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中国「知財」市場レポート 第二回:転ばぬ先の杖、「商標」対策に油断は禁物
「ウチは小企業だから、知財対策は必要ない」「どうせ真似されるなら何をしても無駄...」模倣品大国と呼ばれる中国国内でも、未だこれらの理由で知財対策を積極的に行っていない企業が後を絶ちません。商標未登録によるリスクを検討し、登録する際の留意点を検討していきたいと思います。
複雑化する商標トラブルの現状
模倣品製造の被害から自社の権利を守るためには、積極的、かつ戦略的な知財対策が不可欠です。しかし残念ながら中小企業を中心に、権利保護の基本である「商号や商品名の商標登録すらしていない」企業も見受けられます。登録された商標がないということは、守るべき権利自体が存在しないことになり、権利行使もできなくなるので要注意です。
最近の業者の手口は巧妙で、摘発防止のためにニセモノの商標自体を商標登録したり(模倣品業者の権利化)、日本の流行物を見つけては、抜け駆け的に中国で商標を登録し(抜け駆け登録)、日系企業が中国進出した際に多額で商標を売却したり商標権侵害を理由に逆提訴を仕掛けたりしています。また、不正登録を専業としている「商標ブローカー」のような悪質商標事務所の発生や、模倣で蓄えた資金と技術を元に独自ブランドを立ち上げる「新たなライバル」の誕生など、問題は多様化しています。
このような被害は、「有名税」とも言われたように遭遇するのは大企業が相場でしたが、最近では中小企業にも波及しており、もはや企業の規模は関係なくなりつつあります。商標登録すらしていないと企業が散見される現状は、中国での事業展開上、非常に危ういものといえるでしょう。

トラブル回避は「先手必勝」を原則に
商標は「いつ登録するか」ということが一つのポイントです。かつて「クレヨンしんちゃん」「ウルトラマン」「無印良品」「こしひかり・ひとめぼれ」等多くの商標がトラブルに遭遇したのも、早期段階で対策に手落ちがあったことに原因があったと考えられます。中国進出の予定がある場合、企画の段階で中国語の名称を含めて「とにかく早い段階で」権利を取得しておくべきでしょう。
現在、出願数の増加で手続期間も長期化の傾向にあります(3年程度)。商標法の第3次改正を急ぐ流れがあるなど改善も見込まれていますが、早期出願を原則とすることが重要でしょう。アパレル関連はとくに時間がかかりますので注意が必要です。
なお、商標は1回の登録で起算日から10年間有効で、更新によって半永久的に存続が可能です。出願費用も年間あたりで計算すれば高額ではありません。一度商標登録がなされたものを取り返すには商標不使用取消請求や取消裁定などで対応することになり、出願にかかった以上の時間と費用が必要となってしまいます。
「強い商標」の獲得には信頼できる機関に相談を
商標は、「いかに登録するか」も重要です。出願時の判断が後々になって響いたというケースが実務上よくあります。このため企業の将来的な方向性、出願する商標の種類(文字、図形)等の要素も含めて登録の仕方を総合的、かつ戦略的に検討し出願することが必要になります。
ひとつ注意をしたいのは、日本と同じ国際分類表を採用していても、商品やサービスの内容による保護範囲が中国では異なることがあることです。日本で出願したからといって、その内容に検討を加えないまま同じ内容で出願することは危険です。まずは信頼できる現地の代理機関と十分に話し合い、「強い商標」創造のために事前準備を整えたうえで出願を行っていただくことをお勧めします。
商標登録したものの10年間放置したままというのも好ましくありません。(十分なアフターケア体制を持たない代理機関の場合、更新時期までそのまま放置されることもあります)出願時の商品名の中には「商品・サービス区分表」の改訂時に再検討を行う必要があるものも存在するからです。登録している商品が、出願当時には特殊、あるいは新種であったような場合は特に気をつけ、肝心の権利行使時に権利が保護されないという最悪の事態を未然に防止することが肝要です。
「これまで特に問題が無かった」「自社とは関係ない」という態度で、知財対策を等閑にすることは非常に危険です。トラブル発生後に対応で焦ることがないよう、早目の対策を心がけることが重要です。

▼日本企業が遭遇した主な商標トラブル
案件名クレヨンしんちゃん無印良品(良品計画社)こしひかり・ひとめぼれ
概要中国企業数社が「蝋筆 小新」の商標を中国本土で登録。 2004年双葉社からライセンスを受けた上海企業が本土でグッズを販売。その後同企業の商品が商標権問題で撤去命令される。香港企業である盛能 投資有限公司 (Jet Best Invest- ment Limited 以下 J.B.I.)が中国で商標 25類(被服、履物)における「無印良品」および「MUJI」の商標を先行登録。日中両国首脳の合意 に基づき同年7 月末、中国で新潟県産「コシヒカリ」と宮城県産「ひとめぼれ」の販売が決定。だが中国では既にコメ用として2005 年に遼寧省盤錦市の企業が「一目惚」を商標登録。
経過2005年1月双葉社が商標評審委員会に対して商標登録抹消を請求、同委員会は同社の請求を棄却。2006年春、商標評審委員会を提訴するも同年秋、北京市第一中級人民法院は同社の訴えを棄却。2000年5月、TRAB ( 中国国家工商行政管理総局商標評審委員会)に対して JBI商標登録の無効取消を出訴。その後同年11月30日に取消審決が下るもJBI はこれを不服とし、北京市第一中級人民法院に出訴。同法院は翌年8月31日付でTRAB審決を維持する判決を下した。「越光KOSHIHI- KARI」も東京都内の企業によって商標権を取得されていたことが発覚。コメの袋に漢字ではブランドが表記できないため、「新潟県産」「宮城県産」と産地のみを表示して販売。


前回までの「中国「知財」市場レポート」
中国「知財」市場レポート 第一回:加熱するドメイン市場とasiaドメイン
情報提供: Whenever CHINA 07年11月号
2007/11/07 更新
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