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経営プロセスと管理会計で万全の体制を構築:移転価格税の国際理論 第1回
移転価格税の基礎を現場の視点から解説
海外利益に追徴課税
移転価格税は1928年に米国の歳入法45条で初めて法制化され、その後の税法再編より482条に移行されて現在に至っている。当時の法人税は所得階層に応じて税率が高くなる累進課税であったことから、企業は会社を分散して、税の軽減を図る事態が続出した。これに対抗する措置として移転価格税は法制化された。その内容は関係会社に分散した所得を法的に1つの会社に移転させて、累進課税を行うものであった。その後、累進税率は廃止されたが制度としては残された。
60年代に入り米国企業の海外進出が活発になると、タックスヘブン国(無税国、低率課税国)に利益を移転させて租税を免れる企業が目立つようになり、これらの企業に対して海外利益を国内企業に移転させて課税処分する処置に適用されるようになった。
さらに80年に入り、米国に進出する外国企業が増加すると、これら外資会社の利益が余りにも低いことが米国議会で問題となった。これには海外の親会社による利益調整があるとして、IRS(米国歳入庁)は積極的に調査に乗り出し、移転価格税の課税処分が多発した。この頃から各国も移転価格税を導入し、日本でも86年に初めて導入された。
しかし、この制度による利益移転の事実と移転金額の算定の方法には多くの議論と批判が相次ぎ、各国の制度は多くの問題を抱えてきた。95年にOECDが移転価格税ガイドラインを公表してから、各国はこれを規範として今日に至っている。
中国では、92年に外国投資企業得税法の第13条に規定が設けられて、初めて移転価格税が法制化された。その後、98年に「関連企業間取引に関する税務管理規定」が公表され、移転価格税が外資企業に対する重点調査の対象となった。
利益移転と認定される条件とは
移転価格税は、支配関係にある関連会社との取引が、独立企業間(第三者企業間) と異なる条件でなされており、課税国に帰属すべき利益が海外に移転したと認定した場合に課税される。
利益移転の一般的な例を述べると次の通り。
(1)関連企業に対する売価が、第三者に対する売価又は市場価格を下回る場合
(2)関連企業からの仕入価格が第三者又は市場価格より高い場合
(3)他の関連会社が負担すべき費用を負担している場合
(4)ロイヤルティー、技術指導料などの金額が不当な場合
(5)無償又は過少な利息による資金融資
(6)無税国、低税率国を経した不合理な取引
(7)欠損会社、免税会社を介在させる不合理な取引
(8)関係会社間の取引において生じる営業利益のアンバランス現象
(9)取引に不要な第三者を介在させる不合理な取引
一方的な課税処分が可能
移転価格税に対する各国の共通原則は次の通りだが、税の性格から一般の税とは取り扱いが異なる。
(1)課税当局は、関連会社との取引で利益が移転していると認定した場合、一方的に課税処分を行う
(2)米国(中国も)では、利益移転の事実がないことの立証責任は企業側が負う
(3)移転価格税は、租税軽減の意図の有無、合法か非合法かなどは考慮せずに適用される
(4)企業側の経営上の理由は、原則として処分に対抗する理由とはならない
(5)移転価格税が課税された場合は二重課税となり、その救済措置は現実的には難しい
(6)課税処分は過去に遡り処分されるために、一般的には巨額の追徴処分となることが多い。

企業側に資料提出義務あり
市場経済は企業の自由活動を基本原則とするが、移転価格税は国家の正当な徴税を実現するために企業の自由活動を制限する要素もある。この両方の微妙なバランス上に、移転価格税は成り立っている。
利益移転の事実認定と税制の運用は極めて専門性が高く、判断も難解で調査には膨大な資料を必要とする。そのため納税者に資料提出義務を課しており、怠ると不利になる。

今や企業の海外活動は、移転価格税を見据えた経営計画と会計が極めて重要となっている。次号は各項目に絞って解説する。
情報提供: BiZpresso Vol.28 9月4日発行
2007/12/21 更新
出津 平氏 米国TMA 登録JCTP・税理士

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