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会計講座 第7回:新《労働契約法》における経済補償金の会計と税務(1)
2008年1月1日より、新しい《労働契約法》(以下、「新法」という)が施行されます。この中で、無固定期限労働への移行と並んで企業に影響を与えるといわれている経済補償金について会計・税務の面から検討していきます。同時期に施行される《企業所得税》についても明確でない部分も多く、新法についても施行前の現時点において明確でない部分が多く見られます。また、法解釈をめぐって今後変更される可能性もあることから、本稿は、あくまで施行前の段階の情勢に基づいた筆者の見解であることをご了承ください。
1. 現行法における経済補償金
07年12月31日まで施行される現行法においては、企業側の事由により労働契約を解除する場合等に、従業員に対して経済補償金を支払うものとされていました。従いまして、現行法においては、企業側の意思により労働契約満了時に契約を更新しないことによる従業員の退職については、経済補償金を支払う必要はありませんでした。
2. 新法における経済補償金
(1)支給が必要なケース
08年1月1日より施行される新法では、現行法の場合に加え、従業員が契約の更新を希望しているにもかかわらず、企業側の意思により労働契約を更新しない場合においても、原則として、勤続年数に応じて経済補償金を支給しなければならなくなりました。経済補償金の支給義務が発生するケースは以下のとおりです。
・企業が労働契約等を遵守しない場合における労働者側からの 契約解除
・協議による労働契約の解除
・リストラによる労働契約の解除
・労働契約期限の満了による契約の終了(後述「(2)支給が不要な ケース」に記載のケースを除く)
・雇用企業の破産、営業許可の取り消し等による労働契約の終了
・法律及び行政法規が規定するその他の場合
(2)支給が不要なケース
企業側が同等以上の条件で労働契約の更新を希望したにもかかわらず、従業員側が当該条件での契約の更新に応じずに退職した場合には、経済補償金を支払う必要はありません。当該規定に基づくと、現状維持での契約更新を提示したうえで従業員がこれを拒否して退職する場合には、経済補償金は支給する必要がないということになります。
また、試用期間において採用条件に合致しないことが証明されたことを事由として契約を解除する場合には、経済補償金の支給義務はないとされています。
(3)経済補償金の支給額
勤続年数1年あたり1カ月分の給与相当額を経済補償金として従業員に支給する必要があります。勤続期間が6カ月未満の場合は半月分の給与相当額を、勤続期間が6カ月以上1年未満の場合には1カ月分の給与相当額を経済補償金として支給しなければなりません。
また、経済補償金の計算の基準となる給与額は、労働契約解除または終了前の12カ月の平均給与をいい、給与額については、雇用企業が所在する直轄市、区を設置している市級人民政府が公表した前年度の月平均給与の3倍を上限とし、期間については12年 (12カ月分の給与)を上限とします。
違法行為による労働契約の解除については、経済補償金の2倍の賠償金を支払う必要があります。
(4)施行以前の勤務期間について
新法の規定において新たに支払い義務の生じた経済補償金の勤続年数の計算については、施行前には遡る必要はありません。
(5)経済補償金の計算事例
<事例1>
経済補償金=0
現行法では、契約不更新時の経済補償金の支給義務はありません。
<事例2>
経済補償金=2,000元×0.5カ月=1,000元
経済補償金の勤務期間の計算は08年1月1日より起算します。勤務期間が6カ月に満たない場合は、半月分の給与相当額を支給することになります。
<事例3>
経済補償金=0
企業側が同等以上の条件で契約の更新を希望したにもかかわらず、従業員側の意思により契約を更新しなかった場合、経済補償金の支給義務はありません。
<事例4>
経済補償金=30,000×8カ月=240,000元
現行法においては、経済補償金の計算の基礎となる給与額の上限が規定されていません。
<事例5>
経済補償金=9,000元×1カ月=9,000元
新法においては、経済補償金の計算の基礎となる給与額の上限を企業の登記されている地域の月平均給与の3倍と規定されており、3,000×3=9,000元<30,000元のため、9,000元が上限となります。
退職年月区分事由勤続年数平均給与
事例107年10月契約満了企業側の意思による不更新8年2,000
事例208年4月契約満了企業側の意思による不更新8年2,000
事例308年4月契約満了従業員側の意思による不更新8年2,000
事例407年10月契約解除企業側の意思による解除8年30,000
事例509年4月契約満了企業側の意思による不更新1年30,000
注1 平均給与は当該従業員の退職前12カ月の平均給与月額
注2 企業登記地域の平均給与を3000元とする

(次号に続く)

前回までの「会計講座」
会計講座 第6回:遡及期間、罰金、延滞税と告発の奨励について
情報提供: Whenever CHINA 07年10月号
2007/10/13 更新
筆者:川嶋広行
望月コンサルティング(上海)有限公司 パートナー 公認会計士
日本公認会計士。1990年2次試験に合格。92年大学を卒業後、同年より日本の大手監査法人にて法定監査、IPO支援業務に従事する。2000年同法人を退職後、北京での1 年間の語学留学を経て E&Y上海事務所にて日系企業の監査、税務アドバイザリー業務に従事し、06年より望月コンサルティングに参画する。現在、業務改善支援や財務デューディリジェンス業務等を手がけている。

望月コンサルティング(上海)有限公司 公認会計士 望月一央事務所
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