マーケティング 中国

北京国安対大連実徳の試合前の様子(07年4月)
プロ化が成功している中国の2大スポーツといえば、サッカーとバスケットボール。しかし、その高い注目度にもかかわらず、卓球やバドミントン、飛込み、体操といったお家芸のように、国際大会で好成績を挙げているわけではありません。特にサッカーは、イメージの浮沈が激しく、クラブ運営の収支バランスも不安定な状況が続いています。サッカー界に何が起こっているのか。3回に分けて紹介します。
プロ化が生んだ究極のマネーゲーム
中国のプロサッカーリーグ(※)は、日本のJリーグに遅れること1年、1994年に誕生しました。中国における初のプロスポーツリーグです。
外国のマーケティング会社がノウハウを持ち込んだこと、従来からの人気スポーツであり、欧州プロサッカーの全国放映が数年前からスタートしていたことなど、様々な要因が絡み合い、短期間のうちに中国人の心をつかむリーグに成長しました。2003年当時のテレビ放映時間のある統計を見ると、スポーツ番組のうち、サッカー番組の占有率は40%を超えています。サッカーの影響力の大きさを物語る数字です。
しかし、突然の成功には、必ず落とし穴があります。サッカー先進国のイングランドでは、プロサッカー選手の平均年収は、国民の平均年収の28倍といわれています。そんな中、実力では遠く及ばない中国人選手も、サラリーキャップ制が導入される前には、中国のプロリーグで、国民の平均年収の130倍といわれる報酬を得ていました。
20代の若者が、突然、多額の報酬を手にしたのですから、自分を見失わない方がおかしい環境です。プロ選手が夜な夜な酒場をうろつく話題や、収入の割りに活躍していない選手の私生活などが日々お茶の間を騒がすようになり、サッカー選手、ひいては中国サッカー界全体のイメージ低下につながりました。
今世紀に入ると、そのひずみが白日の下にさらされるようになります。八百長試合、審判の買収、ボイコットといったニュースが、連日のようにメディアを騒がせていたのを記憶している読者も多いでしょう。
中国のサッカークラブの経営は、「親会社が広告塔としてサッカーを利用する」という、独立採算とは程遠いシステムで行われてきました。そのため、バックに資金力が豊富な国有企業がついているか、短期間で知名度を上げたい民営企業がついているかでも、経営計画に大きな違いが生じたのです。プロリーグ誕生から10年の段階で、クラブが投入した資金は100億元を超えたと言われ、各クラブは毎年、数千万元の損失を計上していました。
プロ化が生んだ究極のマネーゲーム
中国のプロサッカーリーグ(※)は、日本のJリーグに遅れること1年、1994年に誕生しました。中国における初のプロスポーツリーグです。
外国のマーケティング会社がノウハウを持ち込んだこと、従来からの人気スポーツであり、欧州プロサッカーの全国放映が数年前からスタートしていたことなど、様々な要因が絡み合い、短期間のうちに中国人の心をつかむリーグに成長しました。2003年当時のテレビ放映時間のある統計を見ると、スポーツ番組のうち、サッカー番組の占有率は40%を超えています。サッカーの影響力の大きさを物語る数字です。
しかし、突然の成功には、必ず落とし穴があります。サッカー先進国のイングランドでは、プロサッカー選手の平均年収は、国民の平均年収の28倍といわれています。そんな中、実力では遠く及ばない中国人選手も、サラリーキャップ制が導入される前には、中国のプロリーグで、国民の平均年収の130倍といわれる報酬を得ていました。
20代の若者が、突然、多額の報酬を手にしたのですから、自分を見失わない方がおかしい環境です。プロ選手が夜な夜な酒場をうろつく話題や、収入の割りに活躍していない選手の私生活などが日々お茶の間を騒がすようになり、サッカー選手、ひいては中国サッカー界全体のイメージ低下につながりました。
今世紀に入ると、そのひずみが白日の下にさらされるようになります。八百長試合、審判の買収、ボイコットといったニュースが、連日のようにメディアを騒がせていたのを記憶している読者も多いでしょう。
中国のサッカークラブの経営は、「親会社が広告塔としてサッカーを利用する」という、独立採算とは程遠いシステムで行われてきました。そのため、バックに資金力が豊富な国有企業がついているか、短期間で知名度を上げたい民営企業がついているかでも、経営計画に大きな違いが生じたのです。プロリーグ誕生から10年の段階で、クラブが投入した資金は100億元を超えたと言われ、各クラブは毎年、数千万元の損失を計上していました。

