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経営プロセスと管理会計で万全の体制を構築:移転価格税の国際理論 第2回
移転価格税の基礎を現場の視点から解説
移転価格税の利益移転は、非関連会社との取引価格(独立企業間価格)を関連会社間の取引価格と比較して認定する。今回はこの独立企業間価格の認定基準について解説していきたい。

独立価格批准法を優先適用
比較対象とする独立企業間価格の求め方について、 OECD移転価格ガイドラインは次のように算定方法を規定している。
(1)基本3法
A 独立価格批准法
B 再販売価格批准法
C 原価基準法
(2)利益分割法
A 利益分割法 
a 寄与度分割法 
b 残存利益分割法
B 取引単位営業利益法
(1)のAは非関連者間で行われる同種製品の取引価格で、Bは買い手側の再販売価格と適正利益率で、Cは売り手側の原価に対する適正利益で、それぞれ独立企業間価格を算定する。(2)は関連会社の両方の利益を合算し、適正に再配分する方法だ。Aは会社全体の利益(通常は営業利益)に対して、Bは関連会社間の取り引きに掛かる利益に対して再配分する。
OECDガイドラインは独立価格批准法が最も信頼しうる方法であるとしている。またその他の方法による場合は、信頼しうる最適な方法を選択するべきとしている。その趣旨は、独立価格批准法を比較対象とすべきであるが、これが不可能な場合にはその代替として、その他の方法で最も独立価格を反映する方法によるべき、ということである。この見解は現在、国際的に定着しており、日本、中国その他多くの国が基本3法の優先適用を国内法で規定している。
認定基準の選択権は当局に
独立企業間価格といっても、完全に比較対象となる独立企業間価格を見い出すことは現実的には困難だ。また利益分割法も独立企業間価格を完全に反映した配分基準などありえない。しかしこれ以外の方法が認められないとなると、どれかを選択しなければならない。その不完全性を理由にすればどの方法もダメとなり、一方では逆にどれでも選択できることになる。
独立企業間価格は算定方法により1億が10億となるほどの違いがある。最適な算定方法の選択が、移転利益の金額に対して大きな影響を及ぼすのだ。しかもその選択権は課税当局側にあり、一旦課税処分を受けると2国間協議と訴訟以外に2重課税が救済される余地はない。
利益分割法による課税処分は今後、多発することが予想されている。しかし決算確定後に調整利益を精算支払いする場合、一方の当事国が損金として認める可能性は少なく、2カ国協議による救済も難しい。そのため、訴訟案件が急増するものと見られている。
説明資料の整備が急務
日本、欧米諸国では移転価格税制の整備が、最近1-2年において顕著だ。中国でも新企業所得税法において条文記載が充実し、無形固定資産課税に対する規定が初めて導入された。さらに非合理性費用の否認規定との併用も予想される。
こうした動きの要因には、企業活動のグローバル化が一段と進み国際取引が多国籍に及んで複合化してきたことと、企業が連結利益を重視し、親会社が海外子会社の利益を吸収する意図を持たなくなったことが挙げられる。この変化は利益移転の方向性を転換することにもなり、それに対処するために各国は課税姿勢を変えてきている。
移転価格税制はあまりにも専門的で予見性と透明性に欠け、企業側も実際に指摘を受けて初めて気が付き、更正課税される金額の大きさに驚愕することが多い。これからは企業としても、移転価格税に対する世界の潮流と基本理論を理解し、課税当局に理解を得られる説明資料の整備がきわめて重要となるだろう。


以前のコラム
経営プロセスと管理会計で万全の体制を構築:移転価格税の国際理論 第1回
情報提供: BiZpresso Vol.29 9月18日発行
2007/10/22 更新
出津 平氏 米国TMA 登録JCTP・税理士

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