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日本企業の抱えるリスクマネジメントの課題 Vol2:軽視できない中国メディア対策
情報発信によりメディアとの関係作りを
中国現地のマスコミ報道において、日本企業が槍玉に挙げられるケースをよく目にするが、これは必ずしも日本企業に限ったことではない。実際には欧米企業も少なからずマスコミのターゲットにされているが、欧米企業は総じてこうした事態に直面した際の初期対応が早く的確であるが故に、マスコミでネガティブな報道がされても、問題が肥大化する前に収束することが多い。

トラブル発生時には迅速な対応を
企業として事業を行っている以上、ある程度の確率でトラブルが発生することは避けられないが、これは中国だけに限った話ではない。重要なことは如何にしてトラブルを避けるかということ以上に、トラブルが発生したらどうすべきかを考え、直ぐに対応できるように日頃から準備をしておくことである。
中国のマスコミは新聞だけでも 2,000誌を越える熾烈な競争市場であり、各社とも発行部数を伸ばすために躍起になっている。そこで影響力の拡大策として、インターネット利用に積極的な傾向がある。ほとんどすべての記事がインターネットで公開されるほか、他サイトに転載されるケースも多い。情報伝達のスピードでは既存メディアは到底かなわない。企業の不祥事ネタなどは、事実に反する内容であっても、そのまま放っておくとインターネットサイトへ連鎖的に転載され、短時間で問題が肥大化してしまう恐れがある。
そこで、欧米企業の中には、日頃から中国メディアとのコミュニケーションを密にし、中国メディアとの関係づくりを進めるとともに、積極的な情報発信を行い、自社の企業活動に理解を深めてもらう等の活動をしているケースが多い。
「情報発信力」が決め手
中国では、黙っていては何も伝わらないし、理解もされないと考えるべきであろう。異論・反論があれば明確な意思表示を行うべきであるし、伝えるべきことがあれば声をあげて伝えるように務めるべきである。
ただ、総じて日本企業はこうした状況への対応が不得手である。例えば日本企業はこれまで中国においてCSR(社会貢献)活動に相応の時間と資金を投入して行なってきているが、残念ながら、当地においてこうした活動が正当に評価されているとは言い難い。そもそも現地のメディアで取り上げられることが非常に少ないのである。
これは、日本企業が現地のメディア向けの情報発信を十分に行なってこなかったことにも原因がある。対照的に、欧米企業の場合はCSRなどの活動について現地マスコミを通じて大々的なPRを行うなど戦略的な情報発信を行っている。
日本企業(あるいは日本人)の感覚として、CSR活動などは、あえて声をあげて PRすべきものではなく、粛々と活動を続けていれば、きっと理解されるはずとの思いがある。しかしながら、こうした考え方は中国では通じないと考えるべきで、日本企業は臆すること無く、戦略的に情報発信を行っていく必要があろう。
最近では日本企業の中でも、メディアとの関係づくりを重視し、継続的なリレーション活動をとっているケースも出てきている。「メディアトリップ」と称して、中国のメディアを日本本社へ招待し、生産現場の視察などをアレンジして、自社の事業活動や経営理念・ビジョン等への理解を深めてもらおうといった動きも散見されている。
米国企業は活動内容を「白書」でPR
今後は、こうした個々の企業レベルの活動のほかに、日本企業の中国における活動全体を中国においてPRしていくことも必要であろう。
在中国の米国企業による組織団体である「中国米国商会」では毎年、中国に於ける米国企業の主な活動状況を数百ページにものぼる「White Paper」として取りまとめ、中国当局への説明資料、対外的なPR資料として活用している。米国企業の事業活動の内容、中国への貢献度などを取りまとめるだけでなく、中国における主要産業ごとの課題分析などを行なったうえで、事業環境改善への提言まで行なっている。
この活動は既に9年間継続して行なわれているが、こうした地道な活動の積み重ねが、現地での米国企業のプレゼンス向上に少なからず寄与しているものと思われる。日本の場合も個別企業としての活動だけでなく、日本企業全体のプレゼンスを引き上げるような活動を行っていくことも必要であろう。
情報提供: Whenever CHINA 07年9月号
2007/09/18 更新
野中利明(のなか としあき)
野村綜研(上海)諮詢有限公司 副総経理
日系都市銀行にて19 94 年より香港及び台湾地区での駐在を経て、2000年に(株)野村総合研究所入社。2004年2月より現職。専門は中国における販売戦略・マーケティング戦略全般、中国におけるパートナリング戦略など。香港・台湾地区を含め中華圏での業務歴は通算13年。

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