試合会場には20人を超える記者が足を運ぶ
「ルック・イースト」、日韓に学べ
人気のバロメーターである平均観客動員数の推移を見てみると、過去最高の動員を記録した1996年は24,300人。それが2004年には11,000人と、半分以下に減っています。その間、初のワールドカップ出場(02年日韓大会)やアジアカップ準優勝(04年中国大会)など、中国代表が好成績を挙げていたにもかかわらず、です。
そんな状況に、CFA(中国サッカー協会)やメディアがただ指をくわえていたわけではありません。04年は、中国サッカーにとって、ターニングポイントともいえる年でした。イングランドのプレミアリーグを参考に、ブランド価値を高めるためにプロリーグを再編。新リーグをスタートさせたのです。
しかし、初年度が散々なだったことは、前述の平均観客動員数を見ても明らかです。サッカー界にくすぶっていた膿がすべて表面化したと言っても過言ではないでしょう。2試合のボイコット試合があったのもこの年のことです。そして今年、中国代表チームがアジアカップのグループリーグで敗退したにもかかわらず、平均観客動員数は、14,500人台まで回復してきました。今後の発展にようやく曙光が見えてきたといえるでしょう。
サッカー人とメディア人からは、異口同音に「長期計画の策定を」といった声が聞こえてきます。しかし、金メダル戦略をとる中国では、他国以上に代表チームの日程が優先され、プロリーグの運営は難しい舵取りが必要となります。その中で声高に叫ばれているのが、「日韓に学べ」という合言葉。CCTV5(スポーツチャンネル)では05年、日本と韓国のサッカー事情を学び、中国サッカー界の参考にするとの意図で、「サッカー三国志」という特別番組の制作を開始しました。約3年を費やして制作された番組は、今年7〜8月にかけて、10回シリーズで放映されました。謙虚な態度からスタートしている番組は、中国サッカーに背を向けていた「かつてのサッカーファン」の心を揺さぶる力になったようです。
次回は、中国サッカー界が日韓サッカー界から何を学ぼうとしているか。中国クラブと日本クラブの交流の話題を交えながら、紹介しようと思います。
人気のバロメーターである平均観客動員数の推移を見てみると、過去最高の動員を記録した1996年は24,300人。それが2004年には11,000人と、半分以下に減っています。その間、初のワールドカップ出場(02年日韓大会)やアジアカップ準優勝(04年中国大会)など、中国代表が好成績を挙げていたにもかかわらず、です。
そんな状況に、CFA(中国サッカー協会)やメディアがただ指をくわえていたわけではありません。04年は、中国サッカーにとって、ターニングポイントともいえる年でした。イングランドのプレミアリーグを参考に、ブランド価値を高めるためにプロリーグを再編。新リーグをスタートさせたのです。
しかし、初年度が散々なだったことは、前述の平均観客動員数を見ても明らかです。サッカー界にくすぶっていた膿がすべて表面化したと言っても過言ではないでしょう。2試合のボイコット試合があったのもこの年のことです。そして今年、中国代表チームがアジアカップのグループリーグで敗退したにもかかわらず、平均観客動員数は、14,500人台まで回復してきました。今後の発展にようやく曙光が見えてきたといえるでしょう。
サッカー人とメディア人からは、異口同音に「長期計画の策定を」といった声が聞こえてきます。しかし、金メダル戦略をとる中国では、他国以上に代表チームの日程が優先され、プロリーグの運営は難しい舵取りが必要となります。その中で声高に叫ばれているのが、「日韓に学べ」という合言葉。CCTV5(スポーツチャンネル)では05年、日本と韓国のサッカー事情を学び、中国サッカー界の参考にするとの意図で、「サッカー三国志」という特別番組の制作を開始しました。約3年を費やして制作された番組は、今年7〜8月にかけて、10回シリーズで放映されました。謙虚な態度からスタートしている番組は、中国サッカーに背を向けていた「かつてのサッカーファン」の心を揺さぶる力になったようです。
次回は、中国サッカー界が日韓サッカー界から何を学ぼうとしているか。中国クラブと日本クラブの交流の話題を交えながら、紹介しようと思います。
(※)中国のプロサッカーリーグ
