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経営プロセスと管理会計で万全の体制を構築:移転価格税の国際理論 第3回
移転価格税の基礎を現場の視点から解説
今回は海外の子会社の利益に対して、日本の親会社でも課税される無形資産と利益移転について説明する。

無形資産の範囲
移転価格税法上の無形資産の範囲は会計用語よりは広義に解釈される。 ブランド、製造技術、リスク負担、特許、経営ノウハウ、販売ネットワーク、人材提供、資金提供、債務保証などの包括的な経営資源のことで、法的に保護された知的所有権に限らない。今後は利益の帰属と税の徴収の視点から、無形資産に着目した利益移転は企業の海外活動にとって大きなテーマとなる。
無形資産の提供と利益移転
親会社が海外に製造会社を設立し、親会社を通さずに他の会社に販売するケースが今後も増えると予想される。この場合に製品の売買利益は親会社には直接に関係しない。しかし親会社が無形資産を提供している場合には、その提供に相当する対価を支払うべきで、その支払いがない場合、又は過少な場合は、独立価格原則により支払いを受けたものとして親会社に課税処分がなされる。(図参考)

親会社にも課税される海外子会社の利益
無形資産の提供に対する利益移転を認定する方法には次の2通りがある。
(1)第3者との間で行われる無形資産の対価に相当する金額
(2)子会社が生み出した超過利益を分割して移転する方法
(1)については、経営資源の提供を第3者間で行われることは皆無に近く、独立価格原則の認定は難しい。従って(2)による方法が実際的となる。
日中間の例で分かりやすく説明すると、中国の製造子会社の利益が平均利益を超過した場合、その超過利益の発生要因を詳細に分析し、日本の親会社から受ける無形資産の貢献度割合を導き出す。その割合によって親会社に超過利益を移転させる。
この場合、経営人材の派遣と意思決定、ブランドと生産技術、リスクの負担、資金提供と債務保証など親会社の完全な影響下で経営がされていると認定された場合には、超過利益の全額に対して親会社が日本でも課税される。このような経営形態の日系企業はかなり多いと思われる。

企業の認識と対応が急務
無形資産の課税制度は、中国における日系企業の場合、親会社が日本の税務当局から課税されるケースが圧倒的に多いと思われる。従ってこの問題は、日本の国際租税法の適用を受けることになる。本年4月、日本の国税庁は「新移転価格税事務運営指針」を公表した。
一方、中国でも新企業所得税法の第41条に無形固定資産の費用分担について規定している。がしかし、両国間のコンセンサスは必ずしも整っておらず、2カ国協議による2重課税の救済は難しく、そのため税務訴訟に及ぶ事案が増えると国税庁の担当者自身が予想している。
この問題は、欧米系企業と比べて日系企業の認識は極端に低く、制度自体すら知らないことも多く、そのために無防備状態にあり大きな問題を抱えている。
本記事は限られたスペースで簡単に説明したが、移転価格税は国際問題であるため、税務当局は国際基準を尊重した慎重な執行をするとも述べている。


以前のコラム
経営プロセスと管理会計で万全の体制を構築:移転価格税の国際理論 第2回
経営プロセスと管理会計で万全の体制を構築:移転価格税の国際理論 第1回
情報提供: BiZpresso Vol.30 10月9日発行
2007/10/23 更新
出津 平氏 米国TMA 登録JCTP・税理士

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