組織図上のポジッションを設定すべき」「ポジッションごとに職務定義をすべき」「信賞必罰のメリハリのある評価制度にし、処遇に反映させるべき」「労働市場の相場を見て外部競争力のある賃金水準とすべき」等々の主張である。
しかしこれだけでは、とりあえず人事制度は設計できるだろうが、その運用を通じて「戦う組織」を作ることはできないだろう。人事制度の設計の前提として、「人事制度を用いてどのような人材マネジメントを行い、どのような組織を作りたいか」という目的やビジョンがないからである。
具体的には、企業理念や価値観、あるいは事業ビジョンや外部・内部環境、自社の成長ステージなどと照らし、「どのような資質や能力を持っていなければいけないか」「そのような人材はどこからどのようにして調達できるのか」「どのくらいの時間をかけて育成できるのか」といった、自社なりの人材マネジメントの目的やビジョンを経営者と改革プロジェクトメンバーが徹底的に議論し、共通認識として持っていなければならない。さもなければ、どんなに精緻な人事制度を作っても運用で失敗してしまうだろう。なぜなら自社が必要とする人材を見極め、確保し育成していくことは、どうしても仕組みとして制度には織り込みきれず、運用プロセスで判断しながら行わざるをえないからである。
「戦う組織」をつくるために
人事制度の設計の前提として人材マネジメントの目的やビジョンがなければ、企業理念と事業ビジョンを実現し「戦う組織」をつくるための人材マネジメントは、まず望めないといってよい。まさに「仏作って魂入れず」である。
我々がご支援する場合は、手段が目的となってしまうような、人事制度を導入するための人事制度設計は行わない。必ず企業理念や事業ビジョンから議論を掘り起こし、どのような人材マネジメントを実現したいかを徹底的に議論し、共通認識を形成したうえで制度を設計する。
当然、企業によって異なる形の人事制度が出来上がる。どこの企業にも適用可能な汎用型パッケージ制度というものはありえない、というのが我々の理念である。 (次号では人材選別の重要性について述べる)
人事制度の設計の前提として人材マネジメントの目的やビジョンがなければ、企業理念と事業ビジョンを実現し「戦う組織」をつくるための人材マネジメントは、まず望めないといってよい。まさに「仏作って魂入れず」である。
我々がご支援する場合は、手段が目的となってしまうような、人事制度を導入するための人事制度設計は行わない。必ず企業理念や事業ビジョンから議論を掘り起こし、どのような人材マネジメントを実現したいかを徹底的に議論し、共通認識を形成したうえで制度を設計する。
当然、企業によって異なる形の人事制度が出来上がる。どこの企業にも適用可能な汎用型パッケージ制度というものはありえない、というのが我々の理念である。 (次号では人材選別の重要性について述べる)
情報提供:
Whenever CHINA 07年11月号
Whenever CHINA 07年11月号2007/11/07 更新
田浦里香 (たうら・りか)
野村総研(上海)諮詢有限公司 経営戦略グループ・マネージャー
野村綜研(上海)咨詢有限公司
[住所] 上海市淮海中路1045号淮海国際広場9F
[電話] 021-5465-9980 / [FAX] 021-5465-9981
[URL] http://www.nri.co.jp
野村総研(上海)諮詢有限公司 経営戦略グループ・マネージャー
プロフィール…専門は人材マネジメント、組織改革。津田塾大学、東京大学大学院を修了後、1997年に(株)野村総合研究所に入所。
2004年から中国での人材マネジメント改革支援のプロジェクトに携わる。06年から上海駐在。
2004年から中国での人材マネジメント改革支援のプロジェクトに携わる。06年から上海駐在。
野村綜研(上海)咨詢有限公司
[住所] 上海市淮海中路1045号淮海国際広場9F
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