1部リーグと2部リーグに分かれ、1部の正式名称は、中国サッカー協会プロサッカーリーグ(中国語名:中国足球協会超級聯賽)。略称はCSL(中国語名:中超)。1994年に誕生したプロリーグを2004年に再編、12チームでスタートした。2008年は、16チームによるホーム&アウエー方式で開催される予定。下位2チームが2部リーグのチームとの入れ替えとなる。
▼2007年中国サッカー協会スーパーリーグ順位表
来年2008年シーズンには、以下のような変動があります。
1.「厦門藍獅クラブ」が二部リーグに降格
2.「広州医薬クラブ」と「成都ブレーズクラブ」が一部リーグに昇格
3.今年は15チームでしたが、来年から偶数の16チームになります。
前回までの「スポーツマーケット考察」
スポーツマーケット考察:GO! GO! チャイナGOLF(3)
スポーツマーケット考察:GO! GO! チャイナGOLF(2)
スポーツマーケット考察:GO! GO! チャイナGOLF(1)
1部リーグと2部リーグに分かれ、1部の正式名称は、中国サッカー協会プロサッカーリーグ(中国語名:中国足球協会超級聯賽)。略称はCSL(中国語名:中超)。1994年に誕生したプロリーグを2004年に再編、12チームでスタートした。2008年は、16チームによるホーム&アウエー方式で開催される予定。下位2チームが2部リーグのチームとの入れ替えとなる。
▼2007年中国サッカー協会スーパーリーグ順位表
順位 | チーム名 | 試合数 | 勝 | 分 | 負 | 勝ち点 | 得失点差 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 1 | 長春亜泰 | 28 | 16 | 7 | 5 | 55 | 23 |
| 2 | 北京国安 | 28 | 15 | 9 | 4 | 54 | 26 |
| 3 | 山東魯能 | 28 | 14 | 6 | 8 | 48 | 24 |
| 4 | 上海申花 | 28 | 12 | 10 | 6 | 46 | 6 |
| 5 | 天津泰達 | 28 | 12 | 7 | 8 | 44 | 9 |
| 6 | 大連実徳 | 28 | 11 | 11 | 6 | 44 | 5 |
| 7 | 武漢光谷 | 28 | 11 | 7 | 10 | 40 | -2 |
| 8 | 青島中能 | 28 | 10 | 6 | 12 | 36 | -6 |
| 9 | 遼寧西洋 | 28 | 9 | 8 | 11 | 35 | -10 |
| 10 | 長沙金徳 | 28 | 8 | 10 | 10 | 34 | -7 |
| 11 | 浙江緑城 | 28 | 6 | 10 | 12 | 28 | -10 |
| 12 | 陜西宝栄 | 28 | 5 | 12 | 11 | 27 | -8 |
| 13 | 河南建業 | 28 | 4 | 14 | 10 | 26 | -5 |
| 14 | 深セン上清飲 | 28 | 5 | 10 | 13 | 25 | -21 |
| 15 | 厦門藍獅 | 28 | 4 | 8 | 16 | 20 | -24 |
1.「厦門藍獅クラブ」が二部リーグに降格
2.「広州医薬クラブ」と「成都ブレーズクラブ」が一部リーグに昇格
3.今年は15チームでしたが、来年から偶数の16チームになります。
前回までの「スポーツマーケット考察」
スポーツマーケット考察:GO! GO! チャイナGOLF(3)
スポーツマーケット考察:GO! GO! チャイナGOLF(2)
スポーツマーケット考察:GO! GO! チャイナGOLF(1)
情報提供:
Whenever CHINA 07年12月号
Whenever CHINA 07年12月号2007/12/21 更新
筆者:坪井信人 氏
オーシャンズ・マーケティング(北京欧迅体育文化伝播有限責任公司)
[住所] 北京市朝陽区東三環中路39号 建外SOHO 9号楼702室
[電話] 010-5869-5236 / [FAX] 010-5869-9844
[URL] http://www.oceans-marketing.com
プロフィール…静岡県出身。明治学院大学国際学部卒業。出版社勤務後、北京に語学留学。中国国営の出版社を経て、2004年8月にスポーツマーケティング会社オーシャンズ入社。現在、日本部部長として、ジュビロ磐田や読売巨人軍の中国コンサルティング、中国において開催される国際スポーツ大会のスポンサーシップコンサルティングなどを担当。
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