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コンサルティング 中国
談談中国潮流第7回:いかなる人物をもって現地化を推進するか
外務省の発表では、中国の在留邦人は06年時点で約13万人と、5年間で約2倍に飛躍的に増加した。米国の在留邦人(約37万人)に次ぐ人数である。数の増加はともかく、在中日本人の資質は向上したのか。多くの企業では、日本からの派遣人材に今もって同じ問題を抱えているのではないか。

中国進出は従来、安価な人件費を求めた委託加工などの労働集約型産業が主であったが、昨今の税制改訂、最低賃金・物価の上昇、人件費アップにより、これまで同様の進出では利益が見込めなくなった。労務面では本年1月1日からの労働契約法の施行により、これまで企業側が有効活用していた短期雇用や労務派遣が制限されるなど企業負担が増大している。また、本年5月1日施行の労働紛争調停仲裁法では訴訟費用が無料とされ、今後の訴訟案件増加も懸念される。

これらのコスト増を吸収するためにも、中国人の消費パワー拡大を見据えた内販を主体的かつ積極的に展開しなければならない時代になった。日本の国内市場がどんどん萎縮する中で、企業が活性化していくには中国がまさに格好のターゲットなのである。しかし、日本の国内経済は市場拡大が困難である現在、優秀な人材を中国に派遣できない傾向がいよいよ強まっている。

日本の市場が萎縮している根本的理由は少子高齢化であるが、今後人口の減少が進む以上、足元の国内に優秀な人材を集めざるを得ない。だからといって、語学力や技術力重視で選考されたにもかかわらず、部下を持ったことのない、リーダーシップ、マネジメント力のない者を総経理として派遣する一般的な日本企業の傾向では、現地経営は破綻する。
在中日系企業が、外国企業はもとより、中国企業とも激しく競い合って勝ち抜くためには、中国市場をいち早く正確に捉えて商品を開発し、他に先行して販売・サービス戦略を立案、遂行するという困難な業務に打ち込まなければならない。特に民族性の違いを乗り越えて、企業活動を展開していくには、当然ながら中国に関心を持ち、かつ建設的で人事面で偏見を持たない有能な人材をできるだけ長期間派遣する必要がある。

内販の積極的展開は当然、中国人との相互連携、チームワークの上にしか成り立たない。日本人総経理は3年ないし5年で日本国内に戻るのが常であるが、これではチームワークの醸成はいかんともし難く、同僚中国人との亀裂を絶えず恐れざるを得ない。日本企業は、派遣社員のシステムを期間の点からも根本的に変えなければならない。

さて、個々の中国人社員の感性を尊重しながらも、和をもってまとめ、チームで内販活動を遂行しなければならないが、この和、チームは何といっても上役の人間性にかかっている。日本人総経理には語学力もさることながら、凡そ企業経営において必要な能力、さらにはそれを発展させて人を統べる力を会得していること、即ちトップとしての心構えやマネジメント力が必要とされる。

マネジメント力とは互助、牽制を促し、そして成長を期する力を意味するが、かかる総経理に対し大幅に権限を委譲することによって現地化マネジメントが実現可能となり、成果が得られるようになるのである。そしてトップが経営理念や発展の方向性のビジョンを明示、文字化できなければ、社員同士の互助も牽制も意味をなさない。

さらに日本人総経理がトップを務めながらも、各チームのリーダーには積極的に中国人を登用して、日本人と中国人、中国人同士が助け合い、牽制し合う環境を作ることが、成長へのモチベーションを高めることになろう。また、日本人社員を日本本社から派遣するとコストもかかることから、既に中国社会に慣れた日本人人材を現地で採用することも有用である。その際には、同レベルの仕事をしている中国人との給与バランスを考えることも忘れてはならない。

いかなる人物をもって現地化経営を推進するか。このことはいよいよ日本企業の中国進出への真剣なテーマになりつつある。
情報提供: BiZpresso Vol.48 7月1日発行
2008/07/22 更新
高井伸夫 氏 弁護士
プロフィール…弁護士。高井伸夫法律事務所所長。同事務所上海代表処・北京代表処総代表。一貫して人事・労務問題専門弁護士として活躍。法廷活動に加えて、企業再生の各種相談や講演、執筆などにも取り組む。著書多数。1999年には上海に、2006年には北京に代表処を設立。